試作畑で会った人

試作畑で会った人

生前、偉大な金日成主席は実り豊かな秋が一番好きでした。いつもそうでしたが、年初めから農村へ赴いて田植えから始まる農業の全般を省みた主席にとって穀物の香り漂う豊かな秋は喜びを足してくれる季節でした。

田野を眺めながら疲れを忘れて明るく微笑んでいた主席。豊かな秋になると主席は収穫を上げるために苦心した農業科学者を一番に押し立てました。

チュチェ81（1992）年9月のある日のことです。この日、主席は、ある協同農場で新しい品種の大豆が栽培されているということを聞いて、そこを訪ねました。株ごとぎっしりついている大豆の莢はとても見ものでした。

主席は明るい笑みをたたえて、何度も評価し、新しい品種の大豆を研究した研究者に会ってみようと言いました。研究者は80歳を間近にしている人でした。大豆の生物学的特徴と株あたりの粒の数、そして粒1000個あたりの重さについてつぶさに聞いた主席は自ら株の一本を手にして莢（さや）を一つ一つ数えてみました。

同行の一人が新しい品種の大豆はヘクタール当たりの収量が他より増えそうだといいました。主席は私にもそんな気がする、研究者が大したことをしたと重ねて評価しました。そして科学者の荒い手をなでながら、祝日も実験室で送り、年中、土を掘り返し、肥やしを施したはずのその労を推し量りました。

もともとその人は農業科学者ではありませんでした。ある年の秋、地方に出張中だったその人は、特別多くのさやがついている大豆を見ました。その時から、収穫の高い新しい品種の大豆を育種する誓いを固め、20年間、研究を続けました。

試行錯誤の研究の過程について最後まで聞いた主席は大変な熱情だ、とてもよいことをしたといいました。そして新しい品種の大豆に名を付けてあげました。

主席から評価された研究者は目頭が熱くなりました。主席は研究者を傍に立たせて片手を組み、大豆の試作畑を背景にして記念写真を撮りました。

後日、研究者の胸に輝く英雄称号のメダルを見て人々は普通の人も英雄に育てる主席に感謝感激を禁じえませんでした。