金日成195504dd

すべての力を祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設のために

朝鮮革命の性格と任務にかんするテーゼ
1955年4月

金日成

１　現段階における朝鮮革命の性格

朝鮮人民は、日本帝国主義の長期にわたる植民地支配から解放されたときから真の自由を享有し、祖国の独立と繁栄をめざす新しい歴史の創造に踏みだした。

しかし、我が国の南半部に上陸したアメリカ軍は、はじめから日本帝国主義の支配機構を復活させ、朝鮮人民の悪辣な敵である地主、買弁資本家、親日・親米派、民族反逆者をかきあつめ、解放直後、人民の創意によって樹立された人民委員会と愛国的民主勢力を弾圧し、朝鮮人民の統一独立国家建設に反対して植民地政策を実施した。そのため、朝鮮革命は、複雑さと困難さと長期的な性格をおびるようになった。

我が党は、我が国につくりだされたこのような情勢にもとづいて、偉大なソ連軍がもたらした有利な諸条件を利用して、共和同北半部に、祖国統一の基礎となる強力な革命的民主基地を創設する道に入った。

あらゆる革命での基本問題は、権力にかんする問題である。解放後、我が党の指導のもとに、北半部の労働者階級は、勤労農民とのかたい同盟にもとづいて、いっさいの反帝国主義的、反封建的階層との広範な統一戦線を結成し人民政権を樹立した。

人民自身がみずからの手で組織した人民政権は、最も先進的な階級である労働者階級を主導的な勢力とし、各階層の愛国的民主勢力を自己のまわりに結集して、外来侵略勢力に反対し、朝鮮人民の極悪な敵である親日・親米派、民族反逆者、地主および買弁資本家にたいしては独裁を実施し、人民の自由と幸福のために民主制度をひきつづき強化することを基本任務と規定し、全人民をその実践のための闘争に奮い立たせた。

人民政権は、我が党の指導のもとに各階層の支持を受けながら、日本帝国主義の残存勢力を一掃し、帝国主義勢力の足場となっていた地主階級の土地を没収して広範な農民に無償で分配する歴史的な土地改革を実施し、日本帝国主義者と親日派、民族反逆者が所有していた産業、鉄道運輸、逓信、銀行などを没収して全人民的所有にした。また、労働法令、男女平等権法令、農業現物税にがんする法令などを制定し、司法および教育機関の民主化を実施し、先進的な民族文化と芸術の発展をはかり人民武力を創建した。

こうして、北半部で反帝反封建民主革命の課題は完全に遂行され、北半部の人民は漸次、社会主義へ移行する過渡期に入るようになった。

しかし、社会主義へ漸次移行するための北半部人民の闘争は、アメリカ帝国主義者と李承晩一味が挑発した３年間の戦争によって支障を受け、そのため、この闘争は長期を要するものとなった。

戦争は、人民の創設した民主制度と朝鮮人民にとって、最も厳しい試練となった。

北半部における民主主義革命の勝利と北半部の人民が経済建設でおさめた成果は、アメリカ帝国主義者とその手先、売国奴李承晩一味の武力侵略を退け、我が国の革命の根源地である北半部の民主基地を守りぬく偉大な力となった。

しかし、解放10周年を迎えるこんにちまで、我が国は統一されず、国土と民族は二分され、南半部はアメリカ帝国主義者の植民地となっている。

アメリカ帝国主義侵略者は、いまなお南朝鮮に居座っており、我が国の平和的統一に極力反対しながら、朝鮮でひきつづき緊張をつくり李承晩かいらい軍を増強する一方、「北進統一」を騒ぎたてている。

最近、アメリカ帝国主義者と反逆者李承晩一味が結んだ「韓米軍事・経済援助にかんする協定」によって、アメリカ帝国主義の植民地略奪政策はいっそう露骨になっている。

反逆者李承晩一味は、「帰属財産」を外国資本家、買弁資本家、悪徳商人に売り渡し、南朝鮮にたいする外国資本の自由な投資を「憲法」で保障している。

こんにち、南半部の産業はほとんど破綻し、労働者は過酷な奴隷的労働と失業に苦しんでおり、農村は荒廃し地主の搾取はますますひどくなっている。物価は天井知らずにはねあがっており、人民はひとかけらの自由もなく飢えと貧困にあえいでいる。

国土の分断と民族の分裂、そして南半部につくりだされたこのような情勢は、南半部の全人民にはかりしれない不幸と苦痛をもたらし、単一な我が国の正常な社会発展を阻んでいる。

それゆえ、現段階における我が国の革命の基本任務は、アメリカ帝国主義侵略勢力とその勢力を扶植し、その同盟者となっている南半部の地主、買弁資本家、親日・親米派、民族反逆者を打倒し、南半部の人民を帝国主義的および封建的抑圧と搾取から解放して、祖国の民主主義的統一と完全な民族独立を達成することにある。

南半部における革命の原動力は、労働者階級をはじめとし、その最も信頼すべき同盟者である農民と、アメリカ帝国主義および封建勢力に反対する広範を小ブルジョアジーであり、少なからぬ民族資本家とも反帝反封建闘争をともに進めることができる。

革命の敵は、アメリカ帝国主義侵略勢力とその勢力を扶植しその同盟者となっている南半部の地主、買弁資本家、親日・親米派、民族反逆者である。

もしも、世界反動勢力のかしらであるアメリカの干渉がなかったなら、朝鮮人民は久しい以前にすでに国内の反動勢力を打倒し、全朝鮮の範囲で反帝反封建民主革命の課題を勝利のうちに完遂したであろう。

アメリカ帝国主義者を我が国から追い出すことなしには、また、その手先李承晩一味を一掃することなしには革命の課題を完遂することはできない。

したがって朝鮮革命は、一方では反帝国主義的民族解放の課題を遂行し、他方では南半部でいまなお地主の圧迫と搾取を受けている広範な農民を解放する反封建的課題を遂行しなければならない。

こんにち、南半部の諸条件、特に南半部がアメリカ帝国主義者の植民地となっている状況のもとで、我が国の革命は長期かつ困難な性格をおびた全民族的闘争を通じて完遂されるであろう。

我々は、アメリカ帝国主義侵略勢力を退け、その指図を受けている売国奴李承晩一味を打倒して革命の勝利をかちとるために、すべての革命勢力を結集し困難な闘争を展開しなければならない。

こんにち、ソ連をはじめとする平和と民主主義と社会主義陣営の威力は日増しに増大し、その国際主義的団結は不敗の力に強化発展している。その反面、帝国主義陣営は、それ自体のもつ内部矛盾と相互のあつれきのために、ますます弱まっている。問題は、我々が国際主義の旗にいっそう忠実であり、帝国主義の滅亡を促進するために、どのように自己の力を強化し奮い起こすかにかかっている。

我が党と人民政権と大衆団体を強化し、南半部と北半部のすべての愛国的・民主的勢力を我が党のまわりにかたく団結させ、かれらをアメリカ帝国主義と李承晩一味に反対する全民族的な革命闘争に決起させるべきであり、我が国の革命の根源地である北半部の民主基地を政治的、経済的、軍事的に強化し、これをたんに帝国主義とその手先の侵略に反対して共和国北半部を防衛する強力な力に変えるばかりでなく、朝鮮の統一独立をたたかいとる決定的な力に変えなければならない。そのためには、北半部で革命をさらに前進させ、社会主義基礎建設の課題を徹底的に遂行すべきである。

社会主義への漸次的移行は、北半部における社会経済発展の必然的な要請である。

民主基地を強化するためには、工業と農業の生産力を速やかに発展させ、人民の物質・文化生活水準をいっそう向上させなければならない。現在、我が国に残っている小商品経済と資本主義的経済は、生産力の発展を妨げており、特に農村で支配的な個人農経営は、農業の急速な復興と将来の発展にとって大きな障害となっている。農家経営と私営商工業を社会主義的に改造することなしには、生産力の発展を保障することも人民生活を根本的に改善することもできず、労働者階級の指導する労農同盟にもとづく全人民の統一と団結を強化することもできない。

北半部の人民経済で圧倒的な比重を占めている国営経済と協同経済は、私的所有にもとづく小商品経済と、わずかな比重しか占めていない資本主義的経済とに決定的な影響を与えながら、必然的にそれらを社会主義的改造の道へと導いている。

このように、現段階における共和国北半部の社会的・経済的状態は、北半部での社会主義建設を社会発展の必然的な要求として提起している。

北半部における社会主義建設は、南半部の人民、特に労働者、農民と広範な小ブルジョアジーを力づける大きな推進力となり、ひいては南半部における一部の民族資本家との統一戦線の結成を助ける力となるであろう。

北半部における社会主義建設の成果は、たんに祖国の統一をたたかいとる決定的な力となるばかりでなく、祖国の統一が実現した後、南半部の経済を速やかに復興発展させ全国的規模で社会主義建設を進めるうえでも強力な物質的裏付けとなるであろう。

２　革命的民主基地の強化と北半部における社会主義建設の任務

１　共和国北半部における経済諸形態と階級関係

解放後、民主的変革がおこなわれた結果、北半部の社会経済構成は根本的に変わった。現段階における北半部の社会経済形態は基本的に３つに区分される。

第１は、社会主義的経済形態であり、 第２は、小商品経済形態であり、 第３は、資本主義的経済形態である。

社会主義的経済形態は、国営経済と協同経済からなっている。こんにち、社会主義的経済形態は、北半部で指導的な力となっており、特に、工芸においてその比重は圧倒的な優位を占めている。現在、我が国の全工業生産で国営経済は約90％、協同経済は７～８％を占めている。

社会主義的経済形態のもとでの人々の相互関係は、搾取から解放された勤労者の同志的な協力と援助である。かれらは、かつてのように搾取者を富ませるためではなく、自分自身のために、祖国の隆盛発展のために自由で栄誉ある労働をしており、労働の質と量に応じて分配を受けている。ここでは社会主義の経済法則が作用しており、生産はたえず増大する勤労者の物質的・文化的需要をみたすことに奉仕しながら、計画的に発展している。

小商品経済形態は、農業でなお圧倒的多数を占めている個人農経営と都市の手工業経営からなっている。過渡期の現段階では、我が国の人口の過半数が小商品経済形態に包括されている。

小商品生産は、生産手段にたいする私的所有と個人労働にもとづいている。小ブルジョアジーは、かれらのもつ二重性のために、社会主義と資本主義の二つの道のあいだで動揺するが、これは社会主義的に改造できる。特に、我が国における小ブルジョアジーは、土地改革をはじめ、民主諸改革による直接の恩恵を受け、人民民主主義制度の優位性と我が党と政府の政策の正しさを体験し、人民経済における社会主義的経済形態の急速な成長につれて、自発的に社会主義的勤労者（労働者または協同組合員）に改造されつつある。

資本主義的経済形態は、都市の資本主義的私営商工業と農村の富農経営からなっている。これは、共和国北半部にまだ残っている搾取形態である。この経済形態では、資本主義的経済法則が限られた範囲内で作用している。

北半部の人民経済で資本主義的経済形態は、社会主義的経済形態に比べて極めてわずかな比重しか占めていない。特に、工業部門における私的所有全体の比重は工業生産の２～３％にすぎず、それもほとんどが小規模な企業であり、精米、綿打ちなど二次的な部門に限られている。北半部の人民経済で社会主義的経済形態が成長し発展するにつれて、資本主義的経済形態は、しだいに社会主義的に改造されつつある。

いま、北半部の農村にはひきつづき小商品経済形態が残っているため、多かれ少なかれ農民の階級分化が進み富農が発生し成長している。かれらは、季節的もしくは固定的な雇用労働力を使い、穀物市場を通じて、また、現金や各種の現物による隠された高利貸し的方法と農機具、役畜などの高い貸し賃をとる方法で貧農を搾取している。

しかし共和国北半部では、「土地は耕作する農民に！」というスローガンのもとに土地改革がおこなわれたため、富農の経済的基盤は極めて弱い。特に、農村での協同組合の急速な成長につれて、富農の搾取対象はなくなりつつある。このような事情から、かれらはすすんで農業協同組合に入り、しだいに勤労農民として改造されるであろう。しかし、これは農村でなんらの階級闘争もなしに順調に実現されるものではなく、ある程度の敵の抵抗とたたかうなかで進められるであろう。

過渡期的性格をおびた共和国北半部の経済構造の基本的特徴と、北半部の社会経済発展の客観的な合法則性は以上のとおりである。これによって、北半部における社会主義建設のための、我が党の政策が規定される。

２　北半部における社会主義基礎建設のための我が党の任務

社会主義へ進む過渡期の現段階で我が党の果たすべき基本任務は、労働者と農民の同盟を強化しながら、戦後人民経済の復興発展のための闘争でかちとった成果を踏まえて、社会主義の基礎を建設することである。

人民経済のすべての分野で、小商品経済形態および資本主義的経済形態を漸次、社会主義的に改造して、社会主義的経済形態の支配的地位を拡大強化し、社会主義の物質的・技術的土台をきずくために、生産力を発展させなければならない。

そのためには、工業の植民地的跛行性および技術的後進性を克服し、社会主義的工業化の基礎をきずかなければならない。我が国で社会主義的工業化の基礎をきずくことは、工業化の第１段階を完成することになる。

社会主義的工業化の中心は、重工業を優先的に発展させることである。威力のある重工業が創設される条件のもとでのみ、すべての工業、運輸および農業の発展と社会主義制度の勝利を保障することができる。

日本帝国主義の植民地支配が残した重工業の後進性と奇形性は、解放後の我が国の経済の全般的な発展を阻み、特に、重工業と軽工業および農業のつりあいのとれた発展に大きな支障をきたした。

もし我々が、今後も我が国で強力な重工業を創設しないならば、元来、甚だしく立ち後れていた軽工業をたてなおすことも、農村に先進的な農業機械を供給することも、人民生活を根本的に改善することもできないであろう。強力な重工業が創設される条件のもとでのみ、経済の自立性と国家の自主的な発展は保障される。

農業では、自発性の原則にもとづいて農民を徐々に農業協同組合に引き入れ、個人農経営を社会主義的集団経営に変えなければならない。農業を社会主義的集団化の道へ発展させなければ、農業は工業の急速な発展についていけず、工業に原料と労働力の予備を補充することができない。これは結局、工業の発展に支障をきたし、したがって、北半部における社会経済の全般的な発展を阻むことになるであろう。同時にまた、農業を社会主義的集団経営に改造しなければ、農民の生活水準を速やかに向上させることも、農村で復活する富農やその他の搾取的要素を一掃することもできず、我が党の農村陣地を強固にすることもできないであろう。

手工業および個人経営の小商業は、経営の協同化を通じてしだいに社会主義的に改造すべきである。

都市と農村にまだ残っている資本主義的要素は、これを制限し利用しながら、漸進的な方法によって社会主義的に改造しなければならない。

そして、工業と農業の生産的結びつきを強化するばかりでなく、市場を通じての経済的結びつきも拡大し強化すべきである。

これと同時に、人民大衆を社会主義思想で教育し、かれらのなかから新しい技術者や文化部門の活動家を多数養成しなければならない。

戦後、我が党はこのような任務を遂行するために戦争で甚だしく破壊された人民経済の復興建設を３つの基本的段階に区分し、それを遂行するための闘争を展開している。

我が党は、戦後の人民経済復興発展のために、半年ないし１年の全般的な復興建設のための準備段階と、人民経済の各分野で戦争の被害を完全に取り除き、工業と農業の生産を戦前の水準に引き上げるための３か年計画の実施段階と、さらに社会主義的工業化の基礎をきずく５か年計画の実施段階をもうけた。

我が党は、重工業の優先的な発展を保障しながら同時に軽工業と農業を発展させることを、戦後における経済建設の基本路線として規定した。

我々は、３か年計画期間に、工業部門では、人民生活の改善と密接なつながりをもつ重工業部門に力を集中し、破壊された工場と製造所の復旧に重点をおきながら、同時にそれを新しい技術にもとづいてたてなおし、一部の工場を新設する方針をとっている。これとともに破壊された工場を機械的にもとの位置に復旧すべきではなく、一部の工場は復旧の速度と経済上の節約を保障するために以前の位置に復旧するが、新しく建設する工場と製造所は、我が国の原料資源と交通運輸および既存の工業施設との有機的なつながりを考慮して配置することを規定した。

３か年計画が終わる1956年に、工業総生産高は戦前の1949年水準の1.5倍に、そのうち生産手段の生産は1.3倍、消費財の生産は２倍にそれぞれ増大するであろう。工業生産のこのような増大を確保するために、３年のあいだに373億6000万円（ウォン）の資金を工業部門に投資することになる。

３か年計画期間に、共和国北半部では以前にあった工場や企業所が復旧されるばかりでなく、多くの機械工場が新設され、軽工業も同時に急速に復興発展するであろう。

1956年までには、６万～10万錘の紡績機をもち、年間4000万～8000万メートルの織物を生産できる紡織工場をはじめ、缶詰工場、食肉加工工場など多くの軽工業工場が新設されるであろう。

３か年人民経済計画には、農業の急速な復興発展とその社会主義的改造のために、巨額の国家的支援が予定されている。３か年計画期間に、農業部門には55億7500万円が投資され、そのうち22億2500万円は潅漑工事に投資されるであろう。

農業の急速な発展は、住民により多くの食糧を供拾し、軽工業により多くの原料を与えるであろう。1956年に、穀物の総収穫高は戦前の1949年度の水準を19％上回り、そのうち米の総収穫高は30％増加するであろう。

３か年計画期間に、急速に復興発展する工業と農業は、生活必需品にたいする住民の増大する需要を満たすようになり、食料品と工業製品の配給制を撤廃し自由販売にうつるために必要な条件をつくりだすであろう。

３か年計画期間に、教育・文化部門では、全般的な初等義務教育制を実施する諸条件がつくられ、大学生の数は２万2500名に達するであろう。民族文化と芸術はさらに発展し13万4000の座席をもつ劇場、映画館およびクラブが復旧または新設されるであろう。

３か年計画が終わる1956年には、戦争で破壊された人民経済は基本的に復旧され、こうして北半部での戦後の復興期は終わるであろう。この時期に復興される工業と農業は、今後、我が国の経済を完全に社会主義的経済に改造できる強固な土台となるであろう。

これを土台にして、近い将来立てられる人民経済発展第１次５か年計画の中心課題は、我が国に社会主義の基礎を建設することである。

５か年計画期間に、重工業部門ではまず、３か年計画期間にまだ復旧できなかった製鉄所を完全に復旧して年に約100万トンの銑鉄を生産し、機械製作工業をいちだんと発展させて年間2000台の工作機械を生産するようになるであろう。

５か年計画の終わる1961年には、電力の総生産能力は185万ＫＷに達し、石炭生産は850万～900万トンに増大することが予想される。

我が国の化学工業は、40万トン以上の肥料を国家に提供するであろう。

５か年計画期間に、我が国の地下資源はさらに多く開発されて社会主義の基礎建設に寄与するとともに、外貨獲得の主な源泉となるであろう。

５か年計画期間には、人民の福祉増進のための生活必需品が大量に生産されるであろう。

５か年計画期間に、軽工業部門では人民の主な生活必需品である織物の生産と食品の加工に重点的に注意が払われるであろう。1961年には１億5000万メートルの各種の織物が生産され、共和国北半部の人口一人当たり約15メートルがゆきわたり、また、主要都市の近くには野菜および食肉加工工場と製粉工場が建設されるであろう。

５か年計画期間に、農業部門では350万トンの穀物、15万トンの食肉、15万トンのてんさい、５万トンの綿花と８万トンの果物、３万トンのまゆを生産するであろう。こうして、北半部の食糧問題は解決され、軽工業原料の需要はいっそう円滑に満たされるであろう。

５か年計画期間に、共和国北半部では農業を全面的に協同化して、農村から搾取と貧困の根源を一掃し、農業の社会主義的改造を完成するであろう。

このような膨大な計画を遂行するためには、政治的に鍛えられ先進的な科学と技術を身につけた多くの幹部が必要である。５か年計画の最終年度である1961年に、13万余のすぐれた技師や技手を養成しなければならない。

北半部で社会主義の基礎を建設するのは、膨大でしかも困難な事業である。しかし、朝鮮労働党によって指導される朝鮮人民は、この偉大な課題を立派に遂行することができる。

我が党の指導のもとに、労働者階級を中核とする労農同盟にもとづいた広範な人民大衆の政治的・道徳的統一が実現し、発展しており、北半部での社会主義建設は幾百万勤労人民の積極的な支持を受けている。

我々には、戦前の５年間の平和的建設と戦後の人民経済復興建設のたたかいで積み上げた貴重な経験があり、３年間の厳しい戦争で鍛えられ洗練された100万の党員と英雄的な人民がある。

我が国にはまた、社会主義建設に必要な豊かな天然資源がある。

我々は、ソ連をはじめ、中華人民共和国と人民民主主義諸国の先進的な経験を利用することができるばかりでなく、これらの国々から莫大な経済的・技術的援助を受けている。

これらすべてのことは、我が国の北半部での社会主義建設のために、主観的にも客観的にも有利な条件となるものである。

しかし、我が国の社会主義建設には隘路や難関もある。

我が国の工業は極めて歴史が浅いうえに、戦争によって余すところなく破壊され、豊富な資源はまだ十分開発されておらず、産業部門の幹部も非常に不足している。

人民の文化水準はまだ低く、古い思想の影響も完全になくなってはいない。

我が国の社会主義建設は、工業地帯の北半部と農業地帯の南半部が人為的に切り離され、国際反動のかしらであるアメリカ帝国主義者が南半部をひきつづき占領して、北半部の建設を破壊するためにやっきになっている条件のもとで進められる。

我々は、これらすべての隘路と難関にうちかって、社会主義基礎建設のための課題を成功裏に遂行しなければならず、また遂行することができる。

朝鮮労働党は、朝鮮人民のすべての勝利の組織者であり鼓舞者である。祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設のためのたたかいで、我が党を組織的、思想的に強化するのは勝利の保証である。

党を組織的、思想的に強化するためには、党隊列の鉄の統一と団結を保ち、党規律を強化し、党内民主主義を発展させなければならない。党内民主主義の発揚は、各級党委員会の活動を改善し、党の集団指導を強化する条件のもとでしか保障されない。各党員と幹部は、党の指導における集団的原則をかたく守り、それに反するいっさいの個人英雄主義的・自由主義的傾向と断固たたかうべきである。

すべての党員は、マルクス・レーニン主義理論でしっかりと武装し、我が党の歴史と党の決定を系統的に研究し、ソ連共産党をはじめ、兄弟諸国の共産党および労働党の社会主義建設の経験を真剣に研究して取り入れ、経済建設にかんする理論および科学・技術知識をたえず修得し、自己の実務的および文化的水準を向上させなければならない。

党の路線と政策を実現するために、労働者階級の指導する労農同盟にもとづく国家権力を強化すべきである。

共和国の南半部を占領しているアメリカ帝国主義者とその手先である国内反動勢力は、祖国の統一独立に反対し、北半部における社会主義の基礎建設を破綻させるために、あらゆる手段を尽くして策動している。

国家権力機関を強化することによってのみ、人民大衆を党と政府のまわりにますますかたく団結させ、革命の敵の反抗を徹底的におさえ、社会主義建設の大業を立派に遂行することができる。反革命分子とスパイ、破壊・謀略分子などにたいする独裁を強化し、人民大衆のなかで民主主義を発揚させるのは、社会主義建設を遂行するための重要な条件である。

我が党が遂行すべき最も重要な課題の一つは、人民武力を強化することである。

人民軍を強化することによってのみ、人民の血と汗でたたかいとった貴重な諸成果と民主基地を敵の侵害から鉄壁のように守り、社会主義建設を立派に進めることができるのである。それゆえ我が党は、人民軍を鋼鉄の幹部軍隊に鍛え、人民軍にたいする全人民的な援護を強化するために全力を尽くすべきである。

祖国の統一独立と共和国北半部における社会主義建設をめざす我が党の路線と政策は、全朝鮮人民の進むべき道をさし示している。

朝鮮人民は、我が党の指導のもとに苦難にみちた闘争のなかであらゆる難関と試練にうちかち、常に勝利してきた。党のまわりに鉄のようにかたく団結し、党がさし示す道に従って、輝かしい未来をめざして進む朝鮮人民の前途をさえぎる力はない。

朝鮮人民は、我が党の指導のもとに、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の旗を高くかかげ、ソ連を先頭とする平和と民主主義と社会主義陣営の人民との団結を強め、自己の革命勢力を強化して、祖国の統一独立と社会主義のための正義の闘争で必ず勝利するであろう。

出典：「金日成著作集」9巻

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