アニメ「かしこいタヌキ」（11）

タヌキちゃんからもらった時計

※オープニング

（歌）
飛んで　跳ねて　遊ぶときゃ
仲良し　こよしのお友だち
試合じゃ　誰もが譲りはしない
高い山や深い川
知恵で超えるお友だち
負けず嫌いのかしこいタヌキ

かしこいタヌキ
（11）

タヌキちゃんからもらった時計

※サーカス祭典に参加する為に練習中の3匹。

「タヌキちゃん　タヌキちゃん、あのネコちゃんに勝てるかい？」
「毎回1位を譲らなかった君だが、今回のサーカス祭典は無理かもね」
「ネコちゃん、今回の祭典では、きみに立ち並ぶものはいないだろう」
「実際にやってみなきゃ分からない」
「飛行機の切符だよ　祭典に行く飛行機の切符だよ　あすの朝、遅れちゃだめだよ　朝7時発だよ」

※出発の準備をするネコ、時計を落として壊してしまう。

「あ、困った　あすの朝、遅れてはならないのに」

―タヌキちゃん
―どうして？

「私と同じく、綱渡りの種目なの」

―あれ、何だ？
―ちょっと、時計をなおしてくれない？

「時計？　どうしてこわれたの？」

「今回の祭典で本命と目されるネコちゃんを助けなきゃ」
「ちょっと、そうだ」
「さあ、ぼくの時計だよ　きみのものは、ぼくがなおして使うから」

―本当？
―本当だよ

「素晴らしいものだわ　ありがとう」

―タヌキちゃんが一番よ
―大丈夫

※ネコ帰宅、テーブルに時計を置く。

「ここに置いたら、また落とすかも」（※テレビの上に時計を置く）

「私はタヌキちゃんに何をあげようかしら？」

「そう　タヌキちゃんはカキが好きだから、これ全部やろうよ」
「タヌキちゃん、美味しいカキを持っていくから」

※テレビを見るネコ。タヌキにもらった時計はテレビの時報と合っている。
「6時？とても素晴らしい」

「たらふく食べたから、ちょっと寝ようか」

※ネコの時計の修理をするタヌキ。

※誤って時計の針を落としてしまう。

「時計の針がどこにあるんだい？」
「うん、この中の磁石についてたね」（※机の下に磁石が置いてある）
「これは何だ？」（※磁石にスケート靴がくっついている）

「これより強い磁石があるなら、もっと大きなものも引き上げるだろうね」

※テレビでサッカーを見ているネコ。

「タヌキちゃん、頑張れ」
「よーし、ゴール」
「気立てのよいタヌキちゃん、なかなかのサッカー選手だね」

「明日の12時からサーカス祭典の模様を実況放送します？　明日、腕を見せるためには、ちょっと寝なきゃ」

※サーカス祭典での活躍を夢見ながら眠るネコ。

※翌朝、空港。

「ネコちゃん、どうして遅れるの？」
「そうね、ネコちゃんが遅れないように、一秒と狂わないぼくの時計をあげたのに」
「旅客機は7時ジャストに出発します　乗客のみなさんは早くお乗りになってください」

※ネコ、目覚める。

「6時10分前？　まだ時間があるね」

※飛行機は離陸してしまう。

※車に乗って空港に向かうネコ。

「行ってらっしゃい」（※アヒルの親子）

「どうしてこんなに遅くなりましたか　旅客機はすでに出発しました」

―7時ジャストに出発するといったのですが
―7時ジャストに出発しました

「あの時計を見てください」

※空港の時計、7時10分過ぎ。
「これ、どうしたの？」

（ネコちゃん、今回の祭典では、きみに立ち並ぶものがいないだろう　実際にやってみなければ、分からないよ）

「タヌキちゃんが？」

※サーカス祭典会場。ゾウの出し物、鼻の吸引力での演目。

「あ、おれの帽子」

※クマ、力自慢の演目。ゾウを持ち上げる。

「これ、何だ？」
「ちょっとでいいから、座ってくれよ」
「どうするつもり？」

※サーカス祭典の実況を家で見ているネコ。

「次は、タヌキちゃんが出演します」
「重い鉄の靴はなぜ履いてるの？」
「下りてくるのは何だ？」

「えいっ、みっともない」

※床に固定されている紐の端を口で咥え上空の磁石に鉄の靴が引き付けられ、逆さまになった状態で空中に浮いている。

「あれ、紐の上に逆さまに立っている」

※口に咥えた紐を離す、磁石に引き付けられ上昇する。

※ゾウが鼻の吸引力でタヌキを引き寄せる。磁石を覆っていた花飾りが取れる。

「磁石？」

※靴が脱げてタヌキが落ちて来て、ゾウの鼻につかまる。

「素晴らしい」
「やあ、タヌキちゃんのわざが一番だ」

※帰りの機内。

「びっくりした、どうして磁石にすがりつく考えまでしたの？」
「うん、磁石にスケートのブレードがつくのを見て　ところで、ネコちゃんはどうなったの？」

「意地悪のタヌキちゃんにこれを全部やろうとするなんて、本当にばかげている」
「タヌキちゃんのためにみっともない」

※タヌキと一緒に写った写真を裏返してベッドで泣き伏す

「ネコちゃん、病気だね」
「ネコちゃん、どこが痛いの？」

―ネコちゃんが行ったら、優勝したに決まってる
―何だか話してくれよ

―胸が…
―胸？

「胸が痛いの」

―お医者さんを連れてくるから
―待ってよ

「見ていられない　他人を思うふりをして、悪知恵働かすんだから」
「出て行ってよ　タヌキちゃんなんかは影も形も見たくない」

―出て行って
―どうして？

「ネコちゃん、どうしたの？」
「タヌキちゃんは、祭典で私が優勝すると思って、狂った時計をやって、参加できないようにした　出て行ってよ」

―何、きみに狂った時計を？
―いや、それは狂った時計じゃない

「前の試合でごほうびに貰った一秒と狂わない時計だよ」
「ふん、一秒と狂わない時計？　そんなもの、家に返したのだから、早く帰ってよ」
「時計が狂うとは、何だ？　行ってみよう」

「ネコちゃん、タヌキちゃんがくれた時計、本当にでたらめなの？」
「本当だよ、放送で2時を告げると、1時、鐘をちんちんと鳴らしたりして、でたらめだよ」
「それなのに、タヌキちゃんにやろうと、さあ、食べてよ」
「頭がきれるタヌキちゃんがそんなにずるいとは、ぼくも知らなかった」

「ぼくの時計がどうなったというのか？」
「え、時計を磁石のそばに置いて」

「うまい、ネコちゃんも、ひとつ食べてよ」

―いや、タヌキちゃんのために、食欲がなくなった
―ぼくがみんな食べようか？

―どうして、また来たの？
―ネコちゃん、この時計を磁石の近くに置いたね

「磁石とは、何だ？　うちには磁石がひとつもないよ　ここに置いたよ、ここ」
「ええっ？」
「どうして、笑うの？」

「だから、この時計が狂っちゃったね　テレビも磁石と同じだよ」
「テレビをつけると、電磁場が生じるから、このように時計がまともに動かないことを知らないのか」
「つまり、時計が狂ったのは、ネコちゃんのせいだね」

―ネコちゃん、それでもぼくを追い出すの？
―テレビの磁場には気がつかなかった

「ネコちゃん、祭典に参加しても、頭のよいタヌキちゃんには及ばなかったはずよ」
「これは、タヌキちゃんの分だよ」

※裏返していたタヌキとの写真を元に戻す。

（芸術）

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