雪の塊を転がして諭した理屈

雪の塊を転がして諭した理屈

抗日革命闘争の時にあったことです。1930年代中頃、常設的な統一戦線組織体である祖国光復会の創立準備を進めていた偉大な金日成主席は、リ・ドンベク*1という人と民族の統一戦線体について話し合いました。

主席が抗日革命闘争の当初から守り通した重要な理念の一つが、各階層の反日愛国勢力を祖国解放の聖なる偉業のため一つに結集する統一戦線でした。リ・ドンベクは独立軍運動と派閥争いに明け暮れていた初期共産党運動に幻滅を覚え、遅まきながら抗日遊撃隊に入隊した人でした。隊員たちはパイプでタバコを吸うリのことを「パイプ爺さん」というあだ名で呼びました。

当時、リの見解は、フランス、スペイン、中国などでは共産党、社会党、国民党といった政党や労働運動団体があるので政党、団体の連合による人民戦線の結成が可能だったが、朝鮮に事実上、政党や合法団体がないので統一戦線体の組織は不可能ではないかということでした。

金日成主席は、リ・ドンベクに雪のかたまりを二つ渡し、それを一つにしてみるようにと言いました。そして、自分も小さなかたまりを雪の上に転がし、リの二つのかたまりを合わせたほどの大きさのものを作り上げ、こう言いました。

「さあ、見て御覧なさい、先生は二つの政党を連合して一つのかたまりをつくり、私は小さな求心力を利用してそれより大きなかたまりをつくりました。これでも、政党がなければ統一戦線体の組織は不可能だと言えるでしょうか」

リ・ドンベクは、主席が作った雪のかたまりをじっと見つめてつぶやきました。

「実に妙を得ています。けれども雪のかたまりは雪のかたまりで、政党は政党じゃありませんか」

主席は、笑みを浮かべ、ところが、われわれが体験する自然現象の中には社会現象と理屈の上で一致する事柄が少なくないと言いました。そして、前々から守り通して来た統一戦線路線と各階層の反日愛国勢力を結集する上で、新しい世代の革命家が積んだ経験についてつぶさに話しました。

主席は、統一戦線とは、必ず政党、団体の連合によってのみ結成されるものでない、政党・団体説を絶対視するとそれはドグマになる、大衆があり、指導的中核さえあれば統一戦線体をつくることは充分可能なことだ、目的と志向の同一性を基準にして十人であれ百人であれ結集すべきだというのが統一戦線についての私の見解だ、私はこうした立場にたって早くから統一戦線運動を推進して来たと一つ一つ教えました。

話を聞いたリ・ドンベクは、首筋を叩いて「やっぱりドグマが問題ですな」と言って高笑いをしました。

このように、金日成主席は反日愛国勢力を総動員して祖国解放のための聖なる闘いを繰り広げる過程に民族大団結の尊い経験と伝統をもたらしました。金日成主席の民族大団結の思想と業績は、敬愛する金正恩元帥の正しい導きの下、新たな高い段階で受け継がれています。