回顧録030705 をテンプレートにして作成
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*5 白馬の思い出 [#y8baf4d6]
正直なところ、わたしはこの逸話を公開する考えはなかった。...
だが、この逸話をわたしだけの秘密にしておくには、白馬につ...
わたしがはじめて軍馬を得たのは1933年の春であった。ある日...
「険しい道をたくさん歩く金隊長に乗っていただこうと、馬を...
十里坪人民革命政府の幹部が一行を代表してこう言った。わた...
「これは分不相応です。やっと20歳の年で白馬に乗るというの...
わたしがこういって辞退すると、年輩の十里坪の幹部はいまに...
「分不相応とはなんですか。日本人は大隊長程度でも将校だか...
「これは、どこで手に入れた馬ですか。まさか農家で使ってい...
十里坪の幹部はあわてて両手を横に振り、わたしの言葉をさえ...
「役馬だなんて、そんなはずはありません。これは役馬でなく...
「覚えていますとも。わたしがその老人の支持討論をしたでは...
「この馬は、その老人が金隊長に差し上げる贈物なのです」
「あの老人にこんなみごとな馬があったとは信じられないです...
わたしは鞍にあぶみまでついている白馬をつぶさにあらため、...
話は、彼が地主に暇を出されて下男奉公を辞めたときにさかの...
朴老人はその子馬を抱き取り、涙ながらに小屋がけの住まいに...
ところが、この老人が十里坪遊撃区の政府委員に選出されたの...
「会長さん、わたしに代わってこの白馬を金日成隊長に差し上...
これが人民革命政府の会長に託した朴老人の言葉だった。そう...
「辞退したいところですが、気持ちが気持ちだけに、ありがた...
わたしは十里坪の幹部から渡された手綱を手にしながら、誰に...
「金隊長さんの馬上の姿を一度なりとも拝見したくて、軍隊と...
十里坪人民革命政府の幹部が真剣な顔で言うのだった。第２中...
わたしは兵器廠にいた李応万にその馬を譲った。ブローニング...
当時、遊撃区病院の管理を担当していたのは互助会であり、患...
その後しばらくして、わたしには別の白馬が１頭めぐまれた。...
そのとき、われわれは伏兵戦を展開したのだが、その白馬の主...
「行きたくないとふんばっている動物を追い払うことはないた...
わたしは伝令をたしなめた。そして馬のたてがみをなでてやっ...
「敵の注意が指揮部に集中したらどうするんですか！」
「敵はいま指揮部を見分けるどころではない。もう尻に帆をか...
馬が遊撃隊のろ獲物になったのはいうまでもない。隊員たちは...
「こいつは、朝鮮人と日本人の見分けがつくんだ。われわれが...
馬牌を見て、白馬の出産地が慶源（セッピョル）であることを...
「日本軍の将校に平素ひどく虐待されたようだ。でなかったら...
われわれは戦場から撤収して馬村へ帰ってくる途中、ある中国...
しかし、わたしは今度も戦友たちの勧めを退けた。すると、同...
はじめて馬に乗った日、戦友たちはわたしを取り囲み、手をた...
わたしは一日の日課を馬の世話からはじめた。朝早く起きて馬...
わたしは馬の背に鞍をのせるとき、鞍の皮とモケット地のあい...
このように、手探りするようにして馬の飼養法を修得している...
こうした過程で、わたしは白馬と親しくなった。馬はわたしの...
だが、白馬は賢く忠実である反面、性質が非常に荒々しかった...
伝令の曺曰男も白馬に乗ろうと試みて、そのつどそっけなくは...
あまりにも遠い以前のことなので、こまごまとした事柄はほと...
一度はこんなこともあった。呉白竜（オベクリョン）が小隊長...
（イギリス紳士のような馬にしては歩調が少しおかしい）呉白...
白馬は、下り坂でも後脚をすり寄せてのろのろと峠を下った。...
（馬がこんなに横着をきめこんでいるのに、なぜ怒りもせず、...
こう思いながら鞍にまたがっているわたしを見あげた彼は、そ...
「これはすごい馬だ！」
小隊長は感にたえず声を張りあげた。白馬は前脚で倒木をトン...
「この白馬にきょうはご馳走をしてやりましょう」
呉白竜はにこにこしながら馬のたてがみをなでた。わたしが居...
「急にご馳走とはどういうわけだね？」
呉白竜は、白馬が夾皮溝嶺をどのように越え、また倒木の前に...
「わたしの父の話では、昔は国随一の馬を国馬といったそうで...
「いや、国馬では物足りないね。小隊長の話どおりだとすれば...
「天下馬というのはどういう意味ですか？」
「天下第一の馬という意味だ」
「だったら天下馬と呼ぶのに賛成です。呉仲和兄さんの話では...
「わたしもそんな話を聞いた覚えがある。ある国の皇帝は、自...
「とにかく、この馬は逸物です。背中に目がついているわけで...
わたしが手綱を引くと、白馬は倒木をひとまたぎにして矢のよ...
女性革命家の洪慧星（ホンヘソン）も、この馬のおかげで九死...
ある日、わたしは白馬に乗って曺曰男と一緒に西大坡へ地方工...
このことがあって以来、遊撃区の人たちは、口をそろえてわた...
わたしはこの馬に乗って涼水泉子一帯にも何回となく出向き、...
こんなりっぱな軍馬を他人の手に渡しそうになったことがあっ...
忠実なわたしの隊員たちは、白馬のためならなにも惜しまなか...
隊員たちがこのように白馬をいたわり大事にしたのは、わたし...
わたしは、まだよくなっていない腓腹筋痛のために数か月は苦...
「きょうは蓄えの飼料のうちから最上のものを出して白馬に腹...
「わかりました」
当直官はこう答えながらも、部屋を出ようとせず、もじもじし...
「早く行って命令を実行したまえ」
彼がためらっているのを見て、わたしはきびしく督促した。当...
（白馬よ、許してくれ。おまえとわたしはきょう、名残惜しい...
白馬のたてがみにしばらく頬を埋めていたわたしは、やがて宿...
「規律違反をしたわたしを罰してください」
わたしは、彼がなにを念頭においているのか見当がつかなかっ...
「規律違反？」
「報告もせずに、木材所を一か所襲撃しました」
呉白竜はその襲撃のいきさつをせきこんで説明しはじめた。朝...
「白馬のために隊員に苦労をかけるのがすまなくて、隊長がそ...
親和木材所は、小汪清から４、５里ほどの地点にあった。その...
呉白竜の報告を聞いたわたしは食膳を脇に押しやり外へ出た。...
不思議なのは、原則とはいささかも妥協することなく生きてき...
「隊長、わたしを処罰しても降格しても結構です。けれども、...
彼はこんな大げさな最後通牒をつきつけてから、大戦闘を終え...
わたしも彼を実の弟のように愛しいたわった。わたしが手塩に...
呉白童は、ゆげが立つ汁の器を見下ろしながら、気づかわしげ...
「汁が冷めてしまいます。はやく召し上がってわたしを処罰し...
わたしはにわかに目頭があつくなった。処罰してくれと引き下...
呉白竜は少年先鋒隊員であったとき、「マッチ拳銃」という自...
「どうですか。これくらいあれば、ぼくも遊撃隊に入れてもら...
呉白竜は得意気に中隊長を見上げた。ところが中隊長が返答を...
「こら白竜、その薬莢はなんのつもりで拾ってきたんだ。それ...
中隊長が笑いながら言った。呉白竜は、薬莢でも敵を撃てると...
呉白竜が暴発事故を起こしたとき、彼が適用した処罰は、革命...
「小隊長、君がわたしの白馬のために敵区まで行ってきたのは...
わたしがこう言うと、呉白竜はにっこり笑って、「はい、満足...
白馬はその後も、わたしに忠実に仕えた。小汪清防御戦闘が激...
弾雨の中を突き抜けていくうちに、外套の裏地の毛に火がつく...
わたしはいまもなお、その謎を解き明かしていない。白馬の類...
「金司令、その白馬と50頭の軍馬と取り替えないかね」
わたしが反日部隊との共同戦線を実現するため羅子溝へ談判に...
わたしとともに２年近く、蹄鉄をはめ替えては数百里のけわし...
呉白竜が護衛総局長の職にあった1960年代の初、わたしは彼と...
80の高齢になったいまでは、追憶のなかでのみ、ときどき描き...
[[金日成主席の回顧録「世紀とともに」第3巻 第7章>金日成回...
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RIGHT:'''（小林よしおの研究室）'''
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*5 白馬の思い出 [#y8baf4d6]
正直なところ、わたしはこの逸話を公開する考えはなかった。...
だが、この逸話をわたしだけの秘密にしておくには、白馬につ...
わたしがはじめて軍馬を得たのは1933年の春であった。ある日...
「険しい道をたくさん歩く金隊長に乗っていただこうと、馬を...
十里坪人民革命政府の幹部が一行を代表してこう言った。わた...
「これは分不相応です。やっと20歳の年で白馬に乗るというの...
わたしがこういって辞退すると、年輩の十里坪の幹部はいまに...
「分不相応とはなんですか。日本人は大隊長程度でも将校だか...
「これは、どこで手に入れた馬ですか。まさか農家で使ってい...
十里坪の幹部はあわてて両手を横に振り、わたしの言葉をさえ...
「役馬だなんて、そんなはずはありません。これは役馬でなく...
「覚えていますとも。わたしがその老人の支持討論をしたでは...
「この馬は、その老人が金隊長に差し上げる贈物なのです」
「あの老人にこんなみごとな馬があったとは信じられないです...
わたしは鞍にあぶみまでついている白馬をつぶさにあらため、...
話は、彼が地主に暇を出されて下男奉公を辞めたときにさかの...
朴老人はその子馬を抱き取り、涙ながらに小屋がけの住まいに...
ところが、この老人が十里坪遊撃区の政府委員に選出されたの...
「会長さん、わたしに代わってこの白馬を金日成隊長に差し上...
これが人民革命政府の会長に託した朴老人の言葉だった。そう...
「辞退したいところですが、気持ちが気持ちだけに、ありがた...
わたしは十里坪の幹部から渡された手綱を手にしながら、誰に...
「金隊長さんの馬上の姿を一度なりとも拝見したくて、軍隊と...
十里坪人民革命政府の幹部が真剣な顔で言うのだった。第２中...
わたしは兵器廠にいた李応万にその馬を譲った。ブローニング...
当時、遊撃区病院の管理を担当していたのは互助会であり、患...
その後しばらくして、わたしには別の白馬が１頭めぐまれた。...
そのとき、われわれは伏兵戦を展開したのだが、その白馬の主...
「行きたくないとふんばっている動物を追い払うことはないた...
わたしは伝令をたしなめた。そして馬のたてがみをなでてやっ...
「敵の注意が指揮部に集中したらどうするんですか！」
「敵はいま指揮部を見分けるどころではない。もう尻に帆をか...
馬が遊撃隊のろ獲物になったのはいうまでもない。隊員たちは...
「こいつは、朝鮮人と日本人の見分けがつくんだ。われわれが...
馬牌を見て、白馬の出産地が慶源（セッピョル）であることを...
「日本軍の将校に平素ひどく虐待されたようだ。でなかったら...
われわれは戦場から撤収して馬村へ帰ってくる途中、ある中国...
しかし、わたしは今度も戦友たちの勧めを退けた。すると、同...
はじめて馬に乗った日、戦友たちはわたしを取り囲み、手をた...
わたしは一日の日課を馬の世話からはじめた。朝早く起きて馬...
わたしは馬の背に鞍をのせるとき、鞍の皮とモケット地のあい...
このように、手探りするようにして馬の飼養法を修得している...
こうした過程で、わたしは白馬と親しくなった。馬はわたしの...
だが、白馬は賢く忠実である反面、性質が非常に荒々しかった...
伝令の曺曰男も白馬に乗ろうと試みて、そのつどそっけなくは...
あまりにも遠い以前のことなので、こまごまとした事柄はほと...
一度はこんなこともあった。呉白竜（オベクリョン）が小隊長...
（イギリス紳士のような馬にしては歩調が少しおかしい）呉白...
白馬は、下り坂でも後脚をすり寄せてのろのろと峠を下った。...
（馬がこんなに横着をきめこんでいるのに、なぜ怒りもせず、...
こう思いながら鞍にまたがっているわたしを見あげた彼は、そ...
「これはすごい馬だ！」
小隊長は感にたえず声を張りあげた。白馬は前脚で倒木をトン...
「この白馬にきょうはご馳走をしてやりましょう」
呉白竜はにこにこしながら馬のたてがみをなでた。わたしが居...
「急にご馳走とはどういうわけだね？」
呉白竜は、白馬が夾皮溝嶺をどのように越え、また倒木の前に...
「わたしの父の話では、昔は国随一の馬を国馬といったそうで...
「いや、国馬では物足りないね。小隊長の話どおりだとすれば...
「天下馬というのはどういう意味ですか？」
「天下第一の馬という意味だ」
「だったら天下馬と呼ぶのに賛成です。呉仲和兄さんの話では...
「わたしもそんな話を聞いた覚えがある。ある国の皇帝は、自...
「とにかく、この馬は逸物です。背中に目がついているわけで...
わたしが手綱を引くと、白馬は倒木をひとまたぎにして矢のよ...
女性革命家の洪慧星（ホンヘソン）も、この馬のおかげで九死...
ある日、わたしは白馬に乗って曺曰男と一緒に西大坡へ地方工...
このことがあって以来、遊撃区の人たちは、口をそろえてわた...
わたしはこの馬に乗って涼水泉子一帯にも何回となく出向き、...
こんなりっぱな軍馬を他人の手に渡しそうになったことがあっ...
忠実なわたしの隊員たちは、白馬のためならなにも惜しまなか...
隊員たちがこのように白馬をいたわり大事にしたのは、わたし...
わたしは、まだよくなっていない腓腹筋痛のために数か月は苦...
「きょうは蓄えの飼料のうちから最上のものを出して白馬に腹...
「わかりました」
当直官はこう答えながらも、部屋を出ようとせず、もじもじし...
「早く行って命令を実行したまえ」
彼がためらっているのを見て、わたしはきびしく督促した。当...
（白馬よ、許してくれ。おまえとわたしはきょう、名残惜しい...
白馬のたてがみにしばらく頬を埋めていたわたしは、やがて宿...
「規律違反をしたわたしを罰してください」
わたしは、彼がなにを念頭においているのか見当がつかなかっ...
「規律違反？」
「報告もせずに、木材所を一か所襲撃しました」
呉白竜はその襲撃のいきさつをせきこんで説明しはじめた。朝...
「白馬のために隊員に苦労をかけるのがすまなくて、隊長がそ...
親和木材所は、小汪清から４、５里ほどの地点にあった。その...
呉白竜の報告を聞いたわたしは食膳を脇に押しやり外へ出た。...
不思議なのは、原則とはいささかも妥協することなく生きてき...
「隊長、わたしを処罰しても降格しても結構です。けれども、...
彼はこんな大げさな最後通牒をつきつけてから、大戦闘を終え...
わたしも彼を実の弟のように愛しいたわった。わたしが手塩に...
呉白童は、ゆげが立つ汁の器を見下ろしながら、気づかわしげ...
「汁が冷めてしまいます。はやく召し上がってわたしを処罰し...
わたしはにわかに目頭があつくなった。処罰してくれと引き下...
呉白竜は少年先鋒隊員であったとき、「マッチ拳銃」という自...
「どうですか。これくらいあれば、ぼくも遊撃隊に入れてもら...
呉白竜は得意気に中隊長を見上げた。ところが中隊長が返答を...
「こら白竜、その薬莢はなんのつもりで拾ってきたんだ。それ...
中隊長が笑いながら言った。呉白竜は、薬莢でも敵を撃てると...
呉白竜が暴発事故を起こしたとき、彼が適用した処罰は、革命...
「小隊長、君がわたしの白馬のために敵区まで行ってきたのは...
わたしがこう言うと、呉白竜はにっこり笑って、「はい、満足...
白馬はその後も、わたしに忠実に仕えた。小汪清防御戦闘が激...
弾雨の中を突き抜けていくうちに、外套の裏地の毛に火がつく...
わたしはいまもなお、その謎を解き明かしていない。白馬の類...
「金司令、その白馬と50頭の軍馬と取り替えないかね」
わたしが反日部隊との共同戦線を実現するため羅子溝へ談判に...
わたしとともに２年近く、蹄鉄をはめ替えては数百里のけわし...
呉白竜が護衛総局長の職にあった1960年代の初、わたしは彼と...
80の高齢になったいまでは、追憶のなかでのみ、ときどき描き...
[[金日成主席の回顧録「世紀とともに」第3巻 第7章>金日成回...
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