チョン・モンジュとソンジュク橋

鄭夢周と善竹橋

チョン・モンジュは、918年から1392年まで存続したコリョ、高麗時代の高位官僚で学者でした。20代に文科に首席で合格し、その後、国の最高学府であるコリョ・ソンギュン館の博士などの要職に勤めました。国の外交関係にも携わり、外部からの侵略を退ける戦場にもはせ参じ、晩年は、コリョ王朝の高位官職についていました。

コリョの王権簒奪の野望を抱いていたリ・ソンゲは、高い官職と権力を悪用して1388年、国を裏切る陰謀を凝らしました。王朝の政治的実権を握ったリ・ソンゲは、経済的地盤を固める傍ら、当時、政治的、社会的に無視できない存在だったチョン・モンジュを寝返らせようとしました。

社会科学院歴史研究所の研究室主任、博士、助教授のファン・ミョンチョルさんのお話です。

「最初、チョン・モンジュは乱れた政治、経済の改革には賛成でしたが、リ・ソンゲがコリョ王権簒奪の野望を抱いていることを知って、リ・ソンゲと政治的立場を異にしました。すると、リ・ソンゲ一派は、1392年4月、腹心の部下を遣わして、チョン・モンジュをソンジュク橋で無残に殺しました」

ソンジュク橋は、今のケソン市*1のソンジュクと言う町*2のロゲという川にあります。長さ8.35メートル、幅3.36メートルのさほど長くない橋ですが、チョン・モンジュがリ・ソンゲ一派の刺客によって殺されたところということで、広く知られるようになりました。

チョン・モンジュの死後、殺された場所に竹が生えたと言われ、橋の名もソンジ、選地橋からソンジュク、善竹橋に代わりました。橋は、小川の底に作られた基礎の上に4列の柱となる石を据えて、3つの径間を置き、その上に花崗岩の平たい石を敷きました。1780年に橋の上に石の欄干をめぐらして人々の通行を禁じ、その傍に新しい石橋を作りましたが、それが今に伝えられています。

チョン・モンジュはソンジュク橋とともにコリョの忠臣の一人として歴史に記録されています。