アニメ「かしこいタヌキ」（7）

巡回優勝カップ

※オープニング

（歌）
飛んで　跳ねて　遊ぶときゃ
仲良し　こよしのお友だち
試合じゃ　誰もが譲りはしない
高い山や深い川
知恵で超えるお友だち
負けず嫌いのかしこいタヌキ

かしこいタヌキ
（7）

巡回優勝カップ

※バイクで走る主人公のタヌキ。前方を行くバスに競技委員？のタヌキ。

「選手に選ばれたタヌキちゃんじゃない？　おい、遅刻だよ」
「試合には間に合うよ」
「巡回優勝カップを持って行かないの？」
「あっ、置き忘れた　急ぐから、一足先に行って、応援の準備をしなよ」

※これから何かの競技が行われるらしい。前回優勝のタヌキが優勝カップを持って会場に行かなければならないのに忘れたという設定。

「しっ、タヌキが来る」
「まだカップを置き換えていないのに　隠れるんだ、早く」

※タヌキの家で優勝カップを偽物とすり替えようとしているネズミ一味。そこへタヌキが帰って来る。

「優勝カップがみえないんだ」
「確かに机の上に置いたのに…」
「あ、いた、これ、何だ？」

※優勝カップを探すタヌキ、机に頭をぶつける。その衝撃で花瓶が金魚鉢の中に落ちる。鉢から飛び出した金魚を戻し花瓶を取り出す。金魚鉢の水が花瓶の体積の分だけ減っている描写。

「試合の時間だ」

「優勝カップのことは後に回して、試合を始めましょう」
「始めましょう」
「だめです、優勝カップなしに試合はできません」

「おれたちが持って来よう」
「もうちょっと待ってみよう　すぐついてくると言ったよ」
「何、来ようなら、すでに着いているはずだ」
「すぐ来ると言ってるのに」

※クマとネコ、タヌキの家へ向かう。

「優勝カップがなくなって、大変だ」

※隠れていたネズミ達が本物の優勝カップを持って外に出ようとする。そこへクマとネコがやって来る。ネズミが投げた優勝カップが雨樋に当たる。

「何の音？」

※ネズミ達に飛びかかるが逃げられる。

「泥棒だ！」　「泥棒？」
「やいっ、止まれ」
「止まれ」

※ネズミ一味バイクで逃走、タヌキもバイクで追跡。

「車がないのに、どうして追っていく？」
「下の村のワンちゃんに消防車があるね？　早く」

「追撃、追撃　タヌキちゃんが優勝カップを盗まれた」
「機動隊のヘリコプターを送れ　ヘリコプターを送れ」

※逃げる途中で蔓草を手に入れるネズミ。2匹がそれを道の両側の木に結び付ける。首を引っ掛けてしまうタヌキ（良い子は真似をしてはいけない）。反動で飛ばされて行く。タヌキが乗って来たバイクを奪って逃走。

「タヌキちゃんだ」　「タヌキちゃんだ、早く」
「タヌキちゃん！、これ受けて」（※クマが傘を投げる）

※バイク2台で逃走するネズミ一味。追いかける消防車とヘリコプター。

「消防車、消防車、泥棒に近づくな　網の砲を撃つぞ、網の砲を撃つぞ」
「捕まえた！　捕まえた！」

「泥棒が抜け出た　泥棒が抜け出た」
「どこに消えたの？」
「ネズミの穴」
「あいつらが…」

「そう、タヌキちゃん、頭が切れるね」

「こいつら、どこへ逃げるんだ？」
「これはおれたちのものだ　強盗だ」
「何、強盗？」
「自分のものは家に置いて、他人のものを奪おうとするなんて、強盗じゃなくて何だ？」
「何、何だと、おれのものは家に置いた？」

「おまえたちの悪知恵に乗るもんか？　この泥棒」
「何、泥棒？　悔しいな」（※芝居がかって泣き出すネズミ）

「先祖に巡りあえなかったため、泥棒と決め付けられるんだ、くやしい」

―これはどうしたことだ？
―家でちゃんと探したのか？

「探したとも、こいつらの話は真っ赤な嘘だ」
「誰が嘘をつくんだ？」

「君たちは家に行ってみたから知ってるはずだ」
「いや、おれたちも家の中には入らなかった」

―そうか、では、みんなで行ってみよう
―行こう

「行ってみても同じだよ」

「見ろ、どこにあるのか？」
「どこかに隠しておいては…」
「ふん、いくらでも探してみろ」

「ここにある！」（※ドアの陰に隠してあった偽物の優勝カップをネズミが見つける）
「何？これ、どうしたんだ？」
「あるね」

―いい加減に騒ぐんだよ
―ちゃんと探しても見ないで…

「タヌキちゃん、頭がよいと誉めたのに、頭が狂っちゃったよ、正気じゃない」
「机の上に置いてたのに…」
「優勝カップがそっくり似ているから、騒ぎを起こしたね」
「重さも同じだ」
「重さが同じ？」

「あれは返して」（※今ネズミが持っているのが偽物、タヌキが持っているのが本物）
「本当の優勝カップを探さなきゃならん」
「同じ優勝カップなのに、何を言うの？」
「家の中にあった優勝カップがおれたちのものだ　あれは返して」
「ちょっと待って」

※タヌキが2つの優勝カップ調べる。叩くと澄んだ音と濁った音。底を見て厚さを比べる。

「厚さが違う、ずるいよ」

「大きさと重さが重さが同じ偽のカップを作ると、おれをだませるとでも思うのか？」

「このカップを火で溶かしてでも、きっと明かして見せる」
「優勝カップを溶かす？」

―頭がどうかしてるんじゃないの？
―正気じゃないらしい

―優勝カップを溶かすなら、競技はどうするんだ？
―そうだ

―君たちは知らないくせに、だまっていてよ
―知らないって、鼻にかけるな

※競技委員のタヌキが怒って台を叩く。飛び上がる金魚鉢。それを見て花瓶が金魚鉢の中に落ちて水が溢れた事を思い出す。

「しめた、溶かさずに、金のカップを探し出せる」

「金は重いから、厚さが薄いだろう」
「このように水に浸けると、カップの厚さほどの水量があふれ出るんだ」
「このカップであふれ出た水は、このように多いんだ」

「今度はこのカップを浸けるから、ちゃんと見ろ」
「金は重いから、水量が少ない」
「だから、これがおれたちのカップだ、これが」

―そうなら、このカップはにせものか？
―割って見れば、分かるということだ

「鉄だね」
「鉄に金メッキをして、金のカップと摩り替えようとしたのだ」
「許してくれよ、一度だけ許してくれよ」
「こいつら、二度と外に出たら、ひどい目にあわせるぞ」

※競技場の場面で終わり。結局何の競技をしようとしていたのかは分からず。

（芸術）

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