短編小説「明るい光」（2）

短編小説「明るい光」（2）

1時を告げる柱時計の音が聞こえる。

時間がこんなにも速く過ぎたのか。

時間が経つのも意識できないまま、夜更けまでエネルギッシュに執務を執っている金正恩総書記だった。

副官が静かに部屋に入り、チャン・ジュンソン副保健相が来たことを知らせた。

総書記は夜の12時近く、チャン副保健相を呼ぼうとして止めたことが思い出された。

眠りについたはずの彼を起こしたくなかったからだ。

しばらくして総書記は副保健相と向かい合って座った。

国中の治療と予防関係のことを受け持っているチャンから、国の保健医療の実態を詳しく把握した後、今、建設中の眼科病院に勤める医師をどのように抜擢するつもりなのかと聞いた。

「ピョンヤン医科大学病院とピョンヤン眼科病院、朝鮮赤十字総合病院、そしてピョンヤン市第1総合病院と第2総合病院の眼科の有能な医師を選り抜いて配置しようとの意見が出ていますが」

副保健相は議論されていることをそのまま報告した。

「するとそれらの病院の眼科の技能が落ちるのではないか」

「はい、それが問題です。そこで合意に達したのがピョンヤン医科大学の博士課程を修了した優等生で埋め合わせようということです」

しばらく物思いに耽っていた総書記は話を続けた。

「われわれの主体的な医学を早く発展させるためには、臨床の経験豊かな老医学者と新進気鋭の医師を良く組み合わせなければなりません。そうして初めて治療で成果を収めることができます。貫禄がある医師を引き上げれば、その病院の医療のレベルが落ちかねないこともあるので、ピョンヤン医科大学の博士課程を修了した新しい世代の医師を主とし、彼らを導く老世代の医師で整えるなら、リュギョン眼科総合病院を立派に運営することができるでしょう」

「・・・」

「私の考えでは中央管轄の大病院の眼科で数十年間、治療に携わり、定年になった貫禄がある医師たちもいるはずだから、その人たちが元気で、もっと働きたい意向があるなら、そのまま任せるのもいいと思います」

「わかりました」

副保健相は兵士時代に戻ったように力強く答えた。数日前に、定年が過ぎた眼科医のハン・ジュボンを退職させようとのある病院の意見に同意したことが思い浮かんだ。

（コンテンツ―本）