大統領の告白

1960年代に非同盟運動は独自の政治勢力として歴史の舞台に登場しました。それが1970年代に入り幾多の挑戦と難関の為、衰退期に陥る危険に直面しました。当時、一部の発展途上国は大国と西側諸国の顔色を伺って運動の加盟を躊躇いました。

そうした時のチュチェ64年（1975）6月、偉大な金日成主席が非同盟運動の創始国の一つである旧ユーゴスラビアに対する歴史的な訪問を行ないました。当時、チトー大統領は異例な事に訪問の全期間全ての行事に主席に同行しました。そればかりか毎日宿舎を訪れ滞在期間を延ばしてくれるよう頼みました。

空港で主席を見送った大統領は、こう語りました。

「これまで多くの国家元首に会ったが初対面でありながら、すぐ意思の疎通がスムーズになり親しみを感じたのは金日成主席だけだ」

1975年8月、朝鮮は非同盟運動に加盟しました。朝鮮の加盟に釣られて多くの国が我先にと運動に加盟するという、驚くべき事が起きました。それで1970年代後半には加盟国が100近くに増えました。

1977年8月、チトー大統領は80歳の高齢で朝鮮を訪れました。これについてイギリスのロイターは、「頑迷な大物チトーがはるばる極東へ旅する目的は、金日成主席に会い低迷状態の非同盟運動を活気付かせる解決策を見出す為だと考えられる」と報じました。

尤もな評価でした。全ての質問に明快な回答を与える主席を仰ぎチトー大統領は、「今後非同盟運動を発展させる為には、賢明な金日成主席が主導的役割を果たすべきです」と言いました。

それは非同盟運動の創始者の一人で無視出来ない権威だったチトー大統領の心中の告白でした。

（世界と朝鮮）

2020.08.23 サイト音声の聞き書き

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