サミョンダン

四溟堂

文禄・慶長の役という1590年代の日本による朝鮮侵略を退ける戦いを朝鮮の歴史で壬辰祖国戦争と呼びます。サミョンダンは、その時、大きな功を立てた僧侶出身の義兵長です。

幼い時、父を亡くして祖父の許で育ち、13歳の時、出家しました。1592年、壬辰祖国戦争が起きると、700人の僧侶で義兵部隊を組み、ピョンヤン城戦闘で大きな戦果を挙げました。

サミョンダンは、名立たる外交活動家でもありました。1594年春から、封建政府の指示でプサンの敵陣に何度も入って敵将の加藤清正に会い、強硬外交で相手の横柄な要求をはねつけ、敵軍をジレンマに立たせました。当時のエピソードが今に伝えられています。

談判の時、加藤清正は朝鮮では何が宝になるか聞きました。サミョンダンは「君の頭がわれわれの宝になる」と答えて、敵将の心胆を寒からしめたとのことです。

戦後の1604年、サミョンダンは国書を持って日本に渡り、徳川家康と講和談判を行いました。そして、日本に連行された数千人の朝鮮人を取り戻して帰国しました。

今も、サミョンダンは国と民族への愛情に燃え、正義感の強かった僧侶として広く知られています。