一歩

一歩

一歩といえば、出始め、あるいはちょっと小さい、という感じが先ずするのですね。それもそのはず、人間の一生で一歩は、ほんの一瞬に過ぎないからです。でも、その一歩に何を乗せるかによって、その意味は違います。

国家科学院の管轄する中央鉱業研究所の所長、博士、助教授であるチョン・チョルさんは、いつも部下たちに、科学者なら世界を知り、他人が百歩歩んだのを一歩で飛躍する満々たる野心を持たなければと言っています。さらに高い目標を立て、国の鉱業の進歩に役立つ世界レベルの研究の成果を出すようにと頼んでいます。

チョンさんは研究所に手に余る研究課題が任されるたびに、高い実力と革新的な眼識で先頭に立って突破口を開きました。コムドク鉱業連合企業所の第3選鉱場のリニューアル工事の時は、既存の設備をそのまま利用しながらもエネルギーと労力、敷地を最大限に節約できる空気機械式浮選機による鉛、亜鉛の選鉱工程を構築する奇抜なアイディアを出しました。工程の設計から空気機械式浮選機の製作に至るまで大小さまざまな問題を率先して1つ1つ解決しました。それで完工を早めるに寄与しました。

チョンさんは科学者の踏み出す一歩に国の前進速度がかかっていることを銘記し、国の鉱業部門で空白として残っていた鉱物材料分野の開拓でも先駆者の役割を果たしました。超微粉砕を実現し、先端レベルの固体潤滑剤を開発するなど価値ある研究の成果を次々と出しました。

チョン・チョル所長はこう語ります。

「研究所の成果である空気機械式浮選機を他の鉱山にも広く導入しています。また、国内に無尽蔵なマグネサイトを高品質の耐火物の材料に利用し、尾鉱と粉鉱をすべて有用な資源に変えるための研究もしています」

30年もの間、研究に全てを尽くしたチョン・チョルさんの一歩、一歩には科学研究の成果で栄える国作りに寄与しようとの愛国心が映っています。

（今日の朝鮮）