長編小説「15少年物語」(8) をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」(8) [#y53059db]
あくる日、子どもたちは夜明けごろから起きだした。 寒くもあ...
茂英が朝の支度のため釜に火をくべているところへ、明玉とヤ...
「ここへ来て火にあたるといいわ。寒くてよく眠れなかったん...
「あんた1人でごはんをたくつもりだったの。あたしたちを起こ...
明玉が笑顔でにらんでみせた。
「ぐっすり寝ていたから、起こさなかったのよ」&br;
「あたし、夕べは寒かったし、こわくてちっとも眠 れなかった...
ヤムジョンが口に手をあてて、あくびをした。
「あたしも眠れなかったのよ」
と明玉も同じことを言つた。
「じゃ、成哲さんたちが言ってたこと聞いた」&br;
「聞いたわ。オオカミの声も聞いたしね」&br;
「船の中では、男の子になにもかも任せっぱなしで、あたした...
茂英の言葉に2人はうなずいた。
3人が朝食の準備をしているところへ、万洙が貝とワカメを取っ...
朝ごはんがすむと、成哲は年かさの子たちをつれて山へ登った...
京三は逃げだそうとして、みなに笑われたほどだった。
1人、2人と木に近づいてうつろをのぞいてみたが、 けだものが...
「もう一度けってみよう」
何人かが一緒になって力まかせにけると、中でゴソゴソと物音...
子どもたちは、フクロウに驚かされるなんてと、ゲラゲラ笑い...
成哲はみなを集めて草原に座った。今後の暮らしのたて方を相...
しばらくして成哲は口を開いた。
「助け船が来るまで、この島で暮らさなきゃならないんだが、...
子どもたちは互いに顔を見あわせるばかりで、なんとも言わな...
「ここはおれたちの村よりずっと寒いんだから、冬まで帰れな...
達柱がみなをぐるっと見まわして言った。
「生きるために相談しようってのに、死ぬ話からするとはなん...
隣にいた徳善がけんつくをくわせた。
「そんなら言ってみろよ。どうしてみなおしみたいに黙りこん...
達柱はけんか腰だった。徳善にしても名案があったわけではな...
「おれはこう思うんだけどね」
昌植が口をはさんだので徳善はほっとした。
「食うものは心配ないと思うな。海には魚やワカメなんかがた...
「ほんとうだ。おれも食い物の心配はないと思う。 けさ万洙と...
徳善が相づちをうった。
「けだものをつかまえるのもわけないよ。くくりわなやとらわ...
と、昌植が相づちをうった。
「食べ物や着る物はいいとしても、家がないのはどうするんだ」
一番前にいた京三がこう聞いた。
昌植はこれといった案が浮かばず、座中を見まわしたが、みな...
「家も心配ないさ。あの山を見な。岩があんなににょきにょき...
「ほら穴がなかったら、どうするんだ」&br;
「ないわけないよ。探してみもしないでそんなこと言うな」
達柱は目を怒らせた。
今度は茂漢がまじめな顔をして言った。
「口で言うのは簡単だけど、それもたやすいことじゃないよ。...
子どもたちはいまさらのように、自分の身なりをふり返った。1...
「岩と木しかないこんな島に、人が住んでいるもんか。第一寒...
基昌がこう言い返した。
「ここで何年も住むって言ったら、貸してくれないだろうよ。...
茂漢は終わりの言葉に力をこめた。
「ほかに意見はないか」
成哲が促したが、誰もなにも言わなかった。
「みないい意見だと思う。いま話しあったとおりにやってみよ...
成哲は座中を見まわした。みな賛成だった。 さっそく仕事にと...
木を切りに行く年かさの子どもたちについて、小さい子たちも...
「おれたちはあっちへ行って、ほら穴を探そうや。 おれたちが...
「うん、それから泉もね」
永洙がこう勇日に答えた。
3人は山に登って行った。はじめて見る島の景色は ほんとうに...
勇日は小鳥をつかまえようとして、走りまわった。 頭が黒く背...
いくら追いかけても小鳥はつかまらなかった。
永洙と文基もつかまえようと、けんめいになった。 いたずらも...
このとき、スズメよりちょっと大きい小鳥が地べたにおりて、...
ほかの小鳥を見つけようと、きょろきょろしていた永洙が、大...
「おーい、ユスラウメがあるぞ」
ユスラウメのように真っ赤にうれた、コケモモを発見したのだ。
「ほんとにユスラウメかい」
勇日は首をかしげた。
「食べてみよう」
文基が実をもぎ取って口に入れた。
「やあ、甘ずっぱくておいしいな。お前たちも食べてみろよ」
文基はよくうれた実をもいで、2人に分けてやった。
「うん。おいしいなあ。もっとないか探してみようや」
勇日が先頭になって、高い岩の上に登ろうとした。
「あんまり山に深く入って、道に迷ったらどうするんだ」
永洙が心配すると、2人も立ち止まった。
「そんなら木の枝を折って、目じるしをつけながら行こうよ」
勇日の言うとおりにしながら、3人は森の奥へと進んだ。赤や黄...
「もう帰ろう。なんだか気味がわるいや」
一番うしろで、永洙が立ち止まった。
「なんだって、弱虫め。帰りたけりゃお前1人で帰れよ」
勇日が口をとがらせた。
「いやだよ、1人で行ってけだものに出あったらどうするんだ」...
「あの明るい峰に登ってみよう。ほら穴があるかもしれないよ」
と、文基が言った。
「じゃそこまで行ってみて、なにもなかったら引き返そう」
勇日が賛成して先に立ったので、永洙も歩きだした。 3人は岩...
「あそこまで行ってみないか。岩があんなにたくさんあるんだ...
こう言う勇日の脇腹を、永洙がぐいと突いた。
「おい、あれを見ろよ、あれを」
永洙はまっさおになって前の山の尾根を指さした。
「なんだろう。白い服着て、白いひげをはやしてるよ」.
3人は手を取りあってふるえた。しらがの老人が、大きな岩の前...
「きっと山の神さまだよ。京三も、山には山の神さまがいるっ...
永洙が先に駆けだしたので、勇日と文基もあとを追った。3人は...
倒木に引っかかって転んだり、やぶに足をとられ、とげにささ...
3人は約束でもしたように、大きな木の下で立ち止まった。息が...
「こわくないのか、早く行こう」
今度は文基が先頭に立った。
「走ろう、つかまったら最後だ」
永洙は文基の腰ひもをつかんで走った。3人はやっと仮小屋にた...
小屋はほとんどできあがり、木の枝と草で屋根をふいていると...
「向こうに山の神さまがいるぞ」
勇日たちは息をはずませながら、騒ぎたてた。
「山の神さま? どこにいたんだ」
京三が駆け寄って聞いた。
「あの山のね、その向こうの峰にいるんだ。大きな岩の上に座...
永洙がふり返って、2人に同意を求めた。
「うん、おれ見たよ」&br;
「おれもはっきり見たぞ」
文基と勇日が同時に答えた。
「山の神さまだって? いったいどんな姿をしてたんだい」
万洙が目を丸くして聞いた。
3人は自分たちをとりかこんだ子らに向かって、山の神さまが岩...
茂漢が目を輝かせてうなずいた。
「うん、それは山の神さまじゃなくて人間だよ。やっぱりこの...
「ずいぶん遠いけど、おぼえているよ。ねえ」
文基が勇日をふり返った。
「枝を折って目じるしをつけておいたから、探して行けるよ」
勇日はこう答えたが、永洙はうつむいて頭をかいていた。
「お前、自信がないのか」&br;
「そこへ行って、山の神さまにとっつかまったらどうするんだ...
「じゃ、お前はよせ。文基と勇日、行こう」
成哲が言った。
少年たちは2人の案内で山に向かった。永洙も考えなおして、す...
目じるしをたよりに、例の峰まではたやすくたどりつくことが...
「山の神さまはいったいどこにいるんだ。お前らうそついたん...
京三が勇日たちをにらみつけた。
「うそじゃないよ。さっき、ほんとうにいたんだ」
勇日が負けずに答えた。
成哲は岩の上に立って、前の山を注意深くながめた。山の神な...
来たついでに、住民やほら穴を探してみようと、少年たちは谷...
山は険しく、岩やいばらの茂みが、ときどき行く手をさえぎっ...
いばらをかき分けながら、山の神さまが座っていたという岩の...
最初立ち寄った岩の前の湿地を通って、引き返していたかれら...
「これを見ろ。変な足跡があるぞ」
成哲のおどろいた声に、みなが寄って来た。人間の足跡にして...
「やっぱり山の神さまの足跡かもしれないぞ」
と、京三がつぶやいた。
「早く行こうよ。おっかないや」
俊浩が真っ先に歩きだすと、ほかの子らもこわくなって駆けだ...
(あの足跡の主はいったいなんだろう。この島には、人の目に...
成哲は思わず身ぶるいした。少年たちは大きななぞをかかえて...
(芸術)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//(芸術 2020.08.19)
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*長編小説「15少年物語」(8) [#y53059db]
あくる日、子どもたちは夜明けごろから起きだした。 寒くもあ...
茂英が朝の支度のため釜に火をくべているところへ、明玉とヤ...
「ここへ来て火にあたるといいわ。寒くてよく眠れなかったん...
「あんた1人でごはんをたくつもりだったの。あたしたちを起こ...
明玉が笑顔でにらんでみせた。
「ぐっすり寝ていたから、起こさなかったのよ」&br;
「あたし、夕べは寒かったし、こわくてちっとも眠 れなかった...
ヤムジョンが口に手をあてて、あくびをした。
「あたしも眠れなかったのよ」
と明玉も同じことを言つた。
「じゃ、成哲さんたちが言ってたこと聞いた」&br;
「聞いたわ。オオカミの声も聞いたしね」&br;
「船の中では、男の子になにもかも任せっぱなしで、あたした...
茂英の言葉に2人はうなずいた。
3人が朝食の準備をしているところへ、万洙が貝とワカメを取っ...
朝ごはんがすむと、成哲は年かさの子たちをつれて山へ登った...
京三は逃げだそうとして、みなに笑われたほどだった。
1人、2人と木に近づいてうつろをのぞいてみたが、 けだものが...
「もう一度けってみよう」
何人かが一緒になって力まかせにけると、中でゴソゴソと物音...
子どもたちは、フクロウに驚かされるなんてと、ゲラゲラ笑い...
成哲はみなを集めて草原に座った。今後の暮らしのたて方を相...
しばらくして成哲は口を開いた。
「助け船が来るまで、この島で暮らさなきゃならないんだが、...
子どもたちは互いに顔を見あわせるばかりで、なんとも言わな...
「ここはおれたちの村よりずっと寒いんだから、冬まで帰れな...
達柱がみなをぐるっと見まわして言った。
「生きるために相談しようってのに、死ぬ話からするとはなん...
隣にいた徳善がけんつくをくわせた。
「そんなら言ってみろよ。どうしてみなおしみたいに黙りこん...
達柱はけんか腰だった。徳善にしても名案があったわけではな...
「おれはこう思うんだけどね」
昌植が口をはさんだので徳善はほっとした。
「食うものは心配ないと思うな。海には魚やワカメなんかがた...
「ほんとうだ。おれも食い物の心配はないと思う。 けさ万洙と...
徳善が相づちをうった。
「けだものをつかまえるのもわけないよ。くくりわなやとらわ...
と、昌植が相づちをうった。
「食べ物や着る物はいいとしても、家がないのはどうするんだ」
一番前にいた京三がこう聞いた。
昌植はこれといった案が浮かばず、座中を見まわしたが、みな...
「家も心配ないさ。あの山を見な。岩があんなににょきにょき...
「ほら穴がなかったら、どうするんだ」&br;
「ないわけないよ。探してみもしないでそんなこと言うな」
達柱は目を怒らせた。
今度は茂漢がまじめな顔をして言った。
「口で言うのは簡単だけど、それもたやすいことじゃないよ。...
子どもたちはいまさらのように、自分の身なりをふり返った。1...
「岩と木しかないこんな島に、人が住んでいるもんか。第一寒...
基昌がこう言い返した。
「ここで何年も住むって言ったら、貸してくれないだろうよ。...
茂漢は終わりの言葉に力をこめた。
「ほかに意見はないか」
成哲が促したが、誰もなにも言わなかった。
「みないい意見だと思う。いま話しあったとおりにやってみよ...
成哲は座中を見まわした。みな賛成だった。 さっそく仕事にと...
木を切りに行く年かさの子どもたちについて、小さい子たちも...
「おれたちはあっちへ行って、ほら穴を探そうや。 おれたちが...
「うん、それから泉もね」
永洙がこう勇日に答えた。
3人は山に登って行った。はじめて見る島の景色は ほんとうに...
勇日は小鳥をつかまえようとして、走りまわった。 頭が黒く背...
いくら追いかけても小鳥はつかまらなかった。
永洙と文基もつかまえようと、けんめいになった。 いたずらも...
このとき、スズメよりちょっと大きい小鳥が地べたにおりて、...
ほかの小鳥を見つけようと、きょろきょろしていた永洙が、大...
「おーい、ユスラウメがあるぞ」
ユスラウメのように真っ赤にうれた、コケモモを発見したのだ。
「ほんとにユスラウメかい」
勇日は首をかしげた。
「食べてみよう」
文基が実をもぎ取って口に入れた。
「やあ、甘ずっぱくておいしいな。お前たちも食べてみろよ」
文基はよくうれた実をもいで、2人に分けてやった。
「うん。おいしいなあ。もっとないか探してみようや」
勇日が先頭になって、高い岩の上に登ろうとした。
「あんまり山に深く入って、道に迷ったらどうするんだ」
永洙が心配すると、2人も立ち止まった。
「そんなら木の枝を折って、目じるしをつけながら行こうよ」
勇日の言うとおりにしながら、3人は森の奥へと進んだ。赤や黄...
「もう帰ろう。なんだか気味がわるいや」
一番うしろで、永洙が立ち止まった。
「なんだって、弱虫め。帰りたけりゃお前1人で帰れよ」
勇日が口をとがらせた。
「いやだよ、1人で行ってけだものに出あったらどうするんだ」...
「あの明るい峰に登ってみよう。ほら穴があるかもしれないよ」
と、文基が言った。
「じゃそこまで行ってみて、なにもなかったら引き返そう」
勇日が賛成して先に立ったので、永洙も歩きだした。 3人は岩...
「あそこまで行ってみないか。岩があんなにたくさんあるんだ...
こう言う勇日の脇腹を、永洙がぐいと突いた。
「おい、あれを見ろよ、あれを」
永洙はまっさおになって前の山の尾根を指さした。
「なんだろう。白い服着て、白いひげをはやしてるよ」.
3人は手を取りあってふるえた。しらがの老人が、大きな岩の前...
「きっと山の神さまだよ。京三も、山には山の神さまがいるっ...
永洙が先に駆けだしたので、勇日と文基もあとを追った。3人は...
倒木に引っかかって転んだり、やぶに足をとられ、とげにささ...
3人は約束でもしたように、大きな木の下で立ち止まった。息が...
「こわくないのか、早く行こう」
今度は文基が先頭に立った。
「走ろう、つかまったら最後だ」
永洙は文基の腰ひもをつかんで走った。3人はやっと仮小屋にた...
小屋はほとんどできあがり、木の枝と草で屋根をふいていると...
「向こうに山の神さまがいるぞ」
勇日たちは息をはずませながら、騒ぎたてた。
「山の神さま? どこにいたんだ」
京三が駆け寄って聞いた。
「あの山のね、その向こうの峰にいるんだ。大きな岩の上に座...
永洙がふり返って、2人に同意を求めた。
「うん、おれ見たよ」&br;
「おれもはっきり見たぞ」
文基と勇日が同時に答えた。
「山の神さまだって? いったいどんな姿をしてたんだい」
万洙が目を丸くして聞いた。
3人は自分たちをとりかこんだ子らに向かって、山の神さまが岩...
茂漢が目を輝かせてうなずいた。
「うん、それは山の神さまじゃなくて人間だよ。やっぱりこの...
「ずいぶん遠いけど、おぼえているよ。ねえ」
文基が勇日をふり返った。
「枝を折って目じるしをつけておいたから、探して行けるよ」
勇日はこう答えたが、永洙はうつむいて頭をかいていた。
「お前、自信がないのか」&br;
「そこへ行って、山の神さまにとっつかまったらどうするんだ...
「じゃ、お前はよせ。文基と勇日、行こう」
成哲が言った。
少年たちは2人の案内で山に向かった。永洙も考えなおして、す...
目じるしをたよりに、例の峰まではたやすくたどりつくことが...
「山の神さまはいったいどこにいるんだ。お前らうそついたん...
京三が勇日たちをにらみつけた。
「うそじゃないよ。さっき、ほんとうにいたんだ」
勇日が負けずに答えた。
成哲は岩の上に立って、前の山を注意深くながめた。山の神な...
来たついでに、住民やほら穴を探してみようと、少年たちは谷...
山は険しく、岩やいばらの茂みが、ときどき行く手をさえぎっ...
いばらをかき分けながら、山の神さまが座っていたという岩の...
最初立ち寄った岩の前の湿地を通って、引き返していたかれら...
「これを見ろ。変な足跡があるぞ」
成哲のおどろいた声に、みなが寄って来た。人間の足跡にして...
「やっぱり山の神さまの足跡かもしれないぞ」
と、京三がつぶやいた。
「早く行こうよ。おっかないや」
俊浩が真っ先に歩きだすと、ほかの子らもこわくなって駆けだ...
(あの足跡の主はいったいなんだろう。この島には、人の目に...
成哲は思わず身ぶるいした。少年たちは大きななぞをかかえて...
(芸術)
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//(芸術 2020.08.19)
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