1万本以上

1万本以上

朝鮮人民軍将校だったキム・グァンチョルさんは40数年間で1万本以上の木を植えました。キムさんは10代の少年時代から父と一緒に木を植え始めました。結婚してからも妻と子たちと一緒に木を植え続けました。

キムさんは2010年、ピョンヤン市*1ラクラン区域*2のチョンベクと言う町*3に引っ越しました。そのアパートの周辺だけでもキムさんが植えた1千本を超える木が育っています。

「キムさんは皆が眠りこける早朝に剪定をし、帰宅してからも夜遅くまで木を植えました」
「アパートの玄関を一番先に出る人でした」
「多忙な人民軍の将校が進んで木を植え育てるというのは、容易ならぬことだと思います」

近所の人たちはキムさんのことをこう思い起こしています。

出張の多いキムさんが数十年間も持ち歩いたカバンには、いつも花の種や木の栽培に関する本が入っていました。良種の木の種を持ち帰り、自宅で苗木を育てましたが、まるで家が小さな育苗場も同じでした。

今年6月、キムさんは惜しくもこの世を去りました。軍人である前に、この国の息子として、生まれ育った家の庭は言うまでもなく、村の周辺の小高い丘や出張先で見た狭い空き地も国の一部分とみなし、人知れぬ献身と愛国の思いを捧げたキムさんは臨終を迎えるときも木のことを心配したそうです。

54歳の長いとはいえない一生でした。キムさんがこの地に植えた1万本を超える木々はキムさんが歩んできた美しい人生の足跡でした。

毎年、キムさんが植え育てた木々に花が咲き、香ばしい実がなるたびに、キムさんの子女と隣近所の人たちは、生まれた大地をそれほど愛した高潔な人生を思い起こすことでしょう。

そして、愛国のその魂を受け継ぎ、国の大地を美しく飾っていくでしょう。

（文化―くらし）