長編小説「15少年物語」（27） をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
*長編小説「15少年物語」（27） [#g11b83b7]
万洙、昌植、勇日の3人は魚を取って海べに干し、オットセイも...
小さいいかだに乗って海に網を張っておき、オットセイやけも...
槍投げと投げ玉は万洙と昌植が得意だった。かなり遠くから投...
「海の水を全部くんだら、魚の方が多いかな、それとも水の方...
いつか勇日がこんな突拍子もないことを言って、みなを大笑い...
魚とりも面白いが、力ニや夕コ取りの楽しみは格別だった。干...
またたこつぼに長いひもをつけて水中に沈め、翌朝引きあげる...
ひとところに集めておいた魚はもちろん、草むらに干した魚も...
天気がよくても乾きにくいのに、いつも霧がかかっていたので...
成哲の計算だと、10人が半年のあいだ魚を主食代わりにするに...
成哲は仲間たちに相談をもちかけた。みな困まった顔をしてい...
もっともらしい話だが、釜が9つもあるわけがなかった。船にあ...
薬を煎じるつぼや火鉢も赤土で作るのだから、釜が作れないわ...
子どもたちの顔に微笑がうかんだ。成哲はさっそく釜づくりの...
翌日、万洙と徳善は日中赤土を探したが、夕方手ぶらで戻った...
かまどづくりやたきぎとりの方は着々とはかどったが、肝心の...
翌日は、全員手分けして赤土を探すことにした。しかし道具と...
その夜、成哲はいらいらして眠れなかった。釜をつくる赤土が...
成哲はいろいろと考えた。これまで谷間ばかり探して、山の上...
「やあ、どうして来たんだ」
成哲は驚きながらも、嬉しかった。
3人は山の上の大きな石を転がして、土を掘った。シャベルに綱...
「きょうはほうぼう掘らないで、2メートルでも3メートルでも...
こう言い残して丸太小屋に戻ると、明玉とヤムジョンが朝ごは...
昼ごろ騒がしい物音に目をさますと、「見つかったぞー」とい...
「赤土が見つかったんだ」
俊浩が駆け寄りながら、目を輝かせて言った。徳善と万洙も出...
山の上に駆けあがって見ると、2メートル近く掘った穴の底に、...
「うん、正真正銘の赤土だ」
成哲らは赤土をつかんで喜んだ。
万洙と徳善は赤土をこまかく砕いて、水でこねかえし、釜の形...
こんな調子では何日かかるかわからない。
その夜また相談した。問題はやはり土釜だった。ごはんをたく...
赤土を発見して3日目に、かまどが完成し、釜を4つこねたので...
3日目の朝。成哲はうすぐらいうちに起きて、泉で顔を洗い、か...
「ずいぶん早いなあ」&br;
「心配でさっきも来て見たんだ。夜明けかと思って起きたら、...
「どうだ、自信はあるかい」&br;
「かまどをあけて見なきゃわからないさ。こんなことになると...
「だから、機会があったらなんでも習うべきだよ。とくにおれ...
そこへ俊浩や京三らが、のこぎりを持ってやって来た。
「朝めしも食べないで、仕事をするのかい」と、成哲が声をか...
「お前たちはとっくにかまどを作って、釜を焼いてるじゃない...
3人はさっそくのこぎりを引きはじめた。京三はまだ顔を洗って...
「おれがやってやるから、顔を洗って来いよ」
成哲にこう言われて、京三はきまり悪そうに口のまわりをこす...
朝食後、男の子たちはかまどの前に集まった。最初の製品を取...
成哲がかまどの煙突に手を入れてみた。もう熱はなかった。つ...
万洙がかまどのふたをくずした。みな自分が中へ入ってみると...
「やあ、成功だ」
少年たちはドッと歓声をあげた。しかし徳善は浮かぬ顔だった。
「どうしたんだ。出来が悪いのか」&br;
「十分に焼けてないんだ。ほかの釜はどうかな」
徳善はもう1つ取りだして来て、じっとながめてから、ため息を...
「それも失敗か」
万洙の問いに徳善はうなずいた。
「でも釜のかっこうはついてるじゃないか」
成哲がこう言って指ではじくと、けっこう澄んだ音がした。
「音も悪くないよ」&br;
「いや、黒く焼けなくちゃいけないんだ。ほら、まだ白っぽい...
「よく焼けないと使えないのか」&br;
「第一、こわれやすいし、それに水がもれるからだめだよ」
少年たちは水を汲んで来て、2つの釜に入れてみた。湯気がおさ...
「火が弱かったんだ」
徳善は首を横に振った。
「火が弱かったって？ まきをどんなにたくさんくベたか知ら...
勇日がほおをふくらました。
「なにもお前のせいだと言ってるんじゃないよ。はじめての仕...
子どもたちはかまどの灰をきれいにかきだして、3号釜と4号釜...
3日目の夜、当番の昌植が火をくべていると、急にドカンと音が...
子どもたちはしょんぼりして、かまどをとりかこんだ。苦情の...
きょうはもう寝てあすまた考えることにしようと、小屋に戻っ...
（食べ物の準備ができないうちに、冬になったらどうするのだ）
成哲は不安にかられて、一晩中まんじりともしなかった。
いつか夜が明けた。太陽が海からのぼって海に沈む島では、陸...
「なにかいい考えを思いついたのか」
成哲がたずねた。
「そうだったら、ぐっすり眠れただろうよ。とにか く、きのう...
「天井がくずれてつぶれちゃったのに、そんなものを見たって...
「でもあきらめるわけにはいかないからな。どんなことがあっ...
かまどでは万洙が先に来て、灰の中から天井石を取り出してい...
「いつ来たんだ」&br;
「いま来たばかりだよ」
万洙は手を休めずに答えた。くずれたかまどの灰をかきわけて...
「成功だ。これを見ろよ」
そんなに喜ぶ徳善を見るのは、はじめてだった。
「いったい、なにが成功だってのだ」
と言いかけたが、一晩中思いわずらった釜のことなので、成哲...
「すごくよく焼けてるだろう。こんなに黒くなるまで焼かなく...
指先ではじいてみると、なるほど澄んだ金属音がした。
「これからはかまどをどう作ったらいいか考えてみよう。それ...
「横に渡すものが問題だけど、ひとつ木でやってみないか」&br;
「木だって？ 燃えない木があるのかい」
徳善が不思議そうに成哲に目を向けた。
「木が燃えないように工夫するのさ」&br;
「工夫って？」&br;
「赤土は火に強いから、木に赤土を厚く塗って渡したらどうか...
「赤土が木についているかな」&br;
「シラカバは無理だけど、才ノオレの木か、クヌギならいいん...
黙って聞いていた万洙が、急に興奮して言った。
「シラカバやカラマツも使えるよ。木に綱を巻いて、その上に...
「うん、名案だ。うまい、うまい」
徳善は自分のしりをたたいて、くるりと一回転した。
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
#br
----
#include(boys_navi,notitle)
----
#include(vok_navi01,notitle)
//（文芸作品―その他 2020.11.03）
終了行:
*長編小説「15少年物語」（27） [#g11b83b7]
万洙、昌植、勇日の3人は魚を取って海べに干し、オットセイも...
小さいいかだに乗って海に網を張っておき、オットセイやけも...
槍投げと投げ玉は万洙と昌植が得意だった。かなり遠くから投...
「海の水を全部くんだら、魚の方が多いかな、それとも水の方...
いつか勇日がこんな突拍子もないことを言って、みなを大笑い...
魚とりも面白いが、力ニや夕コ取りの楽しみは格別だった。干...
またたこつぼに長いひもをつけて水中に沈め、翌朝引きあげる...
ひとところに集めておいた魚はもちろん、草むらに干した魚も...
天気がよくても乾きにくいのに、いつも霧がかかっていたので...
成哲の計算だと、10人が半年のあいだ魚を主食代わりにするに...
成哲は仲間たちに相談をもちかけた。みな困まった顔をしてい...
もっともらしい話だが、釜が9つもあるわけがなかった。船にあ...
薬を煎じるつぼや火鉢も赤土で作るのだから、釜が作れないわ...
子どもたちの顔に微笑がうかんだ。成哲はさっそく釜づくりの...
翌日、万洙と徳善は日中赤土を探したが、夕方手ぶらで戻った...
かまどづくりやたきぎとりの方は着々とはかどったが、肝心の...
翌日は、全員手分けして赤土を探すことにした。しかし道具と...
その夜、成哲はいらいらして眠れなかった。釜をつくる赤土が...
成哲はいろいろと考えた。これまで谷間ばかり探して、山の上...
「やあ、どうして来たんだ」
成哲は驚きながらも、嬉しかった。
3人は山の上の大きな石を転がして、土を掘った。シャベルに綱...
「きょうはほうぼう掘らないで、2メートルでも3メートルでも...
こう言い残して丸太小屋に戻ると、明玉とヤムジョンが朝ごは...
昼ごろ騒がしい物音に目をさますと、「見つかったぞー」とい...
「赤土が見つかったんだ」
俊浩が駆け寄りながら、目を輝かせて言った。徳善と万洙も出...
山の上に駆けあがって見ると、2メートル近く掘った穴の底に、...
「うん、正真正銘の赤土だ」
成哲らは赤土をつかんで喜んだ。
万洙と徳善は赤土をこまかく砕いて、水でこねかえし、釜の形...
こんな調子では何日かかるかわからない。
その夜また相談した。問題はやはり土釜だった。ごはんをたく...
赤土を発見して3日目に、かまどが完成し、釜を4つこねたので...
3日目の朝。成哲はうすぐらいうちに起きて、泉で顔を洗い、か...
「ずいぶん早いなあ」&br;
「心配でさっきも来て見たんだ。夜明けかと思って起きたら、...
「どうだ、自信はあるかい」&br;
「かまどをあけて見なきゃわからないさ。こんなことになると...
「だから、機会があったらなんでも習うべきだよ。とくにおれ...
そこへ俊浩や京三らが、のこぎりを持ってやって来た。
「朝めしも食べないで、仕事をするのかい」と、成哲が声をか...
「お前たちはとっくにかまどを作って、釜を焼いてるじゃない...
3人はさっそくのこぎりを引きはじめた。京三はまだ顔を洗って...
「おれがやってやるから、顔を洗って来いよ」
成哲にこう言われて、京三はきまり悪そうに口のまわりをこす...
朝食後、男の子たちはかまどの前に集まった。最初の製品を取...
成哲がかまどの煙突に手を入れてみた。もう熱はなかった。つ...
万洙がかまどのふたをくずした。みな自分が中へ入ってみると...
「やあ、成功だ」
少年たちはドッと歓声をあげた。しかし徳善は浮かぬ顔だった。
「どうしたんだ。出来が悪いのか」&br;
「十分に焼けてないんだ。ほかの釜はどうかな」
徳善はもう1つ取りだして来て、じっとながめてから、ため息を...
「それも失敗か」
万洙の問いに徳善はうなずいた。
「でも釜のかっこうはついてるじゃないか」
成哲がこう言って指ではじくと、けっこう澄んだ音がした。
「音も悪くないよ」&br;
「いや、黒く焼けなくちゃいけないんだ。ほら、まだ白っぽい...
「よく焼けないと使えないのか」&br;
「第一、こわれやすいし、それに水がもれるからだめだよ」
少年たちは水を汲んで来て、2つの釜に入れてみた。湯気がおさ...
「火が弱かったんだ」
徳善は首を横に振った。
「火が弱かったって？ まきをどんなにたくさんくベたか知ら...
勇日がほおをふくらました。
「なにもお前のせいだと言ってるんじゃないよ。はじめての仕...
子どもたちはかまどの灰をきれいにかきだして、3号釜と4号釜...
3日目の夜、当番の昌植が火をくべていると、急にドカンと音が...
子どもたちはしょんぼりして、かまどをとりかこんだ。苦情の...
きょうはもう寝てあすまた考えることにしようと、小屋に戻っ...
（食べ物の準備ができないうちに、冬になったらどうするのだ）
成哲は不安にかられて、一晩中まんじりともしなかった。
いつか夜が明けた。太陽が海からのぼって海に沈む島では、陸...
「なにかいい考えを思いついたのか」
成哲がたずねた。
「そうだったら、ぐっすり眠れただろうよ。とにか く、きのう...
「天井がくずれてつぶれちゃったのに、そんなものを見たって...
「でもあきらめるわけにはいかないからな。どんなことがあっ...
かまどでは万洙が先に来て、灰の中から天井石を取り出してい...
「いつ来たんだ」&br;
「いま来たばかりだよ」
万洙は手を休めずに答えた。くずれたかまどの灰をかきわけて...
「成功だ。これを見ろよ」
そんなに喜ぶ徳善を見るのは、はじめてだった。
「いったい、なにが成功だってのだ」
と言いかけたが、一晩中思いわずらった釜のことなので、成哲...
「すごくよく焼けてるだろう。こんなに黒くなるまで焼かなく...
指先ではじいてみると、なるほど澄んだ金属音がした。
「これからはかまどをどう作ったらいいか考えてみよう。それ...
「横に渡すものが問題だけど、ひとつ木でやってみないか」&br;
「木だって？ 燃えない木があるのかい」
徳善が不思議そうに成哲に目を向けた。
「木が燃えないように工夫するのさ」&br;
「工夫って？」&br;
「赤土は火に強いから、木に赤土を厚く塗って渡したらどうか...
「赤土が木についているかな」&br;
「シラカバは無理だけど、才ノオレの木か、クヌギならいいん...
黙って聞いていた万洙が、急に興奮して言った。
「シラカバやカラマツも使えるよ。木に綱を巻いて、その上に...
「うん、名案だ。うまい、うまい」
徳善は自分のしりをたたいて、くるりと一回転した。
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
#br
----
#include(boys_navi,notitle)
----
#include(vok_navi01,notitle)
//（文芸作品―その他 2020.11.03）
ページ名:
![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
