老いを知らない

老いを知らない

一般的に年をとって定年退職すると、色々と考えさせられるのが普通です。これから何をするのか。この問いに自分なりの選択と努力で立派な答えを与える年寄りたちがいます。

ピョンヤン市*1ラクラン区域*2のスンリという町*3に住むリ・ヌンソクさんは「アロニアのお爺さん」と呼ばれています。一生を鉄道部門に勤めたリさんは10数年前、定年を迎えました。

老化による心臓病を患っていたリさんは、アロニアの実が血液を清め、心臓病と脳病にもよいとの話を聞きました。それで家の庭に苗木を植えて育てました。木の栽培のお陰か、アロニアの実を食べたのが幸いしたのか、具合がよくなりました。

アロニアのお恵みに預かったリさんは、自分独りだけでなく、みなの健康を思いました。それでアロニアをもっと多く植えて丹精して栽培し、毎年、多量の実を採って参戦老兵と戦傷栄誉軍人に送りました。また、妻と一緒に7万本の苗木を生産して多くのところに送りました。

それらの苗木が至るところに根を下ろして景色に彩を添え、実は強壮剤に使われています。アロニアを広め、より多くの人にその恩恵を被らせようとのリさんの意欲的な取り組みには、若い人も驚くばかりです。

ピョンヤン市トンデウォン区域*4のトンデウォンという町*5に90歳近くの参戦老兵のお婆さんが住んでいますが、84歳に博士号を取得しました。コンクリート同士はもとより、板石やタイルなどの仕上げ材もコンクリートの面に鉄筋なしに接着できるばかりか、コンクリート防水材料にも使われる高強度構造接着剤を開発した老博士の名はパク・ボンシルです。

パクさんの発明品は日増しに結合強度が上がり、コンクリートが割れても継ぎ目は丈夫で、重さが数百キログラムの板石のコンクリート面への接着も簡単にできるので技術的に優れていますが、分けても、原料と添加剤がすべて国内のものなので現場で大効を奏しています。

これには、国の万年の計の建築のために試行錯誤を重ねた参戦老兵の科学者の倦むことのない情熱が込められています。建設現場で偶然に労働者の話を聞いて研究テーマを選び、数十年間、実に血の滲むような努力を傾けました。

今もパクさんは国のためうんちくを傾け、探究の道を歩み続けています。

ピョンヤン市チュン区域*6のヨクチョンという町*7に住むリ・ヒョンテさんは功労技術者の称号を受けた82歳の人です。定年になってから節水器を研究しました。

この節水器はピョンヤン市ピョンチョン区域*8のミレという町とリャンガン道*9サムジヨン市*10に導入され、電気と水を大いに節約しています。それだけでなく、道路掃除機を製作してチュン区域とピョンチョン区域の道路施設管理部門に送り、自然対流式の灸の治療機器も開発しました。

健康を案じる周りの人たちにリさんはこう語ります。

―私たちが晩年を楽に送ることに異議を唱える人はいない。しかし、社会と集団のために何かを残した時、生き甲斐のある晩年だと言えるのではないか―

多くの年寄りたちが国の繁栄のため微力ながら尽くそうと、有益な仕事を見出して晩年を送っています。

定年から10年、20年が経ち、人生の黄昏に生きても、その愛国心には老年期がありません。

（文化―くらし）