能書家ハン・ソクポン

能書家　韓石峰

16～17世紀に朝鮮で名筆をもって広く聞こえたのはハン・ソクポン*1です。

書道に励む一方、朝鮮と他国の名筆の筆跡に対する研究も深めて、独自の書体を創造しました。ソクポン書体と呼ばれ、国の書道の発展に大きな影響を及ぼしました。

その書風は字画を崩さないきちんとした書き方の楷書をモデルとします。その書体に、人々は千軍万馬が勢いこんで走るかと思うと、矢をつがえて弓を引っ張った時のように力が感じられると賛辞を惜しまなかったと言います。

端整ながら優雅で、元気一杯のソクポン書体は、字画の大小を問わず、独特な書の美の妙を引き出しています。その筆跡の多くが今に伝えられていますが、広く知られたのは「千字文」です。その書体は当時、国内はもちろん、海外にも広く知られました。

社会科学院民族古典研究所のタク・リョンボム研究室主任のお話です。

「ハン･ソクポンは中世朝鮮の書道を代表する名筆の1人です。どれほど上手に字を書いたかは、他国の能書家もその書体を見て歴代の名筆を遥かに凌ぐと高く評価し、他国の使者はその筆跡を宝のように思って持ち帰ったと言うことからよく分かります。当時の国王ソンジョもその書体に感服し、その才能を大事にして、『朕が君の筆跡を求めるのは、君の筆法を後代に伝えるためのことで、倦怠を感じる時は無理に書かず、字を書く時もなおざりにしたり、焦ったりしてはならない』と頼んだと言います」

ソクポン書体の筆法は個性が独特なので、国の貴い民族書道の遺産となっています。

（観光）