性奴隷の犯罪に対する不穏当な態度

性奴隷の犯罪に対する不穏当な態度

先日フィリピンのマニラに、この国初の旧日本軍性奴隷の像が建てられました。

フィリピンの伝統衣装を纏い目を覆っている女性の姿を表したこの性奴隷の像は、1942年から1945年までの日本の占領下で虐げられ被害を被った全てのフィリピンの女性を、忘れずに覚えさせる為のものだといいます。首都に旧日本軍性奴隷の像を建てたのは日本の特大の過去の罪を絶対に許さず、その代償をあくまで支払わせるフィリピン人民の固い意志の表れです。

ところがここで問題なのは、日本の不穏当な態度です。日本内閣官房長官は記者会見を開き、「フィリピンの首都に初めて旧日本軍性奴隷の像が設置されたのは遺憾に堪えない事だ、日本の立場と相反する」等と出任せを言いました。道徳的に低劣で厚顔無恥な日本の反動勢力ならではの妄言だといえるでしょう。

第二次世界大戦の時の日本の女性に対する性奴隷行為は、世界の戦争史に無かった特大の反人倫の犯罪です。しかもこの犯罪は、日本の個人や個別的な団体によってでは無く政府と軍部が介入した組織的な犯罪です*1。よって日本には過去の性奴隷の犯罪についての国家の責任を認め、国家が当事者となって清算すべき法的、道徳的義務があります。

にも拘らず、政府の主なポストに着いているという者がその責任には一言半句も触れず、性奴隷の像の設置に「あーだ、こーだ」と難癖をつけ、「日本政府の意思に反する」と強弁するのは本質に於いて、過去の清算を拒むのが『日本の国策』だという事を自ずと曝け出した事です。日本の道徳的不敗と堕落は、「加害者が被害者に謝る事は無く、よって賠償は無い」と公言するに至りました。

フィリピンの像の設置を受けての日本の傲慢な態度は、平身低頭して詫びるべき人に手を上げたり下げたりして怒るといった厚顔無恥な行為であり、絶対許されないものです。

国際社会が、日本の特大の反人倫の犯罪を黙認し日本政府の不穏当な態度を容認すると思うなら、それこそ勘違いも甚だしいという事です。日本の過去の犯罪を必ず清算しようというのは国際社会の意思です。今、世界的範囲で旧日本軍性奴隷の像の設置が一つの流れとなっているのが、それを物語っています。

日本の反動勢力が時の流れに逆行し過去の清算の義務を避ける程、与えられるのは強まるだけの世界的な非難、外交的な孤立、アジア人民の対日敵愾心だけでしょう。

（時事評論）