※オープニング
(歌)
飛んで 跳ねて 遊ぶときゃ
仲良し こよしのお友だち
試合じゃ 誰もが譲りはしない
高い山や深い川
知恵で超えるお友だち
負けず嫌いのかしこいタヌキ
かしこいタヌキ
(10)
追い払われたトラ
「今日は何の嬉しい便りかな?」(※鳥が3匹の所に手紙を運んで来る)
『招待状 豊作祝いのパーティーに親しい友だちを招待する。 シカの村』
「シカの村がにぎわうだろう」
「嬉しい」
※はしゃぐ3匹。ブタのおじさんがパンク修理をしている。
「あれ?」
「ブウのおじさん、また突っ走ったね」
「いや、あんなにいっぱい積んでおいて…」
「さて、おまえたち、どこへ行くのかい?」
「シカのおじいさんから豊作祝いのパーティーに招かれたの」
「おれもそこへ行くところだ、ちょうど良かったな ちょっと待って」
「シカのおじいさんから頼まれたものだが、これを先に持って行ってくれないか」
―何ですか?
―やあ、コイ
「じゃ、これはシカのおじいさんが飲むと長生きすると言う不老酒だよ 火がぱっとつきやすいから…」
「やあ、すごいね」
「車をなおしてついていくから、おまえたちは先に行ってね」
―早くついて来なさい
―うん、気をつけてね
「割れちゃうよ」
「いいね」
「冷たい、冷たい」
「トラだ!」
「怖がるな」
「早く逃げよう」
「逃げたって、黙っているはずない どいて、おれが運転するぞ」
―くまちゃん、注意しなよ
―心配するな
※クマ、車を急発進させる。
「大変だ」
※トラが車を押さえている。
「どうして空回りするの?」
※トラと目が合いネコが気絶する。
「ネコちゃん、どうしたの? ネコちゃん」
※車の屋根に上って覗き込むトラと目が合いクマが気絶する。
「クマちゃん、クマちゃん きみまで…」
※車を運転するタヌキ。
「川?そうだ」
※トラを屋根に乗せたまま車を走らせ急カーブでトラを振り落とす。トラは川へ落ちる。その勢いで車は転倒大破。
「これ、どうしよう?」
「ネコちゃん みんな、しっかりして」
「やあ、タヌキちゃん トラのやつ、どうなったの?」
「トラのやつ、川におぼれちゃったよ」
―川に?
―うん
※崖の上から川を覗き込む3匹。川から上がってくるトラ。
「車までこわして、逃げられずに死んじゃうだろう」
「死なない こんな時ほど気をたしかに持たなきゃ」
「気をたしかに持ったって、トラのやつがおれたちを生かしておくものか」
「隠れる場所もないんだよ」
「おい、あの木の上に早く上るんだ」
「ちょっと、トラは火を恐れるそうだね そう、あれを利用して…」
※タヌキはクマとネコを先に行かせ、ブウのおじさんから預かった不老酒と魚、ダッシュボードからライターを取り出して後を追う。
―一緒に行こう
―死が迫ったというのに、あれは何だ?
―手伝ってくれよ
―困ったね、これは何だ?
―何か要るから
「早く早く」
「タヌキちゃん、早く早く」
「あっ」(※タヌキ、トラに尻尾の先をかじられる)
※木に上る3匹、その木を引き抜こうとするトラ。
「シカのおじいさんにも会えずに…」
「シカのおじいさん」
「じゃ、タヌキちゃんたちが来たら、始めよう」
「あの子たちは、先に行ったのに… もしかすると、道に迷って、トラの谷に…」
「何、トラに谷って?」
※樹上の3匹を襲うトラ。
「ネコちゃん、魚を渡して」
「魚? 何するんだ?」
※魚を食べているトラ。
「クマちゃん、不老酒を渡して」
「これまで…」
「ほら、食え」
「あれあれ… シカのおじいさんに上げようとしてたのに、残らず飲んじゃうよ」
※不老酒を飲み魚を食うトラ。酩酊する。
「しめた」
※タヌキ、手拭い?に残りの不老酒を滲み込ませ、火を点けてトラに投げつける。
「やっ、これも食え」
※火だるまになるトラ、喜ぶ樹上の3匹。
「やあ、タヌキちゃん」
※黒コゲになったトラは逃げて行く。
「おじいさん!」
「クマちゃん、タヌキちゃん、ネコちゃん!」
「どうしたことなの?」
「タヌキちゃんがトラを追い払ったんだね えらい、えらい」
「トラに襲われても気さえ確かなら助かるということわざは、お前たちのことを指してのことだね」
(芸術)
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