長編小説「15少年物語」（34） をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」（34） [#sbdcbe8f]
成哲は意識をとり戻した。はじめは耳鳴りのように感じられた...
成哲はふうっと息を吐いて体を動かし、目をあけた。
「やー、気がついたぞ」
心配そうな顔つきで見守っていた少年たちは歓声をあげた。
成哲は茂漢と視線があうと、にっこりした。
「茂漢も来たのか」
成哲は上半身を起こした。
「お前も気絶することがあるんだな。さあ、これを飲めよ。ハ...
万洙がさしだす鉢を受け取って飲みほすと、のどの乾きと胸の...
「おれ気を失ってたらしいな」&br;
「そうだよ。茂漢がお前をおぶって、2キロも歩いて来たんだぜ」
万洙が成哲に言った。
「そうだったのか」
成哲がほほえんで顔を向けると、茂漢は目を伏せた。
「もう少し寝てろよ。お前が長いこと気絶してたから、みんな...
「クマに驚いて気絶したなんて、ちよっと格好悪いな」
成哲は照れくさそうに笑った。
「格好悪いなんて、とんでもない。お前は英雄だよ」
俊浩が親指を突き立てて言った。
「そうだとも、少年英雄だ。成哲は探険家になれよ。大きな手...
昌植がうらやましそうな口ぶりで言った。
成哲はまた横になった。全身が地の底に吸いこまれるようにだ...
「茂漢、お前まだ茂英に会ってないんだろう」&br;
「会ってないけど、全部聞いたよ。ほんとに恩に着るよ」&br;
「なんて水くさいこと言うんだ。それよりか、茂英が心配して...
「じゃ、帰るよ」&br;
「茂漢」
成哲は立ちかけた茂漢を呼び止めて、起きあがった。
けれどもつぎの言葉が、すぐには出なかった。みなの視線が成...
「ほら穴へ行くより、いっそのこと、茂英をここへ呼んだらど...
「ここへ？」
茂漢ばかりか、ほかの子たちも目を丸くした。
「そうだ。.お前さえ承知すれば、茂英や達柱らも反対しないは...
「そうしようよ。おれもそう思ってたんだ」
万洙が賛成すると、みな口ぐちに言った。
「うん、それがいい」&br;
「そうしろよ」
茂漢はなんと答えたものか迷った。二つ返事で承知するには、...
自分の軽はずみな行動から、茂英やほかの子たちまで苦労して...
茂漢はうつむいて、きのうからの出来事を思いかえした。雪に...
（成哲は、おれたちを兄弟のように思ってくれてるのに、おれ...
茂漢は顔を上げたが、どうしてもうんとは言えなかった。家が...
そのあつい友情を裏切ったおれが、いまさらおめおめと帰って...
茂漢は自分を責め、ため息をついた。
みな息をこらして、茂漢を見つめていた。茂漢はかれらの期待...
「成哲」
茂漢は両手を広げて成哲の首に抱きついた。
成哲もその肩を強く抱きしめた。とぎれがちに自分のあやまち...
「よせよ。おれまで泣けてくるじゃないか。これから力をあわ...
成哲はほおをぬらして、茂漢の肩を軽くたたいた。あちこちで...
「さっきはおれのために苦労させたけど、もう一度茂漢や茂英...
「お安いご用だ。そんなことなら日に百ぺんでも行って来るよ」
万洙がうきうきとして答えた。
「いやだと言ったら、ふんじばって連れて来てやる。 おい、ひ...
昌植がこう言って立ちあがった。
「うん、あるよ」
永洙が部屋の隅から、細長く切ったオットセイの皮を持って来...
成哲は一緒に行くつもりで立ちあがったが、目がくらんでよろ...
「どうしたんだ」
俊浩が気づかわしげに聞いた。
「なに、ちょっと目まいがしただけだ。さあ、出かけよう」&br;
「そんな体で、どこへ行くってんだ」
万洙が成哲の体を支えながら言った。
「みんなが行くことはないさ。おれが連れて来る」
茂漢がこう言って引き止めた。
「別れ別れになっていた家族が、久しぶりに一つ屋根の下で暮...
成哲の言葉に、女の子や勇日たちも迎えの一行に加わった。
泉谷の子らが総出で押しかけたので、ほら穴の子たちはびっく...
「お前たち、どうしたんだ。おやっ、茂漢も一緒か。泉谷に行...
達柱が声をとがらせた。
「死んだと思ったのが、このとおりぴんぴんして帰って来たん...
万洙の言葉だった。
「そりゃうれしいさ。だけどいったいどうしてまた、勢ぞろい...
達柱はけげんそうに、みなの顔色をうかがった。
「てっとりばやく言おう。お前たちと相談することがあるんだ」
成哲が話をきりだした。
「さっき茂漢と相談したんだけど、おれたち15人が、もとどお...
ほら穴の子たちは黙りこんでしまった。
「おれがよけいな真似をしたばかりに、お前たちまでえらい苦...
「おれ、それでなくても泉谷へ帰ろうと思ってたんだ。家は一...
こう言う基昌の目に涙が光っていた。
「ほんとうはおれも、ずっと前からそうしたかったんだ。でも...
達柱まで賛成したので、茂英は喜んで明玉とヤムジョンの手を...
「これからはおれたち15人が、ほんとに仲よく暮らそう。そし...
成哲はみなを見まわして明るく笑った。
泉谷の子たちは、基昌が運んで来た無電機を珍しそうにながめ...
荷物をまとめて丸太小屋に戻ると、昌植はほかの子と一緒に無...
「乾電池が切れたんじゃないのか」
昌植に聞かれて基昌は真っ赤になった。乾電池のことはよく知...
「器械がちゃんとしていても電池が切れたら、無電は打てない...
昌植は、乾電池の箱に連結された2本の線を引きだし、両端を触...
「それを触れあわせたら、どうなるんだい」&br;
「乾電池が使えるやつなら、火花がパチパチ飛ぶんだ」&br;
「じゃ、これは使いものにならないのか」
茂漢が泣き顔になった。
「うん、電池がないんだから使えないよ」&br;
「だから、ここじゃなんの役にもたたないってわけか」&br;
「まあ、そうだな」
みながっかりして顔をみあわせた。
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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#include(vok_navi01,notitle)
//（文芸作品―その他 2020.11.28）
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*長編小説「15少年物語」（34） [#sbdcbe8f]
成哲は意識をとり戻した。はじめは耳鳴りのように感じられた...
成哲はふうっと息を吐いて体を動かし、目をあけた。
「やー、気がついたぞ」
心配そうな顔つきで見守っていた少年たちは歓声をあげた。
成哲は茂漢と視線があうと、にっこりした。
「茂漢も来たのか」
成哲は上半身を起こした。
「お前も気絶することがあるんだな。さあ、これを飲めよ。ハ...
万洙がさしだす鉢を受け取って飲みほすと、のどの乾きと胸の...
「おれ気を失ってたらしいな」&br;
「そうだよ。茂漢がお前をおぶって、2キロも歩いて来たんだぜ」
万洙が成哲に言った。
「そうだったのか」
成哲がほほえんで顔を向けると、茂漢は目を伏せた。
「もう少し寝てろよ。お前が長いこと気絶してたから、みんな...
「クマに驚いて気絶したなんて、ちよっと格好悪いな」
成哲は照れくさそうに笑った。
「格好悪いなんて、とんでもない。お前は英雄だよ」
俊浩が親指を突き立てて言った。
「そうだとも、少年英雄だ。成哲は探険家になれよ。大きな手...
昌植がうらやましそうな口ぶりで言った。
成哲はまた横になった。全身が地の底に吸いこまれるようにだ...
「茂漢、お前まだ茂英に会ってないんだろう」&br;
「会ってないけど、全部聞いたよ。ほんとに恩に着るよ」&br;
「なんて水くさいこと言うんだ。それよりか、茂英が心配して...
「じゃ、帰るよ」&br;
「茂漢」
成哲は立ちかけた茂漢を呼び止めて、起きあがった。
けれどもつぎの言葉が、すぐには出なかった。みなの視線が成...
「ほら穴へ行くより、いっそのこと、茂英をここへ呼んだらど...
「ここへ？」
茂漢ばかりか、ほかの子たちも目を丸くした。
「そうだ。.お前さえ承知すれば、茂英や達柱らも反対しないは...
「そうしようよ。おれもそう思ってたんだ」
万洙が賛成すると、みな口ぐちに言った。
「うん、それがいい」&br;
「そうしろよ」
茂漢はなんと答えたものか迷った。二つ返事で承知するには、...
自分の軽はずみな行動から、茂英やほかの子たちまで苦労して...
茂漢はうつむいて、きのうからの出来事を思いかえした。雪に...
（成哲は、おれたちを兄弟のように思ってくれてるのに、おれ...
茂漢は顔を上げたが、どうしてもうんとは言えなかった。家が...
そのあつい友情を裏切ったおれが、いまさらおめおめと帰って...
茂漢は自分を責め、ため息をついた。
みな息をこらして、茂漢を見つめていた。茂漢はかれらの期待...
「成哲」
茂漢は両手を広げて成哲の首に抱きついた。
成哲もその肩を強く抱きしめた。とぎれがちに自分のあやまち...
「よせよ。おれまで泣けてくるじゃないか。これから力をあわ...
成哲はほおをぬらして、茂漢の肩を軽くたたいた。あちこちで...
「さっきはおれのために苦労させたけど、もう一度茂漢や茂英...
「お安いご用だ。そんなことなら日に百ぺんでも行って来るよ」
万洙がうきうきとして答えた。
「いやだと言ったら、ふんじばって連れて来てやる。 おい、ひ...
昌植がこう言って立ちあがった。
「うん、あるよ」
永洙が部屋の隅から、細長く切ったオットセイの皮を持って来...
成哲は一緒に行くつもりで立ちあがったが、目がくらんでよろ...
「どうしたんだ」
俊浩が気づかわしげに聞いた。
「なに、ちょっと目まいがしただけだ。さあ、出かけよう」&br;
「そんな体で、どこへ行くってんだ」
万洙が成哲の体を支えながら言った。
「みんなが行くことはないさ。おれが連れて来る」
茂漢がこう言って引き止めた。
「別れ別れになっていた家族が、久しぶりに一つ屋根の下で暮...
成哲の言葉に、女の子や勇日たちも迎えの一行に加わった。
泉谷の子らが総出で押しかけたので、ほら穴の子たちはびっく...
「お前たち、どうしたんだ。おやっ、茂漢も一緒か。泉谷に行...
達柱が声をとがらせた。
「死んだと思ったのが、このとおりぴんぴんして帰って来たん...
万洙の言葉だった。
「そりゃうれしいさ。だけどいったいどうしてまた、勢ぞろい...
達柱はけげんそうに、みなの顔色をうかがった。
「てっとりばやく言おう。お前たちと相談することがあるんだ」
成哲が話をきりだした。
「さっき茂漢と相談したんだけど、おれたち15人が、もとどお...
ほら穴の子たちは黙りこんでしまった。
「おれがよけいな真似をしたばかりに、お前たちまでえらい苦...
「おれ、それでなくても泉谷へ帰ろうと思ってたんだ。家は一...
こう言う基昌の目に涙が光っていた。
「ほんとうはおれも、ずっと前からそうしたかったんだ。でも...
達柱まで賛成したので、茂英は喜んで明玉とヤムジョンの手を...
「これからはおれたち15人が、ほんとに仲よく暮らそう。そし...
成哲はみなを見まわして明るく笑った。
泉谷の子たちは、基昌が運んで来た無電機を珍しそうにながめ...
荷物をまとめて丸太小屋に戻ると、昌植はほかの子と一緒に無...
「乾電池が切れたんじゃないのか」
昌植に聞かれて基昌は真っ赤になった。乾電池のことはよく知...
「器械がちゃんとしていても電池が切れたら、無電は打てない...
昌植は、乾電池の箱に連結された2本の線を引きだし、両端を触...
「それを触れあわせたら、どうなるんだい」&br;
「乾電池が使えるやつなら、火花がパチパチ飛ぶんだ」&br;
「じゃ、これは使いものにならないのか」
茂漢が泣き顔になった。
「うん、電池がないんだから使えないよ」&br;
「だから、ここじゃなんの役にもたたないってわけか」&br;
「まあ、そうだな」
みながっかりして顔をみあわせた。
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//（文芸作品―その他 2020.11.28）
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