民族教育の花園の中で

民族教育の花園の中で

社会科学院歴史研究所のアカデミー会員候補、教授、博士チョ・ヒスンさんの手記をお送りします。

私は年を取るにつれ、人生を振り返るときがたびたびあります。そのたびに、不世出の偉人たちの恩愛の中、民族教育の花園で学び、育ったその時のことが思い出されます。異国の地に住む朝鮮人にとって民族の言葉と文字、歴史と文化を教える民族教育は同胞社会の存亡にかかわる大事な死活問題でした。金日成主席が築いた民族教育の花園がなかったなら夫を失い、女手一つで養う6人兄弟の末っ子だった私が心に一点の曇りもなく系統的な教育を受けることはできなかったでしょう。日差し明るい教室で民族の魂を身につけ、希望の翼をいっぱい広げていた忘れられない日々のことがまざまざと目に浮かんできます。民族教育のおかげで私も歴史探究の道に入ることになりました。

私は当時、朝鮮総聯の倉敷朝鮮初中級学校に通っていましたが、ある日、日本の歴史の本を読んで深刻な矛盾点に気づきました。本に書かれた朝鮮の歴史についての部分が私が朝鮮学校で学んだことと全く裏腹に書かれていたからでした。調べてみた結果、それは朝鮮民族の悠久な歴史を歪曲し、抹殺しようとする日本の反動勢力の厚顔無恥な行為の所産でした。その時、幼心にも激しい憤りを覚えました。そして心に決めました。

わが国の歴史を守ろう、必ず民族の悠久な歴史と文化を守り、輝かせる歴史学者になる！

系統的な民族教育を受ける過程に胸に秘められた朝鮮民族の悠久な歴史と英知に富んだ文化に対する誇りと自負、それを歪曲し、抹殺しようとする日本の反動勢力に対する憎悪と怒りの念を抑えきれず、歴史の探究に生涯を投じようと決心しました。

その後、私は当時の朝鮮総聯の朝鮮大学校歴史地理学部に入学し、一生懸命勉強しました。朝鮮大学校は海外朝鮮人の子女たちを親心で顧みた金日成主席の恩愛の結晶です。国なき民の悲しみに暮れて就学のはかない夢を抱いて暮らしていた在日朝鮮人たちは誰もが子女たちには大学の勉強をさせたいと切に思っていました。金日成主席が朝鮮大学校を建てることにより初めて、在日朝鮮人のその願いが実現したのです。

朝鮮大学校で思う存分学んでいた私は祖国でこそ、朝鮮の歴史をより深く研究できると思い、チュチェ61（1972）年、帰国船で祖国の許に来ました。そして、希望通り、当時の金日成総合大学歴史学部の朝鮮歴史学科に入学しました。奨学金までもらいながら熱心に学び、卒業後は社会科学院の研究者になりました。この過程に私は「朝鮮手工業史」第１巻と「カヤ史の研究」をはじめ、歴史の本と論文を執筆しました。わけても共和国の権威あるアカデミー会員の先生たちと共同で執筆した「初期朝日関係史」は長い間、歪曲されていた朝日関係の正しい歴史を科学的かつ具体的な資料を挙げて掘り下げて解明したことで内外の大きな反響を呼び起こしました。

私は数回に渡って日本にも行きました。日本に行って、主席と総書記の温情こもる措置によって朝鮮大学校に築かれた朝鮮歴史博物館を見学し、また恩愛こもる教育援助費と奨学金をもらいながら思う存分学ぶ新しい世代の在日朝鮮人学生たちの活気に満ちた姿を目の当たりにして、私は民族教育に傾けた主席と総書記の配慮を肌で感じました。私はいつも思います。愛国心を芽生えさせ、育てる民族教育の花園がなかったなら今の私がいるだろうか、と。世に稀な偉人たちの暖かい配慮によって生まれ、愛国の誇らしい歴史が映えている民族教育の花園の中で在日朝鮮人みなの未来、祖国の未来は明るく輝いています。