花を育てるおばあさん

花を育てるおばあさん

ピョンアン南道*1テドン郡*2のシジョンという労働者区*3に「花を育てるおばあさん」と呼ばれる年寄りがいます。

話題の主人公はハン・ギョンオクさん。ハンさんの家の庭や村を囲んでいる小高い山々には様々な花の木がたくさんあります。毎年、春になると美しい花々が満開になり、村は花で埋め尽くされます。

花の咲き乱れるこうした光景は自然となされたものではありません。ハンさんが20年もの間、1日も欠かさず丹精をこらして花を育てた結果、生み出されたものです。

ハンさんは花がとても好きです。若い頃、職業を持つ主婦の忙しい身であったときにも庭先に花壇を作って花を育てました。季節折々、美しく咲く花々はハンさんの幸せな家庭に笑いを増し、花の栽培はハンさんの生活の一部分となりました。その日々、ハンさんは花の栽培の秘訣も会得し、栽培に関する常識も広めました。

定年後、ハンさんはわが子の面倒を見てやりながら余生を安らかに送ることもできましたが、国のために自分に出来るものはないだろうかと思案しました。そして村と周辺の小高い山々に花の木を植えて育てることを決心しました。

ハンさんは家で様々な品種の花の苗を育て、種子も採取して隣家の人たちに分けてあげ、村のあちこちに花壇を作って色とりどりの花を植えました。赤、ピンク、黄色など様々な花が調和して咲くマツバボタン、花の咲く期間が長いことにその名が由来したヒャクニチソウ、センジュ菊、コスモス、タチアオイなどなど。

雨風に花が折れないよう、寒風に花びらが散らないようフィルムを被せ、美しく充実した花を育てるハンさんの姿に見る人誰もが感動を覚えました。ハンさんは冬にも花を咲かせるため庭先にハウスを作りました。ハウスの管理に必要なフィルムや覆いを作るのに使われる稲の藁の収集、ハウスの温度管理、花の栽培で一年中休むことのないハンさんでした。

庭に趣味で花を栽培したこととは比べものにならないほど、手間のかかる仕事でした。指図する人があってするものでもなく、もっぱら村をより美しく作ろう、この一念に燃えてハンさんは熱心に花を育てました。そして村の周辺の小高い山々にもツツジ、クロフネツツジ、バラ、ムクゲなどの花の木を植えました。

ハンさんはこう話します。

「今年76歳になります。しかし、心はまだ青春です。余生を国のために捧げたい、これが私の一途な思いです」

生まれ育った故郷に真心を捧げているハンさんのような人たちがいて、朝鮮の大地はより美しくなっています。

（今日の朝鮮）