朝鮮の劇映画「キキョウの花」

朝鮮の劇映画「キキョウの花」

朝鮮の劇映画「キキョウの花」はチュチェ76（1987）年、当時の朝鮮2月8日劇映画撮影所で製作されました。映画は故郷と祖国を大事にし、そのために尽くしたことのない人は祖国について語る資格がなく、母なる祖国の真の息子、娘としての栄誉を担うこともできないという生活の真理を見せています。

映画はある辺鄙な山里であったことをストーリーにしています。ヒロインのチン・ソンリムは故郷を自分の手で都会に劣らない幸せなところに造る夢を見ている娘です。辺鄙な山里を住みよい所に変えるため一生懸命働くチン・ソンリムと自分ひとり楽になるといって都会へ出る恋人のパク・ウォンボンとの関係をプロットにしています。

恋人のパク・ウォンボンは幸せを求めて故郷を後にしますが、チン・ソンリムは真面目に働き、村人たちと力を合わせて電機も引き、棚田や魚が群れをなす養殖場も作ります。人の住めるようなところではないといわれていた故郷を幸せいっぱいのところに作ります。その過程にチン・ソンリムは作業班長から管理委員長に成長します。

ある日、20年ぶりにあった台風と集中豪雨によって山崩れが起きます。チン・ソンリムは危険に瀕した羊小屋に行って百頭余りの羊を救い出し、惜しくも命を落とします。故郷のために命を捧げたチン・ソンリムに共和国英雄称号が授けられ、その功績が紙上に広く紹介されます。

一方、パク・ウォンボンは遅まきながら、短い人生ではあるが、真の生活の道を教えたチン・ソンリムを自分の生活の永遠の師と思うようになります。映画は個人の運命と故郷の運命、祖国の運命との相互関係に対する深刻な社会問題を提示し、故郷を愛する人が祖国も愛するという生活の真理を思想性・芸術性共に豊かに見せています。

映画は登場人物の性格と心理に合うよう見事に作られただけでなく、台詞と撮影、音楽など全ての表現の手段と手法が申し分なく、これが映画の思想性と芸術性を引き立てています。

映画はチュチェ76（1987）年の第1回ピョンヤン国際映画際でフェップル金賞に輝きました。