チルボ山の雪景色

七宝山の雪景色

朝鮮の6大名山の一つであるチルボ山*1は北部の朝鮮東海岸沿いにある山です。行政区域で言いますと、ハムギョン北道*2ミョンチョン郡*3を始めいくつかの郡を包括しています。チルボ山は山と海のすばらしい景色により、昔から「ハムギョン北道のクムガン山*4」と言われて来ました。

その名も七つの宝がある山、七宝山です。このチルボ山は四季折々の美しさを誇っていますが、春は万の花が満開の「花の園」、夏は緑豊かな山、秋はもみじが赤く燃える山、また、冬はあたり一面銀世界の雪の山と呼ばれています。

特に白装束のチルボ山の冬景色は見ごたえがあります。高く低い峰峰と深い渓谷、絶妙を極める奇岩怪石と際立つ絶壁などは真っ白で、それこそ神秘なものを感じさせます。まるで銀の玉を散らしたようです。

主峰はサンメ峰で標高1103メートルです。そしてチルボ山で一番の名山と呼ばれるクムガン峰、いろいろな鳥と獣の形をした岩場のクムス峰、猛獣が勇気を誇るような峰だといってメンス峰、猛獣峰など白い雪をいただいた峰峰は山岳美の極致といえるでしょう。

チルボ山一番の自慢である奇岩怪石も断層伝いに雪が積まれて独特な姿を現しています。屋根に雪を戴いた瓦葺の家とわらぶきの家そっくりの岩と米のご飯をいっぱい盛り上げたどんぶりのような岩、チルボ山のよろずの景色を一幅の絵に描いたような屏風岩など、独特な冬景色には目を見張ります。

あまりにも生き生きとしているので登山客の目を奪った娘の岩とチョンガー岩、今は白い雪を戴いておばあさんとおじいさんの岩となりました。雨合羽の姿で雨に濡れたチマの裾を片手で包み隠しては恥ずかしそうに立っている娘の頭にも、そしてプロポーズしてぎこちなさそうに立っている純朴なチョンガーの頭にも霜が降りたようです。

そのあたりの白綿をのっけたツリーのような松の緑がコントラストをなして、なかなかロマンチックに見えます。それだけではありません。勢いよく流れ落ちる滝も壮観ですが、滝の水が絶壁に作り上げた氷の柱が日差しを浴びて、ガラスの彫刻、宝石の柱を思わせるのはなんともいえない景観です。

チルボ山の雪景色を見ずしてチルボ山の美しさを満喫したとはいえません。もし冬に訪朝する機会がありましたら、ぜひ、チルボ山の銀世界をお楽しみください。