「『気をつけ』の号令をかけなさい」

「『気をつけ』の号令をかけなさい」

南西前線の最南端には最大のホットスポットであるチャンジェという島*1があります。

チュチェ102（2013）年3月7日、敬愛する金正恩総書記がこの島への2度目の現地視察を終えて、島を発つため、船場に着いた時でした。

海辺までついて来た中隊の軍人と軍人家族から視線を離せずにいた総書記は、私は今日でチャンジェ島の防御中隊に2度目に来ているが、中隊と親しくなった、今日見た全てのことが忘れそうにないと優しい口調で言いました。

そして、中隊長に、昨年8月、ここを後にするとき、軍人と軍人家族が海に飛び込んで長い間、手を振って私を見送った姿が今も気にかかっている、今日また、海に飛び込むようなことがあってはならないと言いました。

船があるところにゆっくりと歩みを移していた総書記は、後ろについて来る中隊長を見て、前のように、海に飛び込むつもりなのかと厳しく言いました。

中隊長は答えに窮して、まごまごしていました。

中隊長を眺めていた総書記は、命令しました。

「中隊長が軍人を整列させて、『気をつけ』の号令をかけなさい。ここで挨拶をして別れましょう」

中隊長は兵士たちのほうに振り向くことができませんでした。

総書記は、中隊長が号令をかける前には絶対その場を離れまいとしているのか、立ったままでいました。

やがて、中隊長は咽び声で号令をかけました。

「中隊、気をつけ！」

総書記を見送ろうとついて来る軍人と家族が冷たい海の中に飛び込むことがないようにとの命令、偉大な総帥の愛情こもる命令を実行に移すための号令が響きました。

普段は高々と響いた号令が咽び声と混じって、海辺で消えかかろうとしました。

「万歳！万歳！」

手を振って、冷たい海に飛び込み、倒れながらも海辺を走り続けて、中隊長と兵士たち、その家族と子供みなが、総書記を仰いで叫ぶ万歳の声は波の音を抑えて鳴り響きました。

（政治―為民献身）