昔話「野鼠とリス」

昔話「野鼠とリス」

朝鮮の昔話には「野鼠とリス」もあります。
では、そのストーリーをお話しましょう。

昔々、ある家に野鼠がひっそりと隠れて住んでいました。
野鼠は、毎日米と肉を盗んではお腹いっぱい食べていたのです。
でも、家の主人が猫を連れてきてからは、猫が怖くて自由に出歩けませんでした。
野鼠は、この家でなくても住家はあるはずだと思い、猫がいない山奥に入りました。
どんぐりを熱心に拾っているリスに会った野鼠は言いました。
「まあまあ、そんなに辛い仕事をしながら暮らすとは・・・。
今のように苦労せず、食べ物の心配をしたくないなら、僕についてこいよ」
リスはその話につられて野鼠について行きました。

幹の空洞に構えた熊の家に着いた野鼠とリスが倉庫の中を覗くと、栗やら干し魚やらが天井まで積まれていました。
倉庫の中に入った野鼠は、主人面をして、これはみな僕たちのものも同じだから、一年間、たらふく食べてもあまると豪語しました。
パクパクと食べていた野鼠は、小さくなって立っているリスに、猫がいない山の中で何が怖くて震えるのかと言いました。
何日間、倉庫に誰も近寄らなかったので、リスは、汗を流さずに食べられるんだ、野鼠についてきてよかったと思いました。
数日後、倉庫に入ってきて、食べ物が半分も減ったのをみた熊が、かんかんになって倉庫の中を見回しました。
隅っこに隠れていた野鼠とリスを見つけた熊は逃げ出す野鼠とリスを丸太のような足で踏みつけました。

やっとのことで命拾いをした野鼠とリスは、ある岩の下にたどり着きましたが、互いに相手をみては驚きました。
野鼠の尻尾は皮が丸ごと剥がれて糸のように細くなり、リスの背と尻尾には熊の爪の痕が何本もあったのです。
なるほど、どうして野鼠の尻尾が細くなり、リスの背に何本もの線が出来たのかよく分かったでしょう。
このお話は、せっせと仕事をせずにのらくらしたのでは、生きていけないという教訓を与えています。

（コンテンツ―本）