長編小説「15少年物語」（9） をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」（9） [#q9e355c8]
探険に出かける前日の午後だった。
探険の準備がほとんど終わり、穀物も全部乾いたが、かますが...
少年たちは弓や槍の練習をした。弓では徳善にかなう者がいな...
「おれもお前の弓で、いっぺんやってみよう」
自分の弓を木の枝にかけた茂漢は、徳善の弓を手にして、正面...
「どうだ。おれの手並もまんざらじゃないだろう」
茂漢は得意がった。そして矢を抜き取って、弓と矢を注意深く...
「なるほど、弓矢がうまくできてるよ。おれもこんなふうに作...
少年たちは、徳善の弓と矢を引っ張りあうようにして見た。
「徳善、みんなに弓矢の作り方や、弓の引き方を教えてやれよ...
こうして弓と矢が作り直された。先頭にかかげる長い旗ざおと...
「あと、なにを準備すればいいの。おれ、きょう中にすっかり...
永洙は遠足にでも行くようにはしゃいだ。
「槍も作ったんだから、水筒に水を入れさえすればいいんだよ...
「お米は持って行かないの」&br;
「食糧を大事にしようって言っただろう。それにごはんをたく...
「じゃ、水をたくさん持って行こうよ。雨水がまだおけにいっ...
「いくら残っていても、それ以上持って行っちゃだめだ。水は...
成哲は同意を求めるように、みなの顔を見わたした。
「それじゃ、15人が1日に水筒3つの水しか、飲めないってわけ...
基昌が目を丸くした。
「もっといい考えがあったら言ってみろよ。でかいおけかバケ...
徳善からこうやりこめられて、基昌は頭をかいた。
「木の実やキイチゴを取って食べれば、水は食事のときだけ飲...
「うん、わかった」&br;
「焼き魚を食べながら険しい山道を行くんだから、 お前たちは...
達柱が勇日や女の子らに向かって言った。
「おれはいやだ。文基、お前は残るかい」&br;
「ここにいたら、オオカミに食われちゃうよ。永洙はどうする...
「くたびれるから残るなんてよくないよ。達柱、お前が残った...
「生意気言うな。おれが行きたくなくて、残れと言ったんじゃ...
「あら、ずいぶん思いやりがあるのね」
茂英がひにくったので、明玉とヤムジョンはクックッと笑った。
翌朝、少年たちは朝食を早目にすませたあと、穀物など大事な...
水筒を肩にかけ、槍や弓をかついだ子どもたちは、旗持ちの昌...
かれらは、この島ができてからまだ1度も人が通ったことのない...
子どもたちは、高い木がすきまなく生え、低木がからみあって...
1日中歩きまわったが、人家もほら穴も泉も発見できなかった。...
行軍は翌日もつづいた。のどの乾きをこらえるのは容易なこと...
海べを通りすぎるときのことだった。勇日と永洙は足が痛いう...
永洙はたまらなくなって、自分の水筒にさわってみた。ひんや...
「のどが乾かないかい」&br;
「もうからからだよ」&br;
「おれもそうだ」&br;
「ちょっぴり飲んでみようか」
永洙の言葉に、勇日も飲みたくなって、そっと水筒に手を触れ...
「じゃ、唇だけぬらそうか」&br;
「そしたら、もっと飲みたくなるよ。がまんして行こう」
2人は手をつないで、海べを足早に歩いた。波がしぶきをあげて...
「海の水を飲まないか」と、永洙が言った。
「しょっぱくて飲めないよ」&br;
「しょっぱいからって飲めないことないさ。ごはんを食べると...
勇日はなるほどと思つた。
「じゃ、飲んでみようか」&br;
「うん、飲もう。おつゆよりはしょっぱくないだろう」
先を行く子どもたちを見ると、ずい分遅れていた。
「早く飲んで、みんなに追いつこう」
2人はなぎさにおりて、潮水をゴクンゴクンと飲んだ。
のどが乾ききっていたので、飲むときはわからなかったが、や...
「なんだかむかむかするよ」&br;
「うん、たまらないや」
永洙は手を口にあてた。
「早く行こう」
勇日が駆けだすと、永洙も吐き気がするのをこらえて、あとを...
成哲が2人のそばへやって来た。
「どうしたんだ」
2人は返事をしなかった。
「お前たち、なにか食べたのか」
それでも、2人は口をつぐんでいた。
「正直に言うんだよ。海の水を飲んだんだろう」
永洙がうなずき、勇日はきまり悪そうに笑った。
永洙の水筒には、水がいっぱい入ったままだった。
「そんなにのどが乾くんだったら、この水を少し飲めばいいじ...
「でも先に飲んじゃいけないんだろう。順番がくるまで待って...
「それで勇日も飲まなかったのかい」&br;
「うん」
成哲は、けなげな2人を抱きしめてやりたかった。
「早く、みんなに追いつこう」
勇日が永洙の手を取って走りだした。肩にさげた水筒が、腰の...
成哲は水も思いのまま飲ませてやれないのが、もどかしかった。
「早く泉を探さなくちゃ」
探険をはじめて4日がすぎたが、なんの成果もなかった。日が暮...
成哲たちが海べに行こうとしたとき、うしろの方で騒ぐ声がし...
「どうしたんだい」&br;
「文基が木から落ちたんだ」
達柱が、ミズナラの木を指さして答えた。
「なんであんな高い木に登ったんだ」
見あげると、うれたヤマブドウの実が、枝にからんで鈴なりに...
「木登りがうまいって言うもんで、ヤマブドウを取って来いっ...
成哲は黙って達柱をにらんだ。小さな子をそんな高い木に登ら...
「腕が折れたのかい」&br;
「腕と足はなんともないけど、腰が痛いんだって」
文基は腰を押さえてしくしく泣いていた。
腰にさわってみると、なんともなさそうだったが、ひどく痛が...
「文基、おれがおんぶしてやるから、おぶさってみな」と、背...
「だめかい」
文基はこっくりうなずいた。
「困ったなあ、どうしようか」
成哲は心配してみなを見まわした。
「たんかを作って運ぼうよ」
万洙の意見に茂漢が応じた。
「一緒に作ろう。おれ、斧があるよ」&br;
「じゃ、おれたちはくずのつるを取って来よう」
徳善はまわりの者をさそって、林の中へ入って行った。そして...
「さあ、たんかに乗っておりて行こう」
万洙と茂漢は、文基をそーっとたんかに寝かせた。
文基は歯を食いしばって、痛さをこらえた。
さっきからそわそわしていた達柱が前に立ち、万洙がうしろに...
海べにおりた少年たちは、適当な場所に枯れ草を厚く敷いて、...
「打ち身にはなにがきくのか、誰か知らないか」
成哲が聞くと、俊浩が温石あん法を使ってみようと言った。
万洙が平たい石を拾って来て、たき火であたため布きれに包ん...
夕食ということで、みなは焼き魚をかこんで座った。 幼い3人...
勇日と永洙は何度も吐いたが、まだむかつくらしかった。文基...
ヤムジョンのひたいに手をあてると、火のように熱く、目が落...
「いつから具合が悪かったんだい」&br;
「小屋を発ったときから頭が痛かったの。だんだんひどくなっ...
「病気なのに歩きすぎたんだな。でも少しは食べなくちゃ」&br;
「いやよ。焼き魚のにおいをかいだだけでも、たまらないわ」&...
「じゃ、なにが食べたいんだ」
ヤムジョンは答えなかった。
「とにかく言ってごらんよ」
そばにいた明玉が促した。
「言ったってしようがないわ。だってさっぱりしたキムチが、...
ヤムジョンはにがっぽく笑った。
「まあ、キムチ？ 仕方がないから水でも飲むのね」
明玉が水筒を持って来て、寝ている子たちの口にあててやった...
「どうして飲まないんだい。水だけでも飲めよ」
成哲は何度もすすめたが、誰も一口以上飲もうとしなかった。...
（よっぽど、のどが乾いていたんだろう。潮水を飲んだり、ヤ...
成哲は、かれらになにか罪をおかしているような気がしてなら...
「海の水が飲めるなら、水の心配なんかして、節約するわけが...
成哲はこうひとりごちて、ため息をついた。
子どもたちはポケットをはたいて、キイチゴや木の実を病人に...
1日中山の中を歩きまわって、くたくたになった子どもたちは、...
病気の子たちは夜中にやっと寝入った。
年かさの子らも横になった。成哲は先のことが心配で眠れなか...
早く泉を探さなくては・・・。米は切れても魚やけだもの、鳥...
水がこんなにも大切なものだったのか。ふと成哲の目の前に、...
深い山奥にも人家があり、勤勉で親切な村人にあうことができ...
冷たい風が吹き、寒さが肌にしみた。
成哲はわれにかえって、海や森を見まわした。故郷からはるか...
欠けた月が西の空に傾いている。
（あの月はおれたちの村を照らしているだろう）
母がたまらなく恋しかった。
（どんなことがあっても生きるのだ。きっとほら穴と泉を見つ...
どこかで野鳥の鳴き声がする。その声に聞きほれていた彼は、...
鳥や獣も、水があるからこそ、ここに住んでいるのだ。そうだ...
これまでは広葉樹や草の生い茂っているところか、谷間などに...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//（芸術 2020.08.19）
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*長編小説「15少年物語」（9） [#q9e355c8]
探険に出かける前日の午後だった。
探険の準備がほとんど終わり、穀物も全部乾いたが、かますが...
少年たちは弓や槍の練習をした。弓では徳善にかなう者がいな...
「おれもお前の弓で、いっぺんやってみよう」
自分の弓を木の枝にかけた茂漢は、徳善の弓を手にして、正面...
「どうだ。おれの手並もまんざらじゃないだろう」
茂漢は得意がった。そして矢を抜き取って、弓と矢を注意深く...
「なるほど、弓矢がうまくできてるよ。おれもこんなふうに作...
少年たちは、徳善の弓と矢を引っ張りあうようにして見た。
「徳善、みんなに弓矢の作り方や、弓の引き方を教えてやれよ...
こうして弓と矢が作り直された。先頭にかかげる長い旗ざおと...
「あと、なにを準備すればいいの。おれ、きょう中にすっかり...
永洙は遠足にでも行くようにはしゃいだ。
「槍も作ったんだから、水筒に水を入れさえすればいいんだよ...
「お米は持って行かないの」&br;
「食糧を大事にしようって言っただろう。それにごはんをたく...
「じゃ、水をたくさん持って行こうよ。雨水がまだおけにいっ...
「いくら残っていても、それ以上持って行っちゃだめだ。水は...
成哲は同意を求めるように、みなの顔を見わたした。
「それじゃ、15人が1日に水筒3つの水しか、飲めないってわけ...
基昌が目を丸くした。
「もっといい考えがあったら言ってみろよ。でかいおけかバケ...
徳善からこうやりこめられて、基昌は頭をかいた。
「木の実やキイチゴを取って食べれば、水は食事のときだけ飲...
「うん、わかった」&br;
「焼き魚を食べながら険しい山道を行くんだから、 お前たちは...
達柱が勇日や女の子らに向かって言った。
「おれはいやだ。文基、お前は残るかい」&br;
「ここにいたら、オオカミに食われちゃうよ。永洙はどうする...
「くたびれるから残るなんてよくないよ。達柱、お前が残った...
「生意気言うな。おれが行きたくなくて、残れと言ったんじゃ...
「あら、ずいぶん思いやりがあるのね」
茂英がひにくったので、明玉とヤムジョンはクックッと笑った。
翌朝、少年たちは朝食を早目にすませたあと、穀物など大事な...
水筒を肩にかけ、槍や弓をかついだ子どもたちは、旗持ちの昌...
かれらは、この島ができてからまだ1度も人が通ったことのない...
子どもたちは、高い木がすきまなく生え、低木がからみあって...
1日中歩きまわったが、人家もほら穴も泉も発見できなかった。...
行軍は翌日もつづいた。のどの乾きをこらえるのは容易なこと...
海べを通りすぎるときのことだった。勇日と永洙は足が痛いう...
永洙はたまらなくなって、自分の水筒にさわってみた。ひんや...
「のどが乾かないかい」&br;
「もうからからだよ」&br;
「おれもそうだ」&br;
「ちょっぴり飲んでみようか」
永洙の言葉に、勇日も飲みたくなって、そっと水筒に手を触れ...
「じゃ、唇だけぬらそうか」&br;
「そしたら、もっと飲みたくなるよ。がまんして行こう」
2人は手をつないで、海べを足早に歩いた。波がしぶきをあげて...
「海の水を飲まないか」と、永洙が言った。
「しょっぱくて飲めないよ」&br;
「しょっぱいからって飲めないことないさ。ごはんを食べると...
勇日はなるほどと思つた。
「じゃ、飲んでみようか」&br;
「うん、飲もう。おつゆよりはしょっぱくないだろう」
先を行く子どもたちを見ると、ずい分遅れていた。
「早く飲んで、みんなに追いつこう」
2人はなぎさにおりて、潮水をゴクンゴクンと飲んだ。
のどが乾ききっていたので、飲むときはわからなかったが、や...
「なんだかむかむかするよ」&br;
「うん、たまらないや」
永洙は手を口にあてた。
「早く行こう」
勇日が駆けだすと、永洙も吐き気がするのをこらえて、あとを...
成哲が2人のそばへやって来た。
「どうしたんだ」
2人は返事をしなかった。
「お前たち、なにか食べたのか」
それでも、2人は口をつぐんでいた。
「正直に言うんだよ。海の水を飲んだんだろう」
永洙がうなずき、勇日はきまり悪そうに笑った。
永洙の水筒には、水がいっぱい入ったままだった。
「そんなにのどが乾くんだったら、この水を少し飲めばいいじ...
「でも先に飲んじゃいけないんだろう。順番がくるまで待って...
「それで勇日も飲まなかったのかい」&br;
「うん」
成哲は、けなげな2人を抱きしめてやりたかった。
「早く、みんなに追いつこう」
勇日が永洙の手を取って走りだした。肩にさげた水筒が、腰の...
成哲は水も思いのまま飲ませてやれないのが、もどかしかった。
「早く泉を探さなくちゃ」
探険をはじめて4日がすぎたが、なんの成果もなかった。日が暮...
成哲たちが海べに行こうとしたとき、うしろの方で騒ぐ声がし...
「どうしたんだい」&br;
「文基が木から落ちたんだ」
達柱が、ミズナラの木を指さして答えた。
「なんであんな高い木に登ったんだ」
見あげると、うれたヤマブドウの実が、枝にからんで鈴なりに...
「木登りがうまいって言うもんで、ヤマブドウを取って来いっ...
成哲は黙って達柱をにらんだ。小さな子をそんな高い木に登ら...
「腕が折れたのかい」&br;
「腕と足はなんともないけど、腰が痛いんだって」
文基は腰を押さえてしくしく泣いていた。
腰にさわってみると、なんともなさそうだったが、ひどく痛が...
「文基、おれがおんぶしてやるから、おぶさってみな」と、背...
「だめかい」
文基はこっくりうなずいた。
「困ったなあ、どうしようか」
成哲は心配してみなを見まわした。
「たんかを作って運ぼうよ」
万洙の意見に茂漢が応じた。
「一緒に作ろう。おれ、斧があるよ」&br;
「じゃ、おれたちはくずのつるを取って来よう」
徳善はまわりの者をさそって、林の中へ入って行った。そして...
「さあ、たんかに乗っておりて行こう」
万洙と茂漢は、文基をそーっとたんかに寝かせた。
文基は歯を食いしばって、痛さをこらえた。
さっきからそわそわしていた達柱が前に立ち、万洙がうしろに...
海べにおりた少年たちは、適当な場所に枯れ草を厚く敷いて、...
「打ち身にはなにがきくのか、誰か知らないか」
成哲が聞くと、俊浩が温石あん法を使ってみようと言った。
万洙が平たい石を拾って来て、たき火であたため布きれに包ん...
夕食ということで、みなは焼き魚をかこんで座った。 幼い3人...
勇日と永洙は何度も吐いたが、まだむかつくらしかった。文基...
ヤムジョンのひたいに手をあてると、火のように熱く、目が落...
「いつから具合が悪かったんだい」&br;
「小屋を発ったときから頭が痛かったの。だんだんひどくなっ...
「病気なのに歩きすぎたんだな。でも少しは食べなくちゃ」&br;
「いやよ。焼き魚のにおいをかいだだけでも、たまらないわ」&...
「じゃ、なにが食べたいんだ」
ヤムジョンは答えなかった。
「とにかく言ってごらんよ」
そばにいた明玉が促した。
「言ったってしようがないわ。だってさっぱりしたキムチが、...
ヤムジョンはにがっぽく笑った。
「まあ、キムチ？ 仕方がないから水でも飲むのね」
明玉が水筒を持って来て、寝ている子たちの口にあててやった...
「どうして飲まないんだい。水だけでも飲めよ」
成哲は何度もすすめたが、誰も一口以上飲もうとしなかった。...
（よっぽど、のどが乾いていたんだろう。潮水を飲んだり、ヤ...
成哲は、かれらになにか罪をおかしているような気がしてなら...
「海の水が飲めるなら、水の心配なんかして、節約するわけが...
成哲はこうひとりごちて、ため息をついた。
子どもたちはポケットをはたいて、キイチゴや木の実を病人に...
1日中山の中を歩きまわって、くたくたになった子どもたちは、...
病気の子たちは夜中にやっと寝入った。
年かさの子らも横になった。成哲は先のことが心配で眠れなか...
早く泉を探さなくては・・・。米は切れても魚やけだもの、鳥...
水がこんなにも大切なものだったのか。ふと成哲の目の前に、...
深い山奥にも人家があり、勤勉で親切な村人にあうことができ...
冷たい風が吹き、寒さが肌にしみた。
成哲はわれにかえって、海や森を見まわした。故郷からはるか...
欠けた月が西の空に傾いている。
（あの月はおれたちの村を照らしているだろう）
母がたまらなく恋しかった。
（どんなことがあっても生きるのだ。きっとほら穴と泉を見つ...
どこかで野鳥の鳴き声がする。その声に聞きほれていた彼は、...
鳥や獣も、水があるからこそ、ここに住んでいるのだ。そうだ...
これまでは広葉樹や草の生い茂っているところか、谷間などに...
（芸術）
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