長編小説「15少年物語」（20） をテンプレートにして作成
[
トップ
] [
新規
|
一覧
|
単語検索
|
最終更新
|
ヘルプ
|
ログイン
]
開始行:
*長編小説「15少年物語」（20） [#ade28995]
家ぶしんはスムーズにはかどり、漁の実績もまんざらでなかっ...
万洙らはいかだを組んで海に出かけ、刺し網を張って朝夕引き...
問題は冬着である。方々にわなを仕掛けたが、べつだん獲物が...
「人数をもっと増やしてもらおうよ。ぐずぐずして、冬になっ...
勇日も気になるらしく、こんなことを言った。
「心配するな。天気のいい日にオットセイを取りに行こう。あ...
久しぶりに空が晴れあがったある朝、万洙は片腕をつったまま...
3人は小さいいかだに乗ってろをこいだ。昨夜まで雨雲がただよ...
3人はでこぼこした岩の合間をぬって、いかだを平たい岩につけ...
「いかだに座っていよう。もうじき、オットセイがあがって来...
ささやくように言って、万洙が座った。
かれらは息を殺して待った。昌植は、とぎすました銳いやすを...
「ちっとも来ないじゃないか。よそへ行ってみようよ」
勇日が待ちくたびれて言った。
「しーっ。いまにあがってくるよ。オットセイはそう簡単につ...
万洙が低い声でさとすと、勇日はにこにこしてうなずいた。
昼さがりに、いかだの向こうに大きなオットセイの頭が、にゅ...
緊張した万洙は指を口にあてて、勇日に目くばせした。
勇日はこっくりうなずいた。息を殺していると、水面が摇れて...
万洙は2人を見やってほほえんだ。なにかを感づいたのか、それ...
30分ほどすると静かな水面が激しく揺れだし、才ットセイども...
少したつと、もう1匹近くにあらわれた。さっきよりとおかった...
このとき、最初に姿を見せた大きなオットセイが、にゅっとあ...
「さっきから、こいつを狙ってたんだ。どうだい」
昌植は得意顔で言った。万洙も満足そうに笑い、勇日は歓声を...
「いくらじたばたしても無駄さ。やすは抜けないぞ」
昌植はこう言って、やすを握った手にぐっと力をこめた。いか...
万洙と勇日が一緒にやすの柄をつかんだ。オットセイはやすに...
昌植は泣き顔になった。オットセイにこんな怪力があるとは、...
「やすを放せ。早く」
万洙がどなった。やすは3人の手から離れて左右に揺れながら引...
「とうとう逃がしちゃったか。やすだけ損したな」
昌植はやすが沈んだあたりを、くやしそうにながめた。力がす...
「あいつさえつかまえていたらなあ、チクショー」&br;
「あんまり欲ばりすぎたんだ。おれの言うとおり、小さいやつ...
万洙がほおをふくらませて言った。
「オットセイのやつ、あんなに馬鹿力があるとは思わなかった...
3人はむなしく引きあげた。
あくる日も1日中海に出ていたが、収穫はなかった。
「天気のいい日ばかり待っていたらだめだ。毎日追いまわして...
「だけどオットセイを追っかけて、海に飛びこむわけにはいか...
万洙の言葉に、昌植はため息まじりに答えた。
「いかだに乗って待っていれば、オットセイが息をするために...
「それじゃ盲の探りあてじゃないか」&br;
「しかたがないよ。そうでもしてとらなくちゃ」
万洙らはやすを持って、またいかだに乗りくんだ。
そして5日目に、やっと中くらいのオットセイを3匹しとめた。...
数日後のある日、空はからりと晴れ渡り、海面は宝石をちりば...
大きいナガスクジラが2頭、子クジラを真ん中にして、ときどき...
クジラの親子が遠ざかると、静かだった海面が急に揺らめいた...
いつしか岩の上には、およそ50匹のオットセイが群がった。
一瞬鋭い口笛の音がし、例の3匹が立ちあがると同時に、きらり...
3人は歓声をあげながら、やすで手あたりしだいに突き刺した。
「きょうも、でかいやつを逃がしたな」
頭まですっぽりかぶったオットセイの毛皮を脱ぎながら昌植が...
「おれは1匹しかとれなかったよ」
勇日も毛皮を脱いだ。
「1匹だって大したもんだ。どうだ、面白いだろう」
万洙が毛皮をたたみながら言った。
「うん、すごく面白いや。お前は片腕しか使えないのに、2匹も...
「きょうはもうだめだ。ひどい目にあったから、当分のあいだ...
かれらはしとめたオットセイを1匹ずつかついで、新築の丸太小...
「わあ、オットセイを3匹もつかまえたのか」
永洙が真っ先に駆け寄った。
「3匹なもんか5匹だよ。お前も毛皮の服が着たいんなら、早く...
「へえっ、5匹も。どこにあるの」&br;
「たいら岩だよ」&br;
「よしきた」
永洙は一目散に駆けて行った。ほかの子たちもあとを追った。
やがて庭に、5匹のオットセイが並べられた。
子どもたちは、皮で服を作ろう、いやくつや帽子を作った方が...
「待ってろ。これからもっとたくさんつかまえて、服もくつも...
万洙の指図で、年かさの子たちが皮をはぎ、片腕を肩につるし...
「オットセイは、なに1つ捨てるもんがないんだよ。皮で服を作...
「それはどこに使うんだ」
徳善が顔をあげて聞いた。
「骨のずいを水にとかして、そこに皮をひたしてから干すと、...
「やあ、もうすぐ日が暮れるよ。ハトにえさをやったのか」
脇目もふらないで皮をはいでいた俊浩が、思いだしたように言...
「おれがやるよ」
勇日が砕いたゴヨウマツの実を、ハト小屋の前にまいた。
「おい、あのハトを見ろよ。足になにかくっついているぞ」
小屋の中をのぞいていた勇日が叫んだ。
「なにがくっついてるんだ」
俊浩はせっせと手を動かしながらなま返事をしたが、永洙がバ...
「どのハトだい」&br;
「あいつだよ、足首に金物みたいなのがついてるだろう」&br;
「ほんとだ。なんだろうか」
2人のやりとりを聞いて、子どもたちがぞろぞろハ ト小屋の前...
皮をはがし終えた子たちも、ハト小屋にやって来た。
「お前たち、ハ卜にいたずらしたんじゃないのか」
俊浩はこう言って、ハト小屋をのぞいた。
「あれっ、伝書バトじゃないか」
目を輝かせてハトに見入る俊浩に、徳善がうれしそうに言った。
「伝書バトだって？ じゃ手紙を書いてキンヨウル村に送ろう...
しかし俊浩は成哲と昌植のいる方に目を向け、それには返事を...
「そんなら、おれ、母ちやんに手紙を出すぞ」&br;
「お前だけ出すつもりかい。おれも出すよ」&br;
「ハトの足にそんなにたくさんぶらさげられるかい」
子どもたちはワイワイ騒いだ。
そこへ成哲と昌植がやって来た。
「あれは、手紙を入れる輪じゃないか。本で見た絵とそっくり...
俊浩は2人に問うように言った。
「確かに伝書バトだ。そうだろう」
昌植に同意を求められて、成哲もうなずいた。
「じゃ、キンヨウルに手紙が出せるな」
徳善がまた喜びに声をはずませた。
「伝書バトだからって、どこにでも自由に手紙が出せるんじゃ...
じゃ、どうやって出すのかと問いたげな視線をあびながら、昌...
「伝書バトはな、遠くからでも、自分がいたところを探して帰...
「だから、ハトは自分の巣に戻りながら、手紙を伝えるわけな...
万洙の言葉に、みなうなずいた。
「おれたちそれを知ってたら、俊浩んちのハトを全部持って来...
「訓練していないハトはだめだよ。こんなところで飛ばしたら...
成哲の説明を聞くとみなハトを見なから考えこんだ。
しばらく誰も口をきかなかった。
「あの中にどんな手紙があるか、あけてみない」
明玉が口早に言った。
「そうだ、あけてみようよ」
ほかの子たちもはしゃいで言った。
「いまつかまえると逃げちゃうから、夜にしよう」
俊浩はそのハトをよく見ておき、夜遅くつかまえて足の輪をこ...
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
#br
----
#include(boys_navi,notitle)
----
#include(vok_navi01,notitle)
//（文芸作品―その他 2020.10.05）
終了行:
*長編小説「15少年物語」（20） [#ade28995]
家ぶしんはスムーズにはかどり、漁の実績もまんざらでなかっ...
万洙らはいかだを組んで海に出かけ、刺し網を張って朝夕引き...
問題は冬着である。方々にわなを仕掛けたが、べつだん獲物が...
「人数をもっと増やしてもらおうよ。ぐずぐずして、冬になっ...
勇日も気になるらしく、こんなことを言った。
「心配するな。天気のいい日にオットセイを取りに行こう。あ...
久しぶりに空が晴れあがったある朝、万洙は片腕をつったまま...
3人は小さいいかだに乗ってろをこいだ。昨夜まで雨雲がただよ...
3人はでこぼこした岩の合間をぬって、いかだを平たい岩につけ...
「いかだに座っていよう。もうじき、オットセイがあがって来...
ささやくように言って、万洙が座った。
かれらは息を殺して待った。昌植は、とぎすました銳いやすを...
「ちっとも来ないじゃないか。よそへ行ってみようよ」
勇日が待ちくたびれて言った。
「しーっ。いまにあがってくるよ。オットセイはそう簡単につ...
万洙が低い声でさとすと、勇日はにこにこしてうなずいた。
昼さがりに、いかだの向こうに大きなオットセイの頭が、にゅ...
緊張した万洙は指を口にあてて、勇日に目くばせした。
勇日はこっくりうなずいた。息を殺していると、水面が摇れて...
万洙は2人を見やってほほえんだ。なにかを感づいたのか、それ...
30分ほどすると静かな水面が激しく揺れだし、才ットセイども...
少したつと、もう1匹近くにあらわれた。さっきよりとおかった...
このとき、最初に姿を見せた大きなオットセイが、にゅっとあ...
「さっきから、こいつを狙ってたんだ。どうだい」
昌植は得意顔で言った。万洙も満足そうに笑い、勇日は歓声を...
「いくらじたばたしても無駄さ。やすは抜けないぞ」
昌植はこう言って、やすを握った手にぐっと力をこめた。いか...
万洙と勇日が一緒にやすの柄をつかんだ。オットセイはやすに...
昌植は泣き顔になった。オットセイにこんな怪力があるとは、...
「やすを放せ。早く」
万洙がどなった。やすは3人の手から離れて左右に揺れながら引...
「とうとう逃がしちゃったか。やすだけ損したな」
昌植はやすが沈んだあたりを、くやしそうにながめた。力がす...
「あいつさえつかまえていたらなあ、チクショー」&br;
「あんまり欲ばりすぎたんだ。おれの言うとおり、小さいやつ...
万洙がほおをふくらませて言った。
「オットセイのやつ、あんなに馬鹿力があるとは思わなかった...
3人はむなしく引きあげた。
あくる日も1日中海に出ていたが、収穫はなかった。
「天気のいい日ばかり待っていたらだめだ。毎日追いまわして...
「だけどオットセイを追っかけて、海に飛びこむわけにはいか...
万洙の言葉に、昌植はため息まじりに答えた。
「いかだに乗って待っていれば、オットセイが息をするために...
「それじゃ盲の探りあてじゃないか」&br;
「しかたがないよ。そうでもしてとらなくちゃ」
万洙らはやすを持って、またいかだに乗りくんだ。
そして5日目に、やっと中くらいのオットセイを3匹しとめた。...
数日後のある日、空はからりと晴れ渡り、海面は宝石をちりば...
大きいナガスクジラが2頭、子クジラを真ん中にして、ときどき...
クジラの親子が遠ざかると、静かだった海面が急に揺らめいた...
いつしか岩の上には、およそ50匹のオットセイが群がった。
一瞬鋭い口笛の音がし、例の3匹が立ちあがると同時に、きらり...
3人は歓声をあげながら、やすで手あたりしだいに突き刺した。
「きょうも、でかいやつを逃がしたな」
頭まですっぽりかぶったオットセイの毛皮を脱ぎながら昌植が...
「おれは1匹しかとれなかったよ」
勇日も毛皮を脱いだ。
「1匹だって大したもんだ。どうだ、面白いだろう」
万洙が毛皮をたたみながら言った。
「うん、すごく面白いや。お前は片腕しか使えないのに、2匹も...
「きょうはもうだめだ。ひどい目にあったから、当分のあいだ...
かれらはしとめたオットセイを1匹ずつかついで、新築の丸太小...
「わあ、オットセイを3匹もつかまえたのか」
永洙が真っ先に駆け寄った。
「3匹なもんか5匹だよ。お前も毛皮の服が着たいんなら、早く...
「へえっ、5匹も。どこにあるの」&br;
「たいら岩だよ」&br;
「よしきた」
永洙は一目散に駆けて行った。ほかの子たちもあとを追った。
やがて庭に、5匹のオットセイが並べられた。
子どもたちは、皮で服を作ろう、いやくつや帽子を作った方が...
「待ってろ。これからもっとたくさんつかまえて、服もくつも...
万洙の指図で、年かさの子たちが皮をはぎ、片腕を肩につるし...
「オットセイは、なに1つ捨てるもんがないんだよ。皮で服を作...
「それはどこに使うんだ」
徳善が顔をあげて聞いた。
「骨のずいを水にとかして、そこに皮をひたしてから干すと、...
「やあ、もうすぐ日が暮れるよ。ハトにえさをやったのか」
脇目もふらないで皮をはいでいた俊浩が、思いだしたように言...
「おれがやるよ」
勇日が砕いたゴヨウマツの実を、ハト小屋の前にまいた。
「おい、あのハトを見ろよ。足になにかくっついているぞ」
小屋の中をのぞいていた勇日が叫んだ。
「なにがくっついてるんだ」
俊浩はせっせと手を動かしながらなま返事をしたが、永洙がバ...
「どのハトだい」&br;
「あいつだよ、足首に金物みたいなのがついてるだろう」&br;
「ほんとだ。なんだろうか」
2人のやりとりを聞いて、子どもたちがぞろぞろハ ト小屋の前...
皮をはがし終えた子たちも、ハト小屋にやって来た。
「お前たち、ハ卜にいたずらしたんじゃないのか」
俊浩はこう言って、ハト小屋をのぞいた。
「あれっ、伝書バトじゃないか」
目を輝かせてハトに見入る俊浩に、徳善がうれしそうに言った。
「伝書バトだって？ じゃ手紙を書いてキンヨウル村に送ろう...
しかし俊浩は成哲と昌植のいる方に目を向け、それには返事を...
「そんなら、おれ、母ちやんに手紙を出すぞ」&br;
「お前だけ出すつもりかい。おれも出すよ」&br;
「ハトの足にそんなにたくさんぶらさげられるかい」
子どもたちはワイワイ騒いだ。
そこへ成哲と昌植がやって来た。
「あれは、手紙を入れる輪じゃないか。本で見た絵とそっくり...
俊浩は2人に問うように言った。
「確かに伝書バトだ。そうだろう」
昌植に同意を求められて、成哲もうなずいた。
「じゃ、キンヨウルに手紙が出せるな」
徳善がまた喜びに声をはずませた。
「伝書バトだからって、どこにでも自由に手紙が出せるんじゃ...
じゃ、どうやって出すのかと問いたげな視線をあびながら、昌...
「伝書バトはな、遠くからでも、自分がいたところを探して帰...
「だから、ハトは自分の巣に戻りながら、手紙を伝えるわけな...
万洙の言葉に、みなうなずいた。
「おれたちそれを知ってたら、俊浩んちのハトを全部持って来...
「訓練していないハトはだめだよ。こんなところで飛ばしたら...
成哲の説明を聞くとみなハトを見なから考えこんだ。
しばらく誰も口をきかなかった。
「あの中にどんな手紙があるか、あけてみない」
明玉が口早に言った。
「そうだ、あけてみようよ」
ほかの子たちもはしゃいで言った。
「いまつかまえると逃げちゃうから、夜にしよう」
俊浩はそのハトをよく見ておき、夜遅くつかまえて足の輪をこ...
（芸術、文芸作品―その他）
RIGHT:'''2020年の記事'''
#br
----
#include(boys_navi,notitle)
----
#include(vok_navi01,notitle)
//（文芸作品―その他 2020.10.05）
ページ名:
![[PukiWiki]](image/pukiwiki.png "[PukiWiki]")
