長編小説「15少年物語」（11） をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」（11） [#sc8cfaeb]
子どもたちは、茂漢が駆けおりて行った谷間を探したが、どこ...
「茂漢」
成哲は立ち止まって大声で呼んだ。こだまが返ってくるだけだ...
「みんなで一緒に呼んでみよう」&br;
「おーい、茂漢」
子どもたちは声をあわせて呼んだ。呼び声は切々とこだまし、...
「兄ちゃーん」
茂英の涙声も風にうち消されてしまった。無人島で兄ちゃんま...
のどが乾いているうえ、何度も大声で呼んだので、少年たちの...
「もっと、大きな声で呼んでみよう。だんだん声が小さくなる...
かれらは元気をとり戻して、呼びつづけた。向きを変えては呼...
いつしか太陽は、水平線の向こうに落ちはじめた。びっこを引...
「もう足が痛くて歩けないよ。ずきずきして、まるで炭火で焼...
達柱はゴム靴を脱いで足の裏をのぞいた。朝、糸を通したまめ...
「お前も足が痛いのか」と、徳善が聞いた。
「足が痛いのはがまんできるけど、のどが乾いて死にそうだよ...
「いつも本ばかり読んでるくせに、泉も探せないのか。読まな...
「泉を探すために、本を読んでると思うのか」&br;
「じゃ、なんで読むんだ。本を読む以上、人にやれないことを1...
徳善にひにくられて、昌植は返事につまった。
「どうして答えられないんだ。言ってみろよ」
徳善は愉快そうにせきたてた。
「本はな、知識をつけるために読むもんで、人にできないこと...
「知識をつけるためだって？ じゃ、ひとつおれが聞いてみる...
徳善はにやにやしながら言った。
「一度まわりを見まわしてみろ。ここはどっちを向いても海ば...
「それは・・・」と、きりだしたものの、昌植はどう答えたも...
「それはな、地面や水や空気があれば、ひとりでにできるんだ...
「なんだって？ 種や根っ子がなくてもひとりでにできるって...
徳善はおなかをかかえて笑った。
昌植は返事のしようがなく、目をパチパチさせた。
「それじゃ、いつか本で読んだ、南洋の島のことを話してやろ...
成哲がこう助け船を出すと、みな聞き耳を立てた。
「南洋のスマトラ島とジャワ島のあいだに、クラカタウ島って...
「それがわかっていたら、なにも聞きやしないさ」&br;
「それはね、風や鳥、そして波が運んで来たのさ」&br;
「それも本で読んだのかい」
徳善は感心してたずねた。
「もちろんだよ」&br;
「やっぱり本は読むもんだな。でもおれは字がわからないから...
「習えばいいじゃないか」
こんな話をしているとき、太陽は水平線のかなたに落ちようと...
「こんなところにじっとしていないで、夕食の支度をする者だ...
誰もすぐに腰をあげようとしなかった。
「茂漢は1人でこっそり、小屋に帰ったんじゃないのかな」と、...
「おれたちをうらんで、そうしたかもしれないな」
京三が相づちを打った。
「あいつを探しまわっているおれたちが馬鹿だよ。こんなに苦...
「そんなに遠い所を1人で帰るはずがないよ。もう少し探してみ...
成哲が腰をあげた。昌植がそれにつづくと、ほかの子らも立ち...
「徳善は残って夕食の支度を手伝えよ。びっこを引いちゃ歩け...
「心配するなよ。寝る前に水ぶくれに糸を通せばいいんだ」
こう言って、徳善もついて行った。
のどがからからに乾き、気力がつきて声も大きくは出せなかっ...
西空を赤く染めていた夕焼けがうすれ、夜のとばりがおりはじ...
（いったいどうしたんだろう）
成哲は不吉な思いがした。一所けんめいに探す仲間の声を聞い...
（おれがあんなに腹を立てなければ、昌植もああまではしなか...
かれは、茂漢をつかまえに行くという徳善を引き止めたことま...
「もう帰ろう。いまに戻って来るだろうよ」
成哲に言われて、少年たちは野宿するために、大きな岩の前に...
女の子たちは夕食の支度をすませて、みなの帰りを待っていた...
暗くなると、場所がよくわかるようにと木のこずえに旗を結び...
夜が更けても茂漢は帰らなかった。
疲れきった子どもたちは、形ばかりの夕食もそこそこに、たき...
成哲と万洙は夜の明けきらないうちに起きだして、びくをさげ...
成哲は万洙と一緒に、きのう仕掛けておいた四つ手網を引きあ...
2人が帰るころ、真っ赤な太陽が水平線の上にさしのぼった。深...
2人は朝露にしっとりぬれた谷間を、黙々と歩いた。成哲は両手...
「あっ、あの鳥を見ろよ」
先に立って歩いていた万洙が、突然大声を立てて駆けだした。...
万洙が茂みをかき分けてなにかを探していた。
「おい、ここに泉があるぞ」
万洙は有頂天になって声を張りあげた。
成哲が駆け寄ると、万洙は泉におおいかぶさった木の葉を取り...
「やあ、ほんとうに泉だ」
成哲もそでをまくりあげて、木の葉を取りのけた。水は氷のよ...
「飲んでみよう」
万洙が両手で水をすくった。
「大丈夫かな」&br;
「大丈夫さ、鳥が飲んでるじゃないか」
万洙はゴクンゴクンと飲んだ。
「あーうまい。冷たくて胸がすーっとするよ。お前も飲めよ」
成哲も飲んだ。冷たい水が腹の底にしみとおり、たちまち気力...
成哲は立ちあがって泉を見つめた。
こんなにすばらしい泉が、いまごろ姿をあらわすなんて・・・...
でも少しおくれたとはいえ、泉が見つかったのだ。なんとあり...
「なにを考えてるんだ。旱くみんなに知らせようよ」
成哲はわれにかえった。
「うん、早く知らせよう」
2人は息をはずませて、谷間を登った。
「おーい、水があるぞっ」&br;
「泉を見つけたぞっ」
2人のはずんだ声が、朝のしじまを破ってこだまする。
「泉が見つかったんだってよ」&br;
「なにっ、泉が」&br;
「おれの水筒はどこだ」
子どもたちは2人のあとを追って、矢のように谷間を駆けおりた。
「泉だ、泉」&br;
「どこだ、どこにあるんだ」
かれらは泉を見ると、抱きあって草原に転がったり、 帽子をほ...
「のどがかれそうだ。早く飲もう」
徳善が大きな枯れ葉でひしゃくを作って、泉にかがみこもうと...
「ちょっと待て。飲めるかどうか確かめなくちゃ」
「大丈夫だ。おれたちが飲んでみたよ」と、成哲が言った。
「じゃ、おれから飲まなくちゃ」
昌植は徳善より先にガブガブ飲んだ。
「やあ、ハチミツよりもおいしいぞ」
子どもたちはわれ勝ちに泉にかがみこんだ。手ですくって飲む...
「どうやって、こんなにすてきな泉を見つけたんだい」&br;
「万洙、説明しろよ。それは万洙の手柄なんだ」
成哲の言葉に、みな万洙に目を向けた。
「おれが見つけたんじゃないよ」
万洙は首を横に振った。子どもたちは興味をおぼえて、2人の顔...
「これはな、隊長と鳥どものおかげで見つけたんだ」
万洙がにこにこして言った。
「なに、隊長と鳥が」
みな好奇心にかられて、万洙をとりかこんだ。
「隊長がいつも言ってたじゃないか。鳥やけだものが集まると...
「鳥が見つけたってのは、なんのことだい」&br;
「隊長と一緒に魚を取って来る途中、おれは先に立って歩いて...
「そう言えば、おれもこのあいだ、草むらから鳥の群れが飛ぶ...
昌植が自分の頭をゴツンとたたいた。
「お前、隊長の言うことをいいかげんに聞いたからだ。そうだ...
「うん、徳善の言うとおりだ」
昌植はすなおにうなずいた。
「だから、この泉を見つけたのは鳥じゃなくて、成哲さんと万...
「ほんとうだ。2人で見つけたんだから、徳善峰と同じように、...
達柱がこう言うと、万洙は手を振って反対した。
「名前をそんな風にばかりつけるのは面白くないよ。それより...
みなそれに賛成した。
ただ昌植だけが、しょんぼりと考えこんでいた。さっきの明玉...
（あの子たちの言うとおりだ。おれは仲間のためになにもして...
昌植は顔を赤くして万洙を見やった。
子どもたちは久しぶりに顔も洗って、はしゃぎまわった。
成哲はそんな子どもたちを集めて言った。
「おれたちは泉を見つけて飲み放題に飲み、顔も洗ったけど、...
「うん、おれが行って来るよ」
昌植はこう言ってその役目を引き受け、みなの水筒を集めた。
「こうしよう。茂漢が仮小屋に帰ったとすれば、俊浩らがいる...
「じゃ、これからはここで暮らすのかい」と、基昌がたずねた。
「そうだよ、泉を見つけたからね」&br;
「家もないのに？」&br;
「家はおれたちの手で建てるさ」&br;
「どうせ建てるんなら、ちっぽけな草小屋なんか建てないで、...
徳善がまっさきに賛成した。
「丸太小屋？」
達柱が目玉をぐりぐりさせて、口をはさんだ。
「大工もいないのにかい」&br;
「大工がいなけりゃ家が建てられないと思ってるのか。木はい...
「ふん、それがそんなに簡単だと思ってるのか。登れない木は...
こうまで言われると、徳善も気おくれがした。
昌植は5つの水筒をみたして、病人たちのいる海べに向かった。...
成哲らは旗を前よりもっと高いところにかかげたあと、茂漢を...
昌植はまだ帰っていなかった。普通なら昼過ぎには帰れる距離...
成哲は昌植を1人で行かせたことを後悔し、たき火をたいて待っ...
昌植は夜がかなり更けてから帰って来た。
「ずいぶん遅かったな。どんなに待ったかしれないぜ」
成哲は昌植の肩をたたいて言った。
「すぐ引っ返すわけにはいかなかったんだ。ヤムジョンや俊浩...
「いったいどうしたんだ」&br;
「それがね、ひどい目にあったんだよ。まあ、水を一杯くれ」
昌植は一息に水を飲みほして、話をつづけた。
「チビたちに木の実を取ってやろうと、山に登ってね、ハチに3...
「ふん、そいつはご苦労だったな。で、病人たちの具合はどう...
「だいぶよくなってたよ。文基はもう腰が痛まないし、ヤムジ...
「水を持って行ったので、ずい分喜んだろうな」&br;
「もちろんさ。チビたちは万歳まで叫んでね。俊浩は顔をそむ...
こう言って、昌植はこぶしでまなじりをぬぐった。
「ところで茂漢は、そこにもいなかったのか」&br;
「うん。ここにもまだ帰ってないのか」&br;
「じゃ、小屋にも行かなかったんだな。大変なことになったぞ...
成哲は太いため息をついた。同じことを考えていた茂英は、唇...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
#br
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#include(boys_navi,notitle)
----
#include(vok_navi01,notitle)
//（芸術 2020.08.25）
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*長編小説「15少年物語」（11） [#sc8cfaeb]
子どもたちは、茂漢が駆けおりて行った谷間を探したが、どこ...
「茂漢」
成哲は立ち止まって大声で呼んだ。こだまが返ってくるだけだ...
「みんなで一緒に呼んでみよう」&br;
「おーい、茂漢」
子どもたちは声をあわせて呼んだ。呼び声は切々とこだまし、...
「兄ちゃーん」
茂英の涙声も風にうち消されてしまった。無人島で兄ちゃんま...
のどが乾いているうえ、何度も大声で呼んだので、少年たちの...
「もっと、大きな声で呼んでみよう。だんだん声が小さくなる...
かれらは元気をとり戻して、呼びつづけた。向きを変えては呼...
いつしか太陽は、水平線の向こうに落ちはじめた。びっこを引...
「もう足が痛くて歩けないよ。ずきずきして、まるで炭火で焼...
達柱はゴム靴を脱いで足の裏をのぞいた。朝、糸を通したまめ...
「お前も足が痛いのか」と、徳善が聞いた。
「足が痛いのはがまんできるけど、のどが乾いて死にそうだよ...
「いつも本ばかり読んでるくせに、泉も探せないのか。読まな...
「泉を探すために、本を読んでると思うのか」&br;
「じゃ、なんで読むんだ。本を読む以上、人にやれないことを1...
徳善にひにくられて、昌植は返事につまった。
「どうして答えられないんだ。言ってみろよ」
徳善は愉快そうにせきたてた。
「本はな、知識をつけるために読むもんで、人にできないこと...
「知識をつけるためだって？ じゃ、ひとつおれが聞いてみる...
徳善はにやにやしながら言った。
「一度まわりを見まわしてみろ。ここはどっちを向いても海ば...
「それは・・・」と、きりだしたものの、昌植はどう答えたも...
「それはな、地面や水や空気があれば、ひとりでにできるんだ...
「なんだって？ 種や根っ子がなくてもひとりでにできるって...
徳善はおなかをかかえて笑った。
昌植は返事のしようがなく、目をパチパチさせた。
「それじゃ、いつか本で読んだ、南洋の島のことを話してやろ...
成哲がこう助け船を出すと、みな聞き耳を立てた。
「南洋のスマトラ島とジャワ島のあいだに、クラカタウ島って...
「それがわかっていたら、なにも聞きやしないさ」&br;
「それはね、風や鳥、そして波が運んで来たのさ」&br;
「それも本で読んだのかい」
徳善は感心してたずねた。
「もちろんだよ」&br;
「やっぱり本は読むもんだな。でもおれは字がわからないから...
「習えばいいじゃないか」
こんな話をしているとき、太陽は水平線のかなたに落ちようと...
「こんなところにじっとしていないで、夕食の支度をする者だ...
誰もすぐに腰をあげようとしなかった。
「茂漢は1人でこっそり、小屋に帰ったんじゃないのかな」と、...
「おれたちをうらんで、そうしたかもしれないな」
京三が相づちを打った。
「あいつを探しまわっているおれたちが馬鹿だよ。こんなに苦...
「そんなに遠い所を1人で帰るはずがないよ。もう少し探してみ...
成哲が腰をあげた。昌植がそれにつづくと、ほかの子らも立ち...
「徳善は残って夕食の支度を手伝えよ。びっこを引いちゃ歩け...
「心配するなよ。寝る前に水ぶくれに糸を通せばいいんだ」
こう言って、徳善もついて行った。
のどがからからに乾き、気力がつきて声も大きくは出せなかっ...
西空を赤く染めていた夕焼けがうすれ、夜のとばりがおりはじ...
（いったいどうしたんだろう）
成哲は不吉な思いがした。一所けんめいに探す仲間の声を聞い...
（おれがあんなに腹を立てなければ、昌植もああまではしなか...
かれは、茂漢をつかまえに行くという徳善を引き止めたことま...
「もう帰ろう。いまに戻って来るだろうよ」
成哲に言われて、少年たちは野宿するために、大きな岩の前に...
女の子たちは夕食の支度をすませて、みなの帰りを待っていた...
暗くなると、場所がよくわかるようにと木のこずえに旗を結び...
夜が更けても茂漢は帰らなかった。
疲れきった子どもたちは、形ばかりの夕食もそこそこに、たき...
成哲と万洙は夜の明けきらないうちに起きだして、びくをさげ...
成哲は万洙と一緒に、きのう仕掛けておいた四つ手網を引きあ...
2人が帰るころ、真っ赤な太陽が水平線の上にさしのぼった。深...
2人は朝露にしっとりぬれた谷間を、黙々と歩いた。成哲は両手...
「あっ、あの鳥を見ろよ」
先に立って歩いていた万洙が、突然大声を立てて駆けだした。...
万洙が茂みをかき分けてなにかを探していた。
「おい、ここに泉があるぞ」
万洙は有頂天になって声を張りあげた。
成哲が駆け寄ると、万洙は泉におおいかぶさった木の葉を取り...
「やあ、ほんとうに泉だ」
成哲もそでをまくりあげて、木の葉を取りのけた。水は氷のよ...
「飲んでみよう」
万洙が両手で水をすくった。
「大丈夫かな」&br;
「大丈夫さ、鳥が飲んでるじゃないか」
万洙はゴクンゴクンと飲んだ。
「あーうまい。冷たくて胸がすーっとするよ。お前も飲めよ」
成哲も飲んだ。冷たい水が腹の底にしみとおり、たちまち気力...
成哲は立ちあがって泉を見つめた。
こんなにすばらしい泉が、いまごろ姿をあらわすなんて・・・...
でも少しおくれたとはいえ、泉が見つかったのだ。なんとあり...
「なにを考えてるんだ。旱くみんなに知らせようよ」
成哲はわれにかえった。
「うん、早く知らせよう」
2人は息をはずませて、谷間を登った。
「おーい、水があるぞっ」&br;
「泉を見つけたぞっ」
2人のはずんだ声が、朝のしじまを破ってこだまする。
「泉が見つかったんだってよ」&br;
「なにっ、泉が」&br;
「おれの水筒はどこだ」
子どもたちは2人のあとを追って、矢のように谷間を駆けおりた。
「泉だ、泉」&br;
「どこだ、どこにあるんだ」
かれらは泉を見ると、抱きあって草原に転がったり、 帽子をほ...
「のどがかれそうだ。早く飲もう」
徳善が大きな枯れ葉でひしゃくを作って、泉にかがみこもうと...
「ちょっと待て。飲めるかどうか確かめなくちゃ」
「大丈夫だ。おれたちが飲んでみたよ」と、成哲が言った。
「じゃ、おれから飲まなくちゃ」
昌植は徳善より先にガブガブ飲んだ。
「やあ、ハチミツよりもおいしいぞ」
子どもたちはわれ勝ちに泉にかがみこんだ。手ですくって飲む...
「どうやって、こんなにすてきな泉を見つけたんだい」&br;
「万洙、説明しろよ。それは万洙の手柄なんだ」
成哲の言葉に、みな万洙に目を向けた。
「おれが見つけたんじゃないよ」
万洙は首を横に振った。子どもたちは興味をおぼえて、2人の顔...
「これはな、隊長と鳥どものおかげで見つけたんだ」
万洙がにこにこして言った。
「なに、隊長と鳥が」
みな好奇心にかられて、万洙をとりかこんだ。
「隊長がいつも言ってたじゃないか。鳥やけだものが集まると...
「鳥が見つけたってのは、なんのことだい」&br;
「隊長と一緒に魚を取って来る途中、おれは先に立って歩いて...
「そう言えば、おれもこのあいだ、草むらから鳥の群れが飛ぶ...
昌植が自分の頭をゴツンとたたいた。
「お前、隊長の言うことをいいかげんに聞いたからだ。そうだ...
「うん、徳善の言うとおりだ」
昌植はすなおにうなずいた。
「だから、この泉を見つけたのは鳥じゃなくて、成哲さんと万...
「ほんとうだ。2人で見つけたんだから、徳善峰と同じように、...
達柱がこう言うと、万洙は手を振って反対した。
「名前をそんな風にばかりつけるのは面白くないよ。それより...
みなそれに賛成した。
ただ昌植だけが、しょんぼりと考えこんでいた。さっきの明玉...
（あの子たちの言うとおりだ。おれは仲間のためになにもして...
昌植は顔を赤くして万洙を見やった。
子どもたちは久しぶりに顔も洗って、はしゃぎまわった。
成哲はそんな子どもたちを集めて言った。
「おれたちは泉を見つけて飲み放題に飲み、顔も洗ったけど、...
「うん、おれが行って来るよ」
昌植はこう言ってその役目を引き受け、みなの水筒を集めた。
「こうしよう。茂漢が仮小屋に帰ったとすれば、俊浩らがいる...
「じゃ、これからはここで暮らすのかい」と、基昌がたずねた。
「そうだよ、泉を見つけたからね」&br;
「家もないのに？」&br;
「家はおれたちの手で建てるさ」&br;
「どうせ建てるんなら、ちっぽけな草小屋なんか建てないで、...
徳善がまっさきに賛成した。
「丸太小屋？」
達柱が目玉をぐりぐりさせて、口をはさんだ。
「大工もいないのにかい」&br;
「大工がいなけりゃ家が建てられないと思ってるのか。木はい...
「ふん、それがそんなに簡単だと思ってるのか。登れない木は...
こうまで言われると、徳善も気おくれがした。
昌植は5つの水筒をみたして、病人たちのいる海べに向かった。...
成哲らは旗を前よりもっと高いところにかかげたあと、茂漢を...
昌植はまだ帰っていなかった。普通なら昼過ぎには帰れる距離...
成哲は昌植を1人で行かせたことを後悔し、たき火をたいて待っ...
昌植は夜がかなり更けてから帰って来た。
「ずいぶん遅かったな。どんなに待ったかしれないぜ」
成哲は昌植の肩をたたいて言った。
「すぐ引っ返すわけにはいかなかったんだ。ヤムジョンや俊浩...
「いったいどうしたんだ」&br;
「それがね、ひどい目にあったんだよ。まあ、水を一杯くれ」
昌植は一息に水を飲みほして、話をつづけた。
「チビたちに木の実を取ってやろうと、山に登ってね、ハチに3...
「ふん、そいつはご苦労だったな。で、病人たちの具合はどう...
「だいぶよくなってたよ。文基はもう腰が痛まないし、ヤムジ...
「水を持って行ったので、ずい分喜んだろうな」&br;
「もちろんさ。チビたちは万歳まで叫んでね。俊浩は顔をそむ...
こう言って、昌植はこぶしでまなじりをぬぐった。
「ところで茂漢は、そこにもいなかったのか」&br;
「うん。ここにもまだ帰ってないのか」&br;
「じゃ、小屋にも行かなかったんだな。大変なことになったぞ...
成哲は太いため息をついた。同じことを考えていた茂英は、唇...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//（芸術 2020.08.25）
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