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昔、ある村のこぎれいなわらぶき家で、勤勉な百姓が多くの家畜とともに住んでいました。
その家畜とは、お牛と馬、そして犬と猫、雄鶏と雌鳥、そうそう、ブーブーもいました。
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ある日の夕方、猫がみんなに言いました。
「あのね、主人が言うには、遊んでばかりいる家畜を誕生日の祝いの膳に上げるんだって」
いつもじっくり考えるお牛が言いました。
「それじゃ、みんな集まって相談しなくちゃ」
お牛が話を終えるが早く猫はブーブーの所へ行きました。
藁くずのなかでぐっすり寝て起きたばかりのブーブーは一生懸命食べていました。
「ブーブー、主人の誕生日祝いのこと相談するから集合するって」
「なに？誕生日祝い？」
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祝い事という言葉に、ブーブーは小船のような餌の桶を一気に持ち上げて立ち上がりました。
「誕生日祝いに行ったら、たらふく食べて、また、たんと背負って来よう、良いとこ良いとこ！」
みんなが集まると、お牛が皆を見回して言いました。
「さあ、みんな集まったから、主人の誕生日祝いの膳に誰が上がるものか相談しようじゃないか」
その言葉が終わるが早く、ブーブーが答えました。
「相談するまでもないよ、君たちは仕事で忙しいから、僕が行くのが当たり前さ」
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猫が聞き辛くて、諭しました。
「ブーブーや、遊んで暮らす者を選んでおかずとして膳に上げるんだって」
「なに？おかず？！」
ブーブーは、そのときになって初めて訳が分かり、目をぎょろぎょろさせました。
皆が考えに耽りました。
「なあ、誰でも良いから話しな、夜通しこうするつもりか」
せっかちな馬が我慢しきれず催促しました。
すると、犬が、誰よりも仕事熱心な馬のおじさんが切り出したから一言言って頂戴と言いました。
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しばらくして、馬がしぶしぶ口を開きました。
「俺はな、たいしたことはやってない。荷物を運んだり、うすを引いたりするだけさ。そしてときたま主人を乗せたことしかないけど・・・」
そう言って皆を見回しました。
すると、お牛がおとなしく言いました。
「俺は、主人の野良仕事を助けて、春と夏は畑を鋤き返し、中耕したさ。秋には荷物を運び、冬には肥やしを出すことしか、別にやったことがない」
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そのとき、庭に積み上げた粟むらの中からばさばさと音がしました。
猫が、すばやく飛んで行き、穀物を盗んでいたねずみを捕らえました。
「僕は、このようにねずみを捕らえて、主人の米櫃を守るんだ」
今度は、犬が名乗りました。
「僕は、雨が降ろうと雪が降ろうと家を守るんだよ。だから主人は心配なしに仕事をして、みなが楽に過ごせるんだよ」
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これで残ったのは、雄鶏と雌鳥、そしてブーブーでした。
何だか、自分一人が遊んで暮らすようで後ろめたく思ったブーブーは、出っ張ったお腹を抱えて一言言いました。
「だから、否応なしに膳に上がるのは雄鶏と雌鳥だな」
すると、馬もお牛も皆が一言ずつ投げました。
雄鶏は夜明けに時間を皆に知らせるし、雌鳥は毎日、卵を産むまじめな家畜だと。
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ブーブーは、ぎくりとして目の前が真っ暗でした。
このとき、抜け目のない猫が言いました。
「フン、ブーブーや、お前がすることは一体なんだい」
ブーブーは口が塞がって何もいえませんでした。
「だから、膳に上がるのが誰かと言うのははっきりしたね」
お牛が言うと、皆はうなずき、自分の寝床に散って行きました。
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庭にはブーブーだけが残りました。
そのときになって、ブーブーの目からは涙がぽろぽろ流れました。
「アイゴー、いつものらくら遊んでばかりいたので運がよいと思ったのに、結局は膳に上がるのが俺しかいないんだ」
でも、それは後の祭りでした。
（コンテンツ―本）
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