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あるところに小高い丘を隔ててヤギの兄弟とブーブーの兄弟が住んでいました。
丘の前を清い小川がへめぐって流れる慎ましやかで美しいところでした。
ヤギの兄弟は助け合いながら一生懸命働きました。
近頃、兄弟は早朝から手車で肥やしを運び出すのにてんてこ舞いでした。
「兄ちゃん、うちから畑までロープウエーを設置しましょう。すれば手車で肥やしを運ぶより容易いでしょう」
「不思議なほど、僕と同じ考えだ」
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ヤギの兄弟は山に登ってクズのつるを持ってき、それで丈夫な縄をないました。
それを小川の向かい側の畑まで伸ばしてロープウエーを設置しました。
「手車の代わりにロープウエーで運ぶので本当に早い！」
「一段と仕事が楽になった、また、楽しい」
ヤギの兄弟は気勢が上がって、いっそう仕事の手を早めました。
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ところがブーブーの兄弟は朝から仕事がいやだと口喧嘩ばっかりしていました。
「僕より背も高く、力の強い兄ちゃんが手車を引くべきだ」
「兄ちゃんはもう年取った、だから手車は若い奴が引かなきゃ」
「年取ったって、良くも言っている」
兄は弟の額をこつんと叩きました。
「そのまま兄ちゃんの言うこと聞かないつもりか、だったら兄ちゃんと言わないで」
「弟も思いやらないなら、弟と言わないで」
ブーブーの弟も負けず嫌いで目を見開いて食って掛かりました。
そうするうちに日が暮れてしまい、ついでに春も過ぎました。
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蒸し暑い夏になると畑では草取りが始まりました。
ヤギの兄弟は自分がもっとしなければ、と言って熱心に草を取っていました。
「誰がもっと多くの草を取るか競争しよう」
しかし、ブーブーの兄弟は一区切りの畑の草も取らずに畝だけを数えていました。
（僕が早く草を取れば、残りの一畝は僕の分になる、いっそのこと、ゆっくり取ろうよ）
（フン、兄ちゃんがしなかったら僕もしない）
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兄も弟も同じ考えで、わざとぐずぐずし、一日中、一畝の草を取るに終わりました。
しまいには木陰でぐうぐう寝てしまいました。
いつの間にか、日が暮れ、夏も暮れかかりました。
春と夏の間、一生懸命働いた甲斐があって、ヤギの兄弟の畑には豊作が訪れました。
カメよりも大きいカボチャがつるごとになり、こぶし大のジャガイモが一株に100個以上もついていました。
「何もかも作柄上々だ！」
「兄ちゃん、こんなに沢山なったので食べきれないじゃないの？」
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そよ風が吹いて、山にも野にも秋が訪れました。
ヤギの兄弟は勢い込んでいました。
取り入れの時のヤギの兄弟の歌声はとても興をそそるもので、ロープウエーの籠も一日中、うきうきと肩踊りを踊るようでした。
ヤギの兄弟は越冬用の食料を蔵ごとにいっぱい積み上げました。
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一方、ブーブーの兄弟はどうでしょう。
畑で食べる競争です。
出来がとても悪く、蔵に運び入れるものもなかったのです。
「どうしても越冬用の食料は賄えないから、一日でもたらふく食べよう」
「僕がもっと食べる」
兄が一番大きいカボチャを食べ始めると、弟もカボチャを三つも抱えてがむしゃらに食べました。
「お前、小さいくせに、食べるのもほどほどにするんだ」
「早く大きくなるにはたくさん食べなきゃ」
そうするうちに秋も過ぎ去りました。
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いつの間にか寒い冬が早くも訪れました。
ブーブーの兄弟は食べるものもなく、背中にくっつくほどの腹を抱えて、ふらふら歩いて丘の上のドングリのあるところに行きました。
手足がかじかむほど雪の中を掘り起こしましたが、腐ったドングリの一粒も見当たりません。
お腹が減ってくたくたになったブーブーの兄弟は雪の上にへこたれてしまいました。
「もう、どうしようもないじゃないか・・・」
「ヤギの兄弟はあったかい家でお腹いっぱい食べているのに、僕たちはどうしてこうなったの？」
弟は声を出して泣き出し、兄もぽぽろぽろと涙を流しました。
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ヤギの兄弟の家の丸太の煙突からは白い煙が立ち上がり、美味しそうな食べ物の匂いが小窓越しに流れてきました。
兄も弟もお腹がぺこぺこになりました。
これ以上、我慢しきれなくなったブーブーの兄弟はヤギの家へと足を運びました。
（コンテンツ―本）
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