長編小説「15少年物語」（1） をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」（1） [#t972eb47]
－この作品は1930年代初、偉大な金日成主席が語った内容を小...
CENTER:1
東の空が白みはじめた。闇につつまれていた空や海、山や村が...
クズにおおわれた岩山の東側の谷はずれにキンヨウルという50...
あちこちの路地から黒い人影がひとつふたつとあらわれては、...
右肩にやすをかつぎ、左の肩には風呂敷包みをひっかけた学生...
船着き場では、漁師たちが船出の支度に大わらわだった。女た...
「遅れたのかな」
成哲は向こうに見える帆掛け船に向かって走りだした。
金剛丸では、万洙が掃除をしていた。
「まめだなあ。いつ来たんだい」&br;
「ここで寝たんだよ」
万洙は、ふり向きもせずバケツで海水をくみあげ、雑巾がけを...
このとき、がっしりした体つきの少年が、バタバタと駆けて来...
「やあ、もう来てるのか。1等になってやろうとすっとんで来た...
茂漢というその少年は、船着き場にべたりと座りこんで、せわ...
「3等じゃない。2等だよ」&br;
「なに、2等？ じゃお前は行かないのか」
万洙の言葉に茂漢は目を丸くした。
「おれが行かないって、とんでもない。おれも行くし、成哲も...
「ああそうか。お前、ここで寝たんだな」&br;
「そのとおり。ところで、それ、なんだい」&br;
「これかい。みんな茂英のだよ」&br;
「茂英もアル島へ行くのか」&br;
「あいつ、おれよりも早く起きてはしゃぎまわっていたよ。み...
「連れてってやろうや。そんなに行きたがってるのに」&br;
成哲がこう言ったとき、また一団の子どもが、ガヤガヤ騒ぎな...
「あれはまたなんだ。鼻たれ小僧まで一緒だ」、茂漢は眉をし...
「せっかく来たんだ。あいつらも連れてってやろうや」
バケツで海水をくみあげていた万洙が、腰をのばして言った。
「よせやい。船室がせまいのはまあ我慢できても、あいつらと...
「でも、朝早くごはんを食べて来たのに、追い返せるかよ」&br;
「それは、おれに任せろ。とにかく、きのう約束した者だけが...
「あの子たちは大丈夫だよ。たった3人だし」&br;
「じや、チビたちだけ帰そう。おれたちの約束を知りっこない...
茂漢は荷をかつぎ直して船にあがった。
「お前のお父さんが貸してくれた船なんだから、好きなように...
かれらは以前から、沖のアル島へ行って遊び、カモメの卵なん...
「みんな集まったようだな。じゃ持物がそろったかどうか、検...
昨夜隊長に選ばれた成哲が言った。茂漢は列の一番前で本を読...
昌植は手早く背負い袋の口をあけ、かたわらにつり竿を置いた...
「島へ行っても本を読む気かい」&br;
「うん。船の中でも読むしね。探険物なんだけど、とても面白...
「そうかい。じゃ、みな読んだらおれに貸してくれよ」
茂漢は持物を調べ終えて、言った。「合格だ。乗れ」
昌植は得意そうにみなを見まわし、口笛を吹きながら船に乗っ...
茂漢は学生服に学生帽をきちんとかぶり、捕虫網を手にした少...
「薬屋の俊浩も来たんだな。上の村の者はみな、約束どおり持...
かれは背負い袋を指先で突っついてみただけで、通そうとした。
「近所にいるからって、えこひいきするのかい。公平に検査し...
下の村の幼い勇日が、文句を言った。
「なんだ。俊浩のは見なくてもわかるんだ。ほら、どうだ、薬...
袋の中の物を取りだしていた茂漢が、薬の包みを振ってみせた。
つぎは、古い麦わら帽をかぶったノッポの番だった。尻に両手...
「達柱、お前、腕の折れたかかしにそっくりだな」
茂漢が冷やかすと、爆笑が起きた。
「お前も合格だ。乗れ」
達柱は風呂敷を包みなおすと、つり竿を持ってにこにこしなが...
茂漢はボサボサ頭の少年に近づき、「徳善は山家育ちだから、...
「山の者だって馬鹿にするな。これでもみんな持って来たぞ」
徳善は包みをほどいてひとつひとつ取りだし、茂漢の目の前に...
「ふーん、四つ手網まである、感心だ。じや乗れ。ゆうべ決め...
茂漢は検査をいいかげんにして、みな船に乗せた。
「おれたちも乗ろう」
勇日が文基と永洙の手を取って歩み板の方に歩きだした。
「おい、ちょつと待て」&br;
「どうしてだい」
茂漢は勇日には答えないで、船上の少年たちを見まわした。
そこへ背負い袋をかつぎ、箱めがねを手にした基昌が、上着の...
「こいつ、上の村のつらよごしじゃないか。なんで遅刻したん...
「夕べおそくまで箱めがねを作ったんだけど、母さんが朝起こ...
「わかった、わかった。ぐずぐずしてる暇がない。早く乗れ」
つづいて茂英、明玉、ヤムジョンの3人の少女が船に乗った。茂...
「お前たちはだめだ」&br;
「どうしてだよ。おれたちもみんな持って来たのに」&br;
「持って来さえすれば、誰でも行けると思ってるのか。最初に...
茂漢がすごみをきかせたが、3人は顔色をうかがうだけで、黙り...
夕べ勇日は、基昌の家へ遊びに行った。かれの弟と遊ぶつもり...
「よお、ひっぱたかれないうちに帰ろうや」
文基が勇日の脇腹を突っついた。
「せっかく来たのに、帰るなんていやだよ」
勇日がふくれっ面をした。
このとき、掃除をすませた成哲がやって来た。みると3人の身な...
「この子たちも連れて行こう」&br;
「そら見ろ。隊長が連れて行くって言うじゃないか。早く乗ろ...
「待て」
茂漢が船に駆けあがろうとする勇日の腕をつかんだ。
「なぜだい」
勇日が腕をふりほどいた拍子に、そでがピリッとやぶれた。茂...
子どもたちはこのときとばかり、船に飛び乗った。
茂英が勇日に近寄って言った。
「そでがやぶけて悪かったわね。つくろってあげるから、上着...
茂英は慣れた手つきで針に糸を通し、勇日のそでをつくろつた。
「さあ、着てごらん」
勇日はうれしそうにそでを通した。
最後に船にあがった茂漢がそれを見て、にこっとした。
「おれの役目はすんだから、あとは成哲が引き受けろよ。勇日...
茂漢が釘をさすと、3人はこっくりうなずいた。
成哲が改めて人員を確かめた。
「大きいのが9人、女の子が3人、そしてチビが3人、合わせて15...
歓声がドッとあがった。
「出港」
成哲の声が響くと、金剛丸はゆっくりと動きだした。
いつしか東の空に朝焼けが映えはじめた。
青い空と白い雲が紫色にそまり、それがみるみる広がって東の...
「わ、朝日がのぼるぞ」
みないっせいに東の空を仰いだ。
荘厳な日の出だった。カモメの群れが銀色の翼をきらめかせて...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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#include(boys_navi,notitle)
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//（芸術 2020.07.11）
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*長編小説「15少年物語」（1） [#t972eb47]
－この作品は1930年代初、偉大な金日成主席が語った内容を小...
CENTER:1
東の空が白みはじめた。闇につつまれていた空や海、山や村が...
クズにおおわれた岩山の東側の谷はずれにキンヨウルという50...
あちこちの路地から黒い人影がひとつふたつとあらわれては、...
右肩にやすをかつぎ、左の肩には風呂敷包みをひっかけた学生...
船着き場では、漁師たちが船出の支度に大わらわだった。女た...
「遅れたのかな」
成哲は向こうに見える帆掛け船に向かって走りだした。
金剛丸では、万洙が掃除をしていた。
「まめだなあ。いつ来たんだい」&br;
「ここで寝たんだよ」
万洙は、ふり向きもせずバケツで海水をくみあげ、雑巾がけを...
このとき、がっしりした体つきの少年が、バタバタと駆けて来...
「やあ、もう来てるのか。1等になってやろうとすっとんで来た...
茂漢というその少年は、船着き場にべたりと座りこんで、せわ...
「3等じゃない。2等だよ」&br;
「なに、2等？ じゃお前は行かないのか」
万洙の言葉に茂漢は目を丸くした。
「おれが行かないって、とんでもない。おれも行くし、成哲も...
「ああそうか。お前、ここで寝たんだな」&br;
「そのとおり。ところで、それ、なんだい」&br;
「これかい。みんな茂英のだよ」&br;
「茂英もアル島へ行くのか」&br;
「あいつ、おれよりも早く起きてはしゃぎまわっていたよ。み...
「連れてってやろうや。そんなに行きたがってるのに」&br;
成哲がこう言ったとき、また一団の子どもが、ガヤガヤ騒ぎな...
「あれはまたなんだ。鼻たれ小僧まで一緒だ」、茂漢は眉をし...
「せっかく来たんだ。あいつらも連れてってやろうや」
バケツで海水をくみあげていた万洙が、腰をのばして言った。
「よせやい。船室がせまいのはまあ我慢できても、あいつらと...
「でも、朝早くごはんを食べて来たのに、追い返せるかよ」&br;
「それは、おれに任せろ。とにかく、きのう約束した者だけが...
「あの子たちは大丈夫だよ。たった3人だし」&br;
「じや、チビたちだけ帰そう。おれたちの約束を知りっこない...
茂漢は荷をかつぎ直して船にあがった。
「お前のお父さんが貸してくれた船なんだから、好きなように...
かれらは以前から、沖のアル島へ行って遊び、カモメの卵なん...
「みんな集まったようだな。じゃ持物がそろったかどうか、検...
昨夜隊長に選ばれた成哲が言った。茂漢は列の一番前で本を読...
昌植は手早く背負い袋の口をあけ、かたわらにつり竿を置いた...
「島へ行っても本を読む気かい」&br;
「うん。船の中でも読むしね。探険物なんだけど、とても面白...
「そうかい。じゃ、みな読んだらおれに貸してくれよ」
茂漢は持物を調べ終えて、言った。「合格だ。乗れ」
昌植は得意そうにみなを見まわし、口笛を吹きながら船に乗っ...
茂漢は学生服に学生帽をきちんとかぶり、捕虫網を手にした少...
「薬屋の俊浩も来たんだな。上の村の者はみな、約束どおり持...
かれは背負い袋を指先で突っついてみただけで、通そうとした。
「近所にいるからって、えこひいきするのかい。公平に検査し...
下の村の幼い勇日が、文句を言った。
「なんだ。俊浩のは見なくてもわかるんだ。ほら、どうだ、薬...
袋の中の物を取りだしていた茂漢が、薬の包みを振ってみせた。
つぎは、古い麦わら帽をかぶったノッポの番だった。尻に両手...
「達柱、お前、腕の折れたかかしにそっくりだな」
茂漢が冷やかすと、爆笑が起きた。
「お前も合格だ。乗れ」
達柱は風呂敷を包みなおすと、つり竿を持ってにこにこしなが...
茂漢はボサボサ頭の少年に近づき、「徳善は山家育ちだから、...
「山の者だって馬鹿にするな。これでもみんな持って来たぞ」
徳善は包みをほどいてひとつひとつ取りだし、茂漢の目の前に...
「ふーん、四つ手網まである、感心だ。じや乗れ。ゆうべ決め...
茂漢は検査をいいかげんにして、みな船に乗せた。
「おれたちも乗ろう」
勇日が文基と永洙の手を取って歩み板の方に歩きだした。
「おい、ちょつと待て」&br;
「どうしてだい」
茂漢は勇日には答えないで、船上の少年たちを見まわした。
そこへ背負い袋をかつぎ、箱めがねを手にした基昌が、上着の...
「こいつ、上の村のつらよごしじゃないか。なんで遅刻したん...
「夕べおそくまで箱めがねを作ったんだけど、母さんが朝起こ...
「わかった、わかった。ぐずぐずしてる暇がない。早く乗れ」
つづいて茂英、明玉、ヤムジョンの3人の少女が船に乗った。茂...
「お前たちはだめだ」&br;
「どうしてだよ。おれたちもみんな持って来たのに」&br;
「持って来さえすれば、誰でも行けると思ってるのか。最初に...
茂漢がすごみをきかせたが、3人は顔色をうかがうだけで、黙り...
夕べ勇日は、基昌の家へ遊びに行った。かれの弟と遊ぶつもり...
「よお、ひっぱたかれないうちに帰ろうや」
文基が勇日の脇腹を突っついた。
「せっかく来たのに、帰るなんていやだよ」
勇日がふくれっ面をした。
このとき、掃除をすませた成哲がやって来た。みると3人の身な...
「この子たちも連れて行こう」&br;
「そら見ろ。隊長が連れて行くって言うじゃないか。早く乗ろ...
「待て」
茂漢が船に駆けあがろうとする勇日の腕をつかんだ。
「なぜだい」
勇日が腕をふりほどいた拍子に、そでがピリッとやぶれた。茂...
子どもたちはこのときとばかり、船に飛び乗った。
茂英が勇日に近寄って言った。
「そでがやぶけて悪かったわね。つくろってあげるから、上着...
茂英は慣れた手つきで針に糸を通し、勇日のそでをつくろつた。
「さあ、着てごらん」
勇日はうれしそうにそでを通した。
最後に船にあがった茂漢がそれを見て、にこっとした。
「おれの役目はすんだから、あとは成哲が引き受けろよ。勇日...
茂漢が釘をさすと、3人はこっくりうなずいた。
成哲が改めて人員を確かめた。
「大きいのが9人、女の子が3人、そしてチビが3人、合わせて15...
歓声がドッとあがった。
「出港」
成哲の声が響くと、金剛丸はゆっくりと動きだした。
いつしか東の空に朝焼けが映えはじめた。
青い空と白い雲が紫色にそまり、それがみるみる広がって東の...
「わ、朝日がのぼるぞ」
みないっせいに東の空を仰いだ。
荘厳な日の出だった。カモメの群れが銀色の翼をきらめかせて...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//（芸術 2020.07.11）
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