金魚と銀魚のバックアップ(No.2)

名作童話の絵本　金魚と銀魚

景色の良いある山奥に、いつもきれいな花が咲いていることから、「花の沼」と呼ばれる清い沼がありました。

この沼には、かわいらしい金魚と銀魚が仲良く暮らしていました。

ある日、沼に水を飲みに来たバンビが、お母さんバンビに「金魚はいつ見ても優しいし、色も銀魚よりもっときれいね」と言いました。

（ふん、金魚が私よりきれいだと？くだらないこと言う奴だわ、何も知らないくせに）

気分が悪くなった銀魚は、帰ってくるが早く、銀の砂場で鱗を拭き始めました。

それを見た金魚はびっくりしました。

「君、そうして鱗が取れたらどうするつもり？」

でも、銀魚は口を尖らしていやみを言いました。

「ふん、心配しないで、あんただけ褒められるの？」

遠くで見ていた意地悪の泥鰌が銀魚の前に現れました。

「ははは、銀魚様がしょうぶの沼にだけいらしたら『お姫様』になって暮らせるのに、ここでは金魚がいるので・・・」

銀魚はその言葉に耳をそばだてました。

土壌にだまされた銀魚は、金魚が自分を探しても知らん振りをして、逃げ出しました。

（ふん、もっと良いところへ行くわよ）

銀魚の目の前には、自分が「お姫様」になれる美しいしょうぶの沼がはっきりと見えるようでした。

得意になった銀魚は、喜んで小川の方へ行く泥鰌に一生懸命ついていきました。

とうとうしょうぶの沼に来てみると、そこには濁った水に醜いナマズやカムルチ*1などが、早くお出でと騒ぎながらうごめいているのです。

そこへ行ったら今にでも一口に呑まれるようでした。

にっちもさっちも行かなくなった銀魚は、気が遠くなりました。

（ああ、もうこれでお終いだ、私がおろかだった、金魚が褒められるのを嫉んだあまり、こんあことに、くそっ）

後悔した銀魚の目の前には、金魚と仲良く過ごした花の沼が浮かびました。

「わたしは、本当に、馬鹿だった、金魚の言うことを聞いてたら、こんなことにはならないのに・・・」

銀魚はしくしく泣きました。

一方、金魚は銀魚を探していました。

カワラヒワが、銀魚がしょうぶの泥沼にはまって気を失っていると言ってくれました。

「何？しょうぶの泥沼に？！ちょっと・・・」

金魚はカワラヒワに、珍しい形をした水筒をあげながら言いました。

「この泉を、銀魚に一滴飲ませて、泥沼にも一滴落としてね、したらどうにかなるでしょう」

カワラヒワは銀魚と泥沼にその泉を一滴ずつ落としました。

すると、どうでしょう、銀魚が目をぱっちりと開き、真っ黒い泥沼が清水になりました。

「今、金魚が君をどれだけ探しているか分からないのよ、この不思議な泉も金魚がくれたのよ」
「金魚が褒められるのを嫉んだ余り、こんなになったのに、金魚の前にどうやって現れるの？」

なきべそをかく銀魚にカワラヒワが言いました。

「銀魚よ、褒められたいなら、色よりも心が肝心なんだよ」

金魚が銀魚を喜んで迎えいれました。

「金魚、この愚か者を許してね」
「みんな、離れずに仲良く過ごそうね」

金魚と銀魚は、元通りに花の沼で仲良く暮らしました。

（コンテンツ―本）

2025.01.28 サイト動画の字幕抜き書き