旧石器時代前期の遺跡

旧石器時代前期の遺跡

朝鮮で、科学技術に頼って、民族の文化財の発掘、保存に深い関心を向けています。近年、国宝レベルの旧石器時代前期の遺跡であるトンアムドン遺跡*1が発掘されました。

遺跡は、ピョンアン南道*2スンチョン市*3のトンアムドン*4という所にある標高40メートルほどの小高い山の中腹の洞穴の址から出土しました。14点の石器と8点の骨角器、5000点余りの獣の骨の化石、そして、植物の胞子や花粉の化石が1000点余り出土しました。

社会科学院の研究者コ・グァンリョルさんのお話です。

「スンチョン市のトンアムドン遺跡は、朝鮮で人類進化の歴史を確証し、朝鮮人の起原を正しく解明する上で意義があります。それは、朝鮮でも、旧石器時代前期から祖先が連綿と生きて来、ピョンヤンを中心とするテドン川流域が人類発祥地の1つであることを科学的に解明しました。また、朝鮮だけでなく、東アジア地域の旧石器時代の文化の研究において、極めて価値ある学術的資料となります」

遺跡は層位的に見て、第1文化層と第2文化層に区分されます。

第1文化層からは握り斧、石刃、石鎚と共に13種の獣の骨の化石が出土し、第2文化層からは12種の獣の骨の化石が出土しました。そして、植物の胞子や花粉の化石も多く発見されました。測定の結果、トンアムドン遺跡の第1文化層の年代はおよそ88万年前、第2文化層の年代はおよそ72万年前のものと確定されました。

遺跡の第1文化層で発見されたオオウミダヌキの歯の化石は、以前、ユーラシア大陸の一部の遺跡からも出土したもので、考古学界の注目を集めています。旧石器時代前期の遺跡には滅多に見られない第2文化層の骨角器は、当時の生産活動の模様を明らかにする上で重要なものです。獣の骨の化石と植物の胞子や花粉の化石に対する研究の結果は、当時、この一帯に深い森と草原が広がり、熱帯や亜熱帯の気候に当たる高温多湿の環境であったことを実証しています。

トンアムドン遺跡は、朝鮮が人類文化の発祥地の1つであることを確証し、アジアの旧石器時代の文化についての研究を一層深めさせています。