人民の劇場

人民の劇場

ピョンヤンの都心にあるピョンヤン大劇場は1960年代を代表する記念碑的建築です。大小の入母屋の屋根が重なるユニークな佇まいで、偉大な金日成主席の発案によって朝鮮初の伝統様式の建築に建てられました。建設当時は国内最大の劇場でした。

金日成主席は用地を直々見立て、何度も建設現場を訪れて造りやインテリア・デザインに至るまでこまごまと教え、人民の文化芸術宮殿に立派に建てるよう精力的に指導しました。いつもながら、人民の要求が具現されるよう特別気を配りました。

ピョンヤン大劇場のユン・チョルミン所長のお話です。

「当初は、劇場の屋根が今のような設計じゃありませんでした。大劇場の正面にある演習場だけが伝統の入母屋の屋根で、後ろのステージとそれを結ぶ長い屋根は緩やかな斜面の瓦葺となっていました。その屋根が変ったのにはいわれがあります。1960年5月30日、金日成主席が建設現場を訪れました。現場を見た主席は、どう見てもステージの屋根が違和感がする、屋根のことで人民の意見は何かと聞きました。当時、屋根のことでまちまちの意見が交わされ、設計士も暗中模索しましたが、これと言った解決策に至りませんでした。その時、一人の幹部が屋根の意見を書いたある労働者の手紙を主席に見せました。手紙を読んだ主席は、人民が嫌うなら悪いもので人民が好むならよいものだ、劇場の主人は人民だから人民の好み通り建てるべきだ、と言いました。そして、屋根の形が４羽の雁が飛んでいて一羽が遅れているように見えるが、つがいを成せば大作になるだろうとし、地面に屋根の形を描いて設計を直し、劇場の名も人民が分かりやすくピョンヤン大劇場とつけました」

ピョンヤン大劇場が建てられて60数年が経ちました。その間、劇場では人民の生活を潤わす多くの公演が行われました。

劇場は人民の思うこと、望むことを絶対のものと見なした金日成主席の気高い志を今に伝え、在りし日々の姿をそのまま保存しています。

（フィーチャー　その思いいついつまで伝える）