キムチ漬けの風習

キムチ漬けの風習

朝鮮には秋に収穫した野菜で冬に食べるキムチを漬ける伝統的な生活風習があります。

キムチは白菜や大根などの野菜に薬味と塩辛などを混ぜて乳酸発酵させた野菜の加工品です。爽やかで独特な香りとすっきりした味、風味のあるキムチは、世界の5大健康食品の1つとなっています。

朝鮮では木は水を吸って生き、人はキムチを食べて生きるという言葉がありますが、朝鮮人民は四季を通してキムチを食べ続けています。 冬に食べるキムチはキムジャン・キムチと呼ばれています。

社会科学院のフォークロア研究所の研究者パク・スンギルさんのお話です。

「キムチは朝鮮民族固有の伝統料理で、古い歴史を持っています。史料によりますと朝鮮人民はコリョ、高麗時代にすでにキムチを漬けて食べました。コリョ時代の13世紀中ごろ編纂された『東国李相国集』という本には、当代の名だたる詩人であったリ・ギュボ*1が書いた詩が載っていますが、その詩に『大根は漬けておけば夏にもよいおかず、キムチを漬けて冬中食べられる*2』と言うくだりがあります。こうした記録を通じても、キムチが遠い昔から朝鮮人民が好んで食べた副食物であったことがよく分かります」

国の気象条件を考慮して、先祖たちは野菜を秋にたくさん貯蔵し、冬はもちろん、晩春まで食べられる方法を編み出しましたが、それがキムチを漬けることでした。こうした風習は長く伝えられ、冬にキムチを漬けるのは家庭ごとの年中行事のようなものとなりました。

今は11月、朝鮮の各家庭でのキムチ漬けのシーズンです。冬にキムチを漬けておくと、11月から翌年の3月まで5ヶ月分の野菜を貯蔵して置くことになるので、キムチは1年の半分の食糧だとも言われています。

キムチを漬けるとき、隣や親戚同士で助け合うのが慣わしとなっています。漬けたキムチや薬味を近所や親戚の家に配ったり、職場の同僚たちに味見させたりします。

歴史の古い朝鮮のキムチ漬けの風習は、チュチェ104（2015）年、世界無形文化遺産に登録され、人類文化の宝庫をより豊かにするのに寄与しています。

（今日の朝鮮）

朝鮮の祖先は自然気候の特性を考慮して、秋に生産した野菜を冬はもちろん、春まで保管して食べられるよう漬ける方法を研究しましたが、それがまさにキムチ漬けです。

毎年、11月ともなりますと、国中のどの家でもキムチ漬けの風景が見られます。冬が近付く晩秋のこの時期を、朝鮮人民はキムジャンチョル、つまりキムチを漬ける季節と呼んでいます。

社会科学院のフォークロア研究所の研究者であるキム・ギョンイルさんのお話です。

「才知に長けた勤勉な祖先は、昔から味覚と好みに合う発酵料理を作って食生活に広く利用しました。朝鮮人民は塩漬けの野菜を食生活に利用する過程に発酵現象を見つけ出し、それを目的意識的に利用して発酵料理のキムチをつくりました。朝鮮封建王朝時代の歴史書である『海東竹枝』や『東国歳時記』によりますと、家々で大根と白菜でキムチを漬けるが、ショウガ、ネギ、ニンニク、トウガラシ粉などを大根と白菜にかき混ぜて漬けた後、土を掘って埋める、これが一家の年中の大事だと書いています」

祖先伝来のキムチ漬けの風習は綿々と引き継がれています。晩秋に収穫した白菜を家々にいっぱい積み上げて、それを塩に漬けて水で洗った後、からっぽい調味料に混ぜてキムチを漬ける時、隣や親戚、また職場の同僚が助けたり、漬けたキムチや調味料を隣や親戚に送ったり、職場に持ってきて同僚に味わわせ、評価を受けたり、料理の腕前を自慢したりするのが一つの風習となっています。

このように共同で、同時に、みなが力をあわせてキムチを漬けるのが人同士の和睦をはかる契機になる、つまりこれが朝鮮民族のキムチ漬けの風習です。

朝鮮キムチへの世界的な関心が高まる中、朝鮮人民の伝統的なキムチ漬けの風習は2015年、世界無形文化遺産に登録されました。

（観光）