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新年を迎えて人々の間に祝賀と新年のあいさつを交わすのは仁・義・礼・知であるので、私もやはり少なくない親しい知人に新年のあいさつを送っている。

そのようにしていた中、大韓民国大統領のユン・ソクヨルが1日に発表したいわゆる新年の辞というものを見て、私がこの「恩師」をうっかり忘れていたことに気付いた。

「今年の上半期まで増強された韓米拡大抑止システムを完成して、北の核・ミサイル脅威を源泉封鎖する」、「北の核・ミサイル脅威に備えて韓国型3軸システムを強力に構築することに一層速度を出す」などといって、そうでなくても騒然とした自分の国内に「北の核・ミサイル恐怖症」を拡散させるために年明けから余念がない彼にあいさつの言葉を兼ねて今まで立てた「功労」を「称えて上げたい衝動に駆られた。

今の朝鮮半島の安保形勢が直ちに戦争が起きてもおかしくないほど極めて危うくなり、安保不安が大韓民国の日常茶飯事となったのは全て、ユン・ソクヨル大統領の「功労」である。

権力の座を見上げる時から思惟能力と人格が大変疑わしかったこの人間が権力を握った後、終始「力による平和」を云々し、拡大抑止力の増強と韓米合同軍事演習に没頭して大韓民国の運命を百尺竿頭にのせたことに対してみながみな、非難を浴びせているが、私は称えてあげたい。

揶揄に聞こえるかも知れないが、心からの言葉である。

米国の戦略核戦力を持ち込んで大韓民国を「目標板」につくり、一年中、時を構わず「政権終焉」のようなレトリックの脅威を口にしてき、無差別に各種規模の合同軍事演習を拡大、強行することで、大韓民国の「主たる敵」であるわれわれの怒りを最大に激昂させ、ソウルを狙った「引き金」の安全装置を完全に解いてくれるようなそんな「能力」は誰も身につけられるものではない。

安保をそっくり台無しにしたユン・ソクヨル大統領に対する非難がそちらの世の中では今後、増幅するのは明白であるが、われわれには自衛的で、当為性のある不可抗力の軍事力を培うことに大きく「貢献」した「特等功臣」と称えられるようになっている。

口には蜂蜜をつけ、懐には刃物をしのばせた凶悪で狡猾な人間より、相手に対する敵意を加減なくさらけ出す愚直で、頓馬な者を相手にするのがはるかにたやすいのではないか。

誰それに恐怖心を与えるとして、米国の原子力空母、原潜、核戦略爆撃機を忙し持ち込んだおかげで、われわれは名分堂々とし、実効性あるように自分の軍事力を高度に発展させることができた。

北の政権と軍隊は「掃滅すべき主たる敵」と規定し、言い立ててくれたのでわれわれは、本当の敵が誰であるのかを明白にし、対敵観念を鋭い銃剣のようになお一層研ぎ澄ませるようになり、「自由民主主義体制下の統一」を念仏のように唱えたので「民族の和解・団結」と「平和統一」のようなまぼろしにわれわれの人々の目が濁らないように目覚めさせることができたし、自ら先に9・19北南軍事分野での合意の条項をいじったので、反故同然のものに数年間も拘束されていたわが軍隊の軍事活動に再び翼がつくようになった。

その「功労」がなぜ大きくないと言えるのか。

こんな世の中を迎えてみると、青瓦台の前の主人が思い出される。

ムン・ジェイン、本当に聡明で秀でていて、狡猾な人だった。

素直なふりをし、われわれにくっついて平和の風呂敷包みを出してはわれわれの手を縛りつけておき、裏にまわっては自分がむさぼりたいものは全てむさぼりながらも、われわれが米国とその戦争屋を抑止するための展望的な軍事力を培うのにいろいろと制約を受けさせたのがムン・ジェインである。

われわれと対座して特有のたどたどしい口調で、「同じ血筋」だの、「平和」だの、「共同繁栄」だのと言っては、肉片でも切ってあげるようにとろけさせるその手際は並大抵のものではなかった。

振り返れば、実に扱いにくい相手であったし、本当に安保をむさぼるすべを知る人であった。

われわれには核とミサイル試射の禁止を哀願し、裏では米国産「F35A」を数十機ずつ搬入し、数隻の潜水艦を就役させたし、上司にくっついてミサイル射程制限措置の完全撤廃を実現させるなど、自分のやりたいことは全てやったのがまさにムン・ジェインである。

笑顔に唾はかけられぬと言う。

ムン・ジェインのそのうわべだけの「平和の意志」に足が引っ張られてわれわれが戦力強化のためにすべきこともできず、少なからぬ時間を費やしたのは大きな損失であった。

今、考えてみれば、もし第2のムン・ジェインが権力を握ったなら、われわれとしては大変なことであろう。

無知に近いくらいに「勇敢な」ユン・ソクヨルが大統領の権力の座を占めたのはわれわれにとって二度とない機会である。

ムン・ジェイン時代に損したのを10倍、20倍、いや、それ以上に取り戻せるようにしてくれるからである。

われわれが今、満足し、信頼する強大な軍事力は、ユン・ソクヨルが狂的に見せた軍事的対決姿勢がなかったなら、また口角泡を飛ばして吐いたわが国家に対する「崩壊」と「膺懲」のたわごとがなかったなら、事実上、それほど短期間内に培うことは困難だったはずだ。

うれしいことだと言おうか、感謝すべきことだと言おうか、とにかくユン・ソクヨルは今回の新年の辞というもので、今年の上半期まで「韓」米拡大抑止システムを完成すると力説することで、われわれにより圧倒的な核戦力の確保により拍車をかけなければならない当為性と正当性を改めて付与してくれた。

われわれは、実に「高価な贈り物」をもらった。

われわれの軍事力の強化に何の報酬も要求せず、尽きることを知らずに「貢献」するユン・ソクヨル大統領を「特等功臣」と言わざるを得ない。

今、ユン・ソクヨル大統領が年明けから「北風」と「総風」を巻き起こして振るう対決の狂気の沙汰を見れば、それでなくても危険極まりない大韓民国の哀れな運命を、昨年はまな板にのせたなら、今年は初めから棺の敷板の上に乗せようとする気勢である。

自分の行動、吐いた言辞がどんな結果を招くかも心配しない「勇敢な大統領」が出現したのは大韓民国としてはどうであるか知れないが、とにかくわれわれにはまたとない好機である。

私は、新年も大韓民国のユン・ソクヨル大統領がわが国家の軍事的強勢の飛躍的上昇のために、引き続き「特色ある寄与」をすると言うことに対し、もろ手を挙げて大歓迎する次第である。

チュチェ113（2024）年1月2日
ピョンヤン