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スポーツ科学院副院長で教授、博士のリ・ドンギュさんの手記をお送りします。
今年で78歳になる私ですが、人生の晩年を迎えてみますと、いい歳をして夢と現実の見分けが出来ない、と言いますと，多分、ほかの人は理解できないでしょう。本当のことを言って夢のようです。チュチェ102（2013）年8月14日、私は敬愛する金正恩元帥に会って話しを交わしましたが、それが今も夢を見るようです。それもそのはずで、50年余り、スポーツ科学研究部門に従事してきたただの研究員に過ぎない私だからです。ところが、金正恩元帥はサッカーのことでは知らないことがない人だとほめてくださっただけでなく、じきじき会ってくださいました。このような幸せ、このような光栄があるでしょうか。本当に幸せでした。
私の人生の半分は日本で過ぎました。幼い時からサッカーが大好きだった私は東京朝鮮中高級学校時代からチームの基本メンバーに、キャプテンとして活躍しました。貧しい暮らしをしてはいましたが、両親はあくせく働いて私を東京教育大学に入学させました。大学生になった私は喜びよりも心配事でいっぱいでした。それは、父の病気が悪化する一方で家庭の事情も苦しく、両親から学費を送ってもらうことも出来なかったからでした。それで私は苦学で大学に通いました。
そうしたチュチェ46（1957）年4月、祖国から在日同胞に奨学金が送られたという嬉しい便りが届きました。私はその時、大学に走って行って、偉大な金日成主席の熱い温情が込められた奨学金の封筒を頭上に高く上げて「さあ、見ろ、朝鮮のリ・ドンギュも奨学金をもらっている。祖国からこの息子に奨学金が送られた」と大きい声で言いました。
その日の感激を胸に、チュチェ49（1960）年10月5日、祖国に帰ってきた私は希望通り、当時のスポーツ科学研究所で研究員を務めることになりました。母なる祖国にスポーツ科学の成果で寄与し、祖国の栄誉を輝かすのに私の才能と情熱を尽くそう、これが人生の目標、祖国の前に立てた誓いでした。私は外国のサッカー専門書とスポーツ科学資料を耽読し、それを分析したのに基づいて訓練計画を作成し、競技分析と対策などを講じて、選手たちの訓練と競技を科学的、技術的に支えるため努力しました。そして「スポーツ百科事典」、「サッカー訓練の方法論」など10余りの本と100余りの論文を執筆し、学位と学職を取得した人たちも育てました。
チュチェ63（1974）年からワールドカップの中継を担当し、その時から今まで数千回の国内、国際競技の実況を解説しました。ありがたい祖国で私は教授、博士になり、今はこのように栄光の絶頂に立つことが出来ました。私の人生は母なる祖国あってこその幸せな人生でした。私は余生を国のサッカーの発展のために尽くし、人々の記憶に永遠に残る「サッカーの解説者」になるつもりです。
