落ち葉から映画のテーマソングを

落ち葉から映画のテーマソングを

朝鮮の名のある作家の一人であるチョン・ドンウ*1さんが、劇映画「私を待つな」のテーマソングを創作するときのことです。

この映画は、アメリカ帝国主義者の侵略を退ける1950年代の祖国解放戦争のとき、青春の最後の血一滴まで捧げて、国を守った朝鮮人民軍パイロットのヒロイズムを見せる作品です。

映画のテーマソングの創作を受け持ったチョンさんは、ヒーローの精神にひきつけられてペンを手にしましたが、詩想が浮かばず、しばらく物思いに耽っていました。

ある日のことでした、その日も歌詞の草稿が気に入らず、それを消してしまったチョンさんは、朝鮮映画文学創作社の構内の小さな庭園に行きました。

（映画のヒーローの気高い精神をどう表したら良いものか）

チョンさんは長いこと庭園を歩き続けました。

晩秋の風に落ち葉がひらひらとチョンさんの頭の上に舞い降りました。石のベンチに座ってぼんやりと木の根元を眺めました。落ち葉があちこちに舞い降りる中、いくつかの落ち葉は木の根元に落ちました。作家にはそれが木の根を覆うため落ちたように見えました。

木の根と落ち葉、落ち葉と木の根・・・

このように思索に耽っていたチョンさんは、ふと、落ち葉がそのまま土になれば、との考えに膝を打ちました。

（すっかり乾いた葉も、あのように落ちて根を守り、元肥になる、まさにこれだ）

チョンさんの頭の中には、「あなたは大きな一本の木、私は枝の小さな葉」という詩語が浮かびました。これは、祖国解放戦争のとき、人民軍軍人が何のために青春も、生命も惜しみなく捧げて戦ったのかという映画のテーマを、鮮明に、情緒豊かに見せる詩の発見でした。

あなたは大きな一本の木
私は枝の小さな葉
風に吹かれ散ったとて
土になって根をまもる
あ　うるわしき
あなたは私のすべて

舞い落ちる木の葉から歌詞の1番が生まれました。歌詞の全体をつかむと、2番と3番はおのずと流れてきました。こうして生まれたのが名曲「とわに祖国の息子」でした。

このようにチョン・ドンウさんは、自然現象の細かい観察から、思索あり、哲学ありの奥深い歌詞を編み出しました。

金日成賞受賞者のチョン・ドンウさんは、生涯、数百編の歌詞と詩、シナリオなどを創作しましたが、朝鮮人民は映画のテーマソングの作家として覚えています。

（文化―芸術、スポーツ）

チョン・ドンウ：歌「われらを見よ」、歌「教えてくれたのは誰」、歌「心から労働党についていく」、歌「妻の歌」、歌「母親への思い」、歌「私は知った」、国の花と呼ばれる女性の歌、人民の心に刻まれた歌、生家の思い出（歌）