15世紀の技術者チャン・ヨンシル

15世紀の技術者チャン・ヨンシル

15世紀前半、朝鮮には、気象観測器具と新型の金属活字をはじめ数多くのものを作った有能な技術者がいました。奴婢出身のチャン・ヨンシルです。

チャン・ヨンシルは公奴婢の息子に生まれ、父の顔も知らずに育ちました。母もリャンバンの召使でした。リャンバンのリャンは両側の両、バンは班長の班の字を書きます。昔の封建官僚のことで、文官は東班、武官は西班とされ、これを合わせて両班、リャンバンと言いました。奴婢の息子もやはり奴婢でした。

しかし、チャン・ヨンシルは手先が器用で人々の注目を集めました。壊れたタンスと農具を修理し、剣と槍、そして、車と船も作りました。段々チャン・ヨンシルは官庁にとても必要な人物となり、その名が王の耳にも入りました。こうしてチャン・ヨンシルは1432年、官吏に登用され、他の技術者、手工業者と共に金属製の色々な気象観測器具を作りました。

朝鮮中央歴史博物館のユ・ギョンヒさんのお話です。

「チャン・ヨンシルが作った代表的なものとして色々な形の日時計と水時計が挙げられます。特に水時計は今も人々を驚嘆させています。水時計は二つで、正確な時を刻む複雑な過程が水の力で自動的に行われるというのが特徴です。銅製のこの器具は当時としてはとても精巧なもので、世界に誇るだけあるものでした」

この器具の完成で天文現象と時間をもっと正確に知り、国の科学と技術を速やかに発展させることが出来ました。チャン・ヨンシルはまた、音楽分野の新たな成果に伴い活発になった色々な楽器の製作でも高い技術を発揮しました。このように奴婢から技術者になったチャン・ヨンシルは15世紀、朝鮮の科学技術の発展に大いに寄与しました。