長編小説「15少年物語」(22) をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」(22) [#i2274ab1]
ある夕方、茂英はサケを焼いてほら穴へ入って来た。
ぷーんと香ばしいにおいがただよった。
「水がこれしか残ってないんだけど、どうしようかしら」
茂英はどんぶりにもみたない水を、男の子たちに見せた。
「心配するな。夕飯がすんだら、おれたちがくんで来てやるよ」
茂漢がむぞうさに答えた。
男の子たちは夕食をすませ、水を少しづつ分けて飲んだ。達柱...
「水がなくなったから、暗くならないうちにくみに行こうよ」
こう言っても返事がないので、茂漢は気分をそこねて、ごろり...
「どうして雪は降りやがらんのだ。雪さえ降りゃ水の心配がな...
達柱がぼやいた。
「達柱、一緒に水をくみに行かないか」
基昌がたまりかねて言った。
「2人も行くことはないさ。それにおれは海を見張らなくちゃな...
達柱がぶっきらぼうに答えた。
「基昌はこの前くんで来たじゃないか。今度は達柱、お前の番...
「その日おれが遊んだかよ。1日中魚取りをしたじゃないか。文...
達柱がかっとなったので、みな黙ってしまった。やがて、達柱...
「もうこんなに暗いのに、峠が越えられるかい。オオカミに出...
達柱はまた寝転んで口笛を吹きはじめた。
「じゃ、あしたの朝行くことにして、誰が行くか決めておこう...
茂漢が遠まわしに言った。こう言えば、自分が行くと答えるだ...
「そんなら、じゃんけんで決めたらどうだい」
文基がニヤニヤして言った。基昌はもう3回もくんで来たのに、...
「そうしようか」
達柱がにやりとして上半身を起こした。茂漢は眉をしかめて言...
「子どものままごとじゃないんたぞ。もういいよ。おれが行く...
基昌は自分が行こうとしたが、それではかれらに悪いくせがつ...
あくる日の早朝、茂漢はあきかんをさげてほら穴を出た。もっ...
その泉はかれらが作ったものでも、独りじめにしているもので...
別に恐れるわけではないが、とにかくあいたくなかった。
盗みでもするように、あたりをうかがいながら、しのび足で歩...
「とうとう建てたな」
仮小屋の方を見ると、子どもたちが起きた気配はなかった。家...
(成哲はやっぱりがんばり屋だな。でもほら穴の方がいいにき...
こんなことを考えながら泉のほとりに来たかれは、目を見張っ...
パガジで水をくもうとした茂漢は、2度びっくりした。泉の底で...
「そうか、アル島で拾った貝がらを入れたんだな。なかなか気...
うっとりと水の中をのぞきこんでいると、アル島とキンヨウル...
茂漢は、あきかんに水をいっぱいくんだあと、洗濯場にある洗...
「なんだろう、あれは」
近づいてみて驚いた。全部オットセイの皮なのだ。足を洗いた...
茂漢はほら穴に戻るなり、達柱に言った。
「魚はこれくらいあれば、冬中食ベられるだろう。 きょうから...
「うん、掘ろう。井戸のひとつくらいわけないさ」&br;
「よし、これで決まった。基昌、無電機を頼むぞ」
茂漢と達柱は朝食前にひと仕事しようと外へ出た。 シャベルが...
「おい、これを見ろよ」
草むらに座って汗をふいていた茂漢が立ちあがった。
「しゃれこうべじゃないか。どっから出て来たんだ」&br;
「ここだ」
達柱はシャベルで場所を示した。
「その辺を注意して掘ってみろよ。まだあるかもしれないから...
「ごめんだ。掘りたきゃ、お前が掘れよ」
シャベルの柄をさしだされて、茂漢はしかたなしに受け取った...
「意気地なしだな」
同じところを掘るとまた骨が出てきそうなので、まわりをほじ...
このとき、達柱が足もとに鉄ぐいがささっているのを見つけた...
茂漢は不思議なものを探しあてたように、くいがささっていた...
「テントのくいだよ、きっと。島にあがった人たちが、ここに...
「じゃ、その人たちは帰れないで死んじゃったのか」&br;
「さあね」&br;
「あんなにいいほら穴があるのに、なぜテントを張ったんだろ...
「ほら穴は暗いし、日もささないから、外で暮らしたんだろう...
「無電機の持主じゃないのか」&br;
「そうだね。助け船は来たけれど、この人たちはなにか重い病...
茂漢は沈んだ気持で、もしや遺書か遺品があるのではないかと...
「墓もないなんて、あんまりかわいそうじゃないか。 おれたち...
と、達柱が言った。
「それはいい考えだけど、ここにがいこつがあることがわかっ...
「それもそうだな。じゃ井戸はどうしようか」&br;
「井戸は掘るさ。でもここはやめて、ほかを掘ろう」
茂漢は掘りかけた穴を埋めて近くの地面を掘りはじめた。達柱...
茂漢は汗を流して掘っているうちに、今度は大きな岩にぶつか...
「達柱、もう掘るのはやめようよ。水があるかどうかもわから...
「おれもそう思うよ」&br;
「ここでしゃれこうベを見たこと、誰にもしゃべるなよ。2人だ...
「どうして井戸を掘らないのかって聞かれたら、なんて答える...
「つまらん心配するなよ。水が出そうもないし、船がじきに来...
「それもそうだな」
こうして井戸掘りはとりやめになった。茂漢の頭には、無電機...
茂漢はかぶりを振って、自分の推測をうち消した。
船は来たけれども、会えなかったのだろう。無電機にしがみつ...
茂漢はこう決心した。
(芸術、文芸作品―その他)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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#include(boys_navi,notitle)
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//(文芸作品―その他 2020.10.15)
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*長編小説「15少年物語」(22) [#i2274ab1]
ある夕方、茂英はサケを焼いてほら穴へ入って来た。
ぷーんと香ばしいにおいがただよった。
「水がこれしか残ってないんだけど、どうしようかしら」
茂英はどんぶりにもみたない水を、男の子たちに見せた。
「心配するな。夕飯がすんだら、おれたちがくんで来てやるよ」
茂漢がむぞうさに答えた。
男の子たちは夕食をすませ、水を少しづつ分けて飲んだ。達柱...
「水がなくなったから、暗くならないうちにくみに行こうよ」
こう言っても返事がないので、茂漢は気分をそこねて、ごろり...
「どうして雪は降りやがらんのだ。雪さえ降りゃ水の心配がな...
達柱がぼやいた。
「達柱、一緒に水をくみに行かないか」
基昌がたまりかねて言った。
「2人も行くことはないさ。それにおれは海を見張らなくちゃな...
達柱がぶっきらぼうに答えた。
「基昌はこの前くんで来たじゃないか。今度は達柱、お前の番...
「その日おれが遊んだかよ。1日中魚取りをしたじゃないか。文...
達柱がかっとなったので、みな黙ってしまった。やがて、達柱...
「もうこんなに暗いのに、峠が越えられるかい。オオカミに出...
達柱はまた寝転んで口笛を吹きはじめた。
「じゃ、あしたの朝行くことにして、誰が行くか決めておこう...
茂漢が遠まわしに言った。こう言えば、自分が行くと答えるだ...
「そんなら、じゃんけんで決めたらどうだい」
文基がニヤニヤして言った。基昌はもう3回もくんで来たのに、...
「そうしようか」
達柱がにやりとして上半身を起こした。茂漢は眉をしかめて言...
「子どものままごとじゃないんたぞ。もういいよ。おれが行く...
基昌は自分が行こうとしたが、それではかれらに悪いくせがつ...
あくる日の早朝、茂漢はあきかんをさげてほら穴を出た。もっ...
その泉はかれらが作ったものでも、独りじめにしているもので...
別に恐れるわけではないが、とにかくあいたくなかった。
盗みでもするように、あたりをうかがいながら、しのび足で歩...
「とうとう建てたな」
仮小屋の方を見ると、子どもたちが起きた気配はなかった。家...
(成哲はやっぱりがんばり屋だな。でもほら穴の方がいいにき...
こんなことを考えながら泉のほとりに来たかれは、目を見張っ...
パガジで水をくもうとした茂漢は、2度びっくりした。泉の底で...
「そうか、アル島で拾った貝がらを入れたんだな。なかなか気...
うっとりと水の中をのぞきこんでいると、アル島とキンヨウル...
茂漢は、あきかんに水をいっぱいくんだあと、洗濯場にある洗...
「なんだろう、あれは」
近づいてみて驚いた。全部オットセイの皮なのだ。足を洗いた...
茂漢はほら穴に戻るなり、達柱に言った。
「魚はこれくらいあれば、冬中食ベられるだろう。 きょうから...
「うん、掘ろう。井戸のひとつくらいわけないさ」&br;
「よし、これで決まった。基昌、無電機を頼むぞ」
茂漢と達柱は朝食前にひと仕事しようと外へ出た。 シャベルが...
「おい、これを見ろよ」
草むらに座って汗をふいていた茂漢が立ちあがった。
「しゃれこうべじゃないか。どっから出て来たんだ」&br;
「ここだ」
達柱はシャベルで場所を示した。
「その辺を注意して掘ってみろよ。まだあるかもしれないから...
「ごめんだ。掘りたきゃ、お前が掘れよ」
シャベルの柄をさしだされて、茂漢はしかたなしに受け取った...
「意気地なしだな」
同じところを掘るとまた骨が出てきそうなので、まわりをほじ...
このとき、達柱が足もとに鉄ぐいがささっているのを見つけた...
茂漢は不思議なものを探しあてたように、くいがささっていた...
「テントのくいだよ、きっと。島にあがった人たちが、ここに...
「じゃ、その人たちは帰れないで死んじゃったのか」&br;
「さあね」&br;
「あんなにいいほら穴があるのに、なぜテントを張ったんだろ...
「ほら穴は暗いし、日もささないから、外で暮らしたんだろう...
「無電機の持主じゃないのか」&br;
「そうだね。助け船は来たけれど、この人たちはなにか重い病...
茂漢は沈んだ気持で、もしや遺書か遺品があるのではないかと...
「墓もないなんて、あんまりかわいそうじゃないか。 おれたち...
と、達柱が言った。
「それはいい考えだけど、ここにがいこつがあることがわかっ...
「それもそうだな。じゃ井戸はどうしようか」&br;
「井戸は掘るさ。でもここはやめて、ほかを掘ろう」
茂漢は掘りかけた穴を埋めて近くの地面を掘りはじめた。達柱...
茂漢は汗を流して掘っているうちに、今度は大きな岩にぶつか...
「達柱、もう掘るのはやめようよ。水があるかどうかもわから...
「おれもそう思うよ」&br;
「ここでしゃれこうベを見たこと、誰にもしゃべるなよ。2人だ...
「どうして井戸を掘らないのかって聞かれたら、なんて答える...
「つまらん心配するなよ。水が出そうもないし、船がじきに来...
「それもそうだな」
こうして井戸掘りはとりやめになった。茂漢の頭には、無電機...
茂漢はかぶりを振って、自分の推測をうち消した。
船は来たけれども、会えなかったのだろう。無電機にしがみつ...
茂漢はこう決心した。
(芸術、文芸作品―その他)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//(文芸作品―その他 2020.10.15)
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