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ピョンアン南道*1のスクチョン郡*2所在地に住んでいる日本人女性のキム・ハムスクさんの手記です。
「私の本名は鈴木久美子で、生まれ故郷は日本の宮城県です。チュチェ49（1960）年4月、朝鮮人の継父について母と姉、そして私、このように3人の日本人が朝鮮に渡ってきましたが、早、60年近くの歳月が過ぎました。当時、13歳だった私は、母について行く、という考えだけでした。今は孫たちを従えた婆さんですが、人生を振り返ってみますと、幸せな国に来てよかったという考えがします。
日本にいた時、父と母の離婚によって、私には不幸の運命が訪れました。母は姉と私を養育するという条件付きで離婚しましたが、弱い女手1つで2人の娘を育てるのは容易なことではありませんでした。1年も経たない内に、母が病床に伏してしまうと、姉は後妻を娶った父のところへ行き、私は母方の叔母の家に身を寄せました。父と母、姉と別れて暮らすのは、実に苦しいことでした。母が朝鮮人の継父と再婚して、家族が集まって暮らすようになり、朝鮮に渡りました。こうして、私の新生活が始まり、人生は転機を迎えました。
朝鮮では、帰国した朝鮮人と同じく、私たち3人の日本人も暖かく顧みました。私の家族はピョンアン南道ムンドク郡*3に住みました。村人たちは私たちのために気を使って、肉親のように手伝ってくれ、また学校では先生が朝鮮語を面白く教え、誉めてくれました。何の差別も、陰りもない生活の中、私は思う存分学び、大学を卒業して、結婚しました。
夫も大学を卒業して、70歳まで教壇に立ち、3人の子たちも大学で学びました。娘は金日成奨学金をもらって勉強し、父と共に大学教員を勤め、嫁に行きました。婿は人民保安員です。大学を優等の成績で卒業した長男はピョンヤンの鉄道部門に勤め、次男はここスクチョン郡で家畜防疫部門に携わっています。長男の息子は父の後を継ぐと言って、ピョンヤン鉄道総合大学に入り、次男の息子は中学校を卒業して人民軍に入りました。娘の息子も大学を卒業して、軍隊に服務しています。
このように、私の家には人民軍軍人と人民保安員、大学生もいます。周りの人たちは恵まれた一家だと羨んでおり、私も本当に幸せです。生まれ育った所だからと言って、真の生活の場ではありません。何不自由なく幸せに暮らす所、甲斐ある生活を送る所が真の生活の場だと思います。日本人の女性が他国で、それも敵対する国の朝鮮でどのように幸せになれるかと疑う人も多いでしょう。しかし、朝鮮民主主義人民共和国は私1人だけでなく、私の息子、娘、孫たちまで顧みてくれる永遠の生活の場です。これは、朝鮮での58年間の生活を通して、見聞きし、肌で感じた私の心からの思いです」
（今日の朝鮮）
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