血縁

血縁

この3月、朝鮮労働党と人民の最高指導者金正恩同志が朝鮮西海の島、チョ島*1の防御隊を視察したとのニュースが伝えられた。金正恩最高司令官が島の軍人家族と共に撮った記念写真が特別人目を引いた。

美しく着飾って気取って撮った写真ではない。普段着の女性たちが最高司令官を中心に感激に溢れ、幸せに満ちている、すっかり打ち解けた雰囲気である。後で、最高司令官に随行した人から写真にまつわる話を聞いて感動を抑えることが出来なかった。

その日、最高司令官の島防御隊視察の知らせを聞いて将校の奥さんたちが兵舎の外まで駆け付け、万歳を叫んでいたという。遠くからそれを見た最高司令官が手招きをした。

…最高司令官が私たちを呼んでいる…

夢のようであった。次の瞬間、思いがけないことが起きた。女性たちが夢中になって走り出したのだ。靴が脱がれても、石につまずいて転んでも一途に走り続けた。実に涙ぐましい光景であった。

日頃はちょっとしたことにもすぐはにかんでいた女性たちが打って変わって、ためらうことなく走って行くのである。待ちに待った実家のお父さんが来たように…そして最高司令官に抱きつきながら喉を詰まらせて叫んだ。

「将軍様！」

人民皆の優しい父、金正日総書記を「将軍様」と呼んだ時のように、我知らず金正恩最高司令官も「将軍様」と呼んだのである。とめどなく流れる女性たちの涙が最高司令官の上着の裾を濡らした。

よく、言行は、人の思想と感情の表れだというが、かくも真実で、かくも熱い人たちの感情を何と言い表したら良いものか。昨年12月、金正日総書記を突然亡くして悲しみに泣き崩れる朝鮮人民の姿をテレビで見たあるヨーロッパの人が言ったことがある。

…世界にこのような民族もあったのか。人民皆が喪主となって父を呼んでまた呼ぶあの悲しみ様は、血のつながっている関係でないと到底真似ることが出来ない…

血のつながっている関係、その通りである。

第三者のヨーロッパ人が言ったことは、島の一般女性たちの感情を十二分に説明している。それはかの有名な演出家も作り出せず、どの民族にも見られない12月の日々に示された朝鮮人民の真実な感情の縮図なのだ。切っても切れないのが血縁、血のつながりの関係だ。

しかし朝鮮人民の血縁は家族法によって結ばれる単なる血筋の関係ではない。ひたすら人民のために尽くした金日成主席と金正日総書記の限りない献身、人民の運命を見守り暖かく包み入れてくれる指導者への限りない衷情、これはペクトゥ山*2に根を下ろした血縁であり、指導者と人民が一つになった金日成民族、金正日朝鮮の素顔である。

変わりない血縁なのでチョ島の女性たちが主席と総書記そっくりの金正恩最高司令官を何の分け隔てなく「将軍様」と呼び、父親のように優しいその胸に抱かれて熱い涙を流しているのだ。

血のつながっている人たちの力は無限のものだ。世界のどこにもない指導者と人民との特異な血縁関係。これは連綿と続くペクトゥ山の血筋の核心であり、核兵器よりも強い朝鮮の一心団結の礎である。

世界に向けて声高らかに叫びたい。世界のどこにもないかくも熱い血縁関係にあるので朝鮮は強く、朝鮮民族は偉大な民族だ、と。