長編小説「15少年物語」(3) をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」(3) [#y07a9728]
島を離れると風はしだいに強くなり、しけ模様になった。
万洙は真剣な顔つきでかじを取った。成哲は大きい子と一緒に...
「帆をおろせ」
万洙が泣きだしそうな声でどなった。茂漢が走って行って帆を...
「みんな力をだせ、力を」
成哲が励ました。ろをこぐ腕に力をこめたが、船は一向に進ま...
時間とともに海はいよいよ荒れた。容赦なくたたきつける波に...
「帆柱を倒すんだ」
万洙が叫ぶと、何人かが駆けて行って帆柱を倒した。女の子と...
「キャッ」
女の子たちはしぶきを避けて飛びのき、小さい子らは身ぶるい...
「こわがって、やたらに逃げまわったり、あわてて騒ぐんじゃ...
万洙が大声を張りあげた。
「お前たち、そんなところでうろうろしてないで、船室におり...
成哲にこう言われて、茂英は明玉とヤムジョン、小さい子らを...
「エィ、ヤッ」&br;
「エィ、ヤッ」
大きい子らは2組交替で必死にろをこいだ。しかし船はいっこう...
荒れる海が暗くなりはじめた。船は木の葉のように波にもまれ...
「おれ、もうがまんできないよ」
達柱が泣き声になって、ろを置いた。
「苦しいからってろを捨てたら、どうなるんだ。
苦しいのはお互いさまだ。生きるか死ぬかの瀬戸ぎわだぞ」
茂漢が目をむいた。
「だけど目がまわるし、吐きけがしてたまらないんだ」
茂漢を上目づかいに見た達柱は、ぶつくさ言いながら船室にお...
そのとき、もう1人の少年がろを置くなり、海に向かってゲエゲ...
「お前も酔ったのか。船室へ行って少し寝なよ」
成哲が声をかけた。
「あー胸がむかむかして、おれも吐きそうだ。目がくらくらす...
また1人が言った。
「お前もおりて行きな」
その子もふらふらしながら、行ってしまつた。
「みんな行ったら、ろは誰がこぐんだ」
茂漢がにがにがしそうに言った。
「仕方ないさ。吐いたり、目がくらくらするって言うのに、止...
「ちぇっ、おれはなんともないと思ってるのか。おれだって吐...
「それじゃ、お前も休めよ」
しかし、茂漢はいっそう強くろを握って、全身の力をふりしぼ...
明け方になると、雨が降りだした。船は激しくなるばかりの風...
「成哲、ちよっと」
かじを取っていた万洙が呼んだ。
「風がおさまりそうにないから、ろをこぐのをやめて、風に押...
万洙はそででひたいをぬぐった。ほんとうは涙をぬぐっている...
「なんて弱音をはくんだ。おれたちが風に負けるっ、てのか」&...
「仕方がないよ。あの波を見ろ。この調子じゃ、かじがもたな...
成哲は答えにつまった。万洙は低い声でつづけた。
「ろであの波を乗りきることはできないよ。船が村の方に向か...
万洙はまた、そででまぶたをぬぐった。
成哲は目の前が真っ暗になった。足もとがふらつき、頭ががん...
「大変なことになったなあ」
成哲は泣き声で言った。
「へさきの前に帆柱を横に倒して、そこへ帆を張ろう」&br;
「水の上に帆を張るわけだな。とにかく、いい方法なら早くや...
「おじいさんから聞いたんだけど、おじいさんがまだ若いころ...
「お前、やれるか」&br;
「できそうだ」&br;
「そんならやってみよう。でもなぜ、いままで黙ってたんだ」&...
「おれ、村に帰ることばかり考えてたんだ」&br;
「茂漢とも相談してみよう」
成哲は茂漢と昌植を呼んで、意見を聞いた。2人も同意した。
「かじは成哲が受けもてよ。おれたちでやってみるから」
万洙は倒れている帆柱から、帆をはずした。昔語りのように聞...
万洙は自己流でやってみることにし、帆柱のロープをほどいて...
そばで見ていた少年たちも手伝って、帆をゆわえた。
しかし、それを船首に取りつけるのが問題だった。
船腹ならそのままおろせばいいのだが、船首の下にとりつけな...
船首は狭いうえ、船の上で自由に行動できる者は何人もいなか...
だが、救ってくれる者がいない以上、どこまでも自分たちの力...
徳善だけが、うしろでぐずついていた。
「徳善、なにをしてるんだ。早くそっちの端を持ちあげろ」
茂漢がどなった。
「ちょっと待ってくれ」
口数の少ない徳善は、こう言ってすぐには船首に来ようとしな...
ところが、徳善はロープを腰に結んで、片端を船べりに巻きつ...
「そこは危い。山の者は真ん中に立て」
茂漢が場所をあけた。
「おれの心配はするな」
荒波が全身をなぐりつけたが、かれはびくともしなかった。結...
「さあ、持ちあげよう。1、2、3」
万洙の掛け声で帆柱を持ちあげ、少し押しだした。
「さあ、もう一度。1、2、3」
何度も同じ動作をくりかえして、帆柱を船首の先端まで運んだ。
「さあ、最後だ。帆柱を落とすとき注意するんだぞ。1、2、3」
最後の掛け声につづいて、帆柱がザブンと海面に落ちた。とこ...
「船室から、やすを持って来い」
万洙は俊浩が持って来たやすで、帆を広げようとした。危険な...
「手を放せ」
万洙は2人の手をふり払って、上着を脱ぎ捨てた。
「どうする気なんだ」
驚く茂漢にはかまわず、万洙は逆まく海に飛びこんだ。
「あっ」
息を殺して万洙を見守っていた子どもたちが、同時に叫んだ。...
(芸術)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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#include(boys_navi,notitle)
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//(芸術 2020.07.25)
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*長編小説「15少年物語」(3) [#y07a9728]
島を離れると風はしだいに強くなり、しけ模様になった。
万洙は真剣な顔つきでかじを取った。成哲は大きい子と一緒に...
「帆をおろせ」
万洙が泣きだしそうな声でどなった。茂漢が走って行って帆を...
「みんな力をだせ、力を」
成哲が励ました。ろをこぐ腕に力をこめたが、船は一向に進ま...
時間とともに海はいよいよ荒れた。容赦なくたたきつける波に...
「帆柱を倒すんだ」
万洙が叫ぶと、何人かが駆けて行って帆柱を倒した。女の子と...
「キャッ」
女の子たちはしぶきを避けて飛びのき、小さい子らは身ぶるい...
「こわがって、やたらに逃げまわったり、あわてて騒ぐんじゃ...
万洙が大声を張りあげた。
「お前たち、そんなところでうろうろしてないで、船室におり...
成哲にこう言われて、茂英は明玉とヤムジョン、小さい子らを...
「エィ、ヤッ」&br;
「エィ、ヤッ」
大きい子らは2組交替で必死にろをこいだ。しかし船はいっこう...
荒れる海が暗くなりはじめた。船は木の葉のように波にもまれ...
「おれ、もうがまんできないよ」
達柱が泣き声になって、ろを置いた。
「苦しいからってろを捨てたら、どうなるんだ。
苦しいのはお互いさまだ。生きるか死ぬかの瀬戸ぎわだぞ」
茂漢が目をむいた。
「だけど目がまわるし、吐きけがしてたまらないんだ」
茂漢を上目づかいに見た達柱は、ぶつくさ言いながら船室にお...
そのとき、もう1人の少年がろを置くなり、海に向かってゲエゲ...
「お前も酔ったのか。船室へ行って少し寝なよ」
成哲が声をかけた。
「あー胸がむかむかして、おれも吐きそうだ。目がくらくらす...
また1人が言った。
「お前もおりて行きな」
その子もふらふらしながら、行ってしまつた。
「みんな行ったら、ろは誰がこぐんだ」
茂漢がにがにがしそうに言った。
「仕方ないさ。吐いたり、目がくらくらするって言うのに、止...
「ちぇっ、おれはなんともないと思ってるのか。おれだって吐...
「それじゃ、お前も休めよ」
しかし、茂漢はいっそう強くろを握って、全身の力をふりしぼ...
明け方になると、雨が降りだした。船は激しくなるばかりの風...
「成哲、ちよっと」
かじを取っていた万洙が呼んだ。
「風がおさまりそうにないから、ろをこぐのをやめて、風に押...
万洙はそででひたいをぬぐった。ほんとうは涙をぬぐっている...
「なんて弱音をはくんだ。おれたちが風に負けるっ、てのか」&...
「仕方がないよ。あの波を見ろ。この調子じゃ、かじがもたな...
成哲は答えにつまった。万洙は低い声でつづけた。
「ろであの波を乗りきることはできないよ。船が村の方に向か...
万洙はまた、そででまぶたをぬぐった。
成哲は目の前が真っ暗になった。足もとがふらつき、頭ががん...
「大変なことになったなあ」
成哲は泣き声で言った。
「へさきの前に帆柱を横に倒して、そこへ帆を張ろう」&br;
「水の上に帆を張るわけだな。とにかく、いい方法なら早くや...
「おじいさんから聞いたんだけど、おじいさんがまだ若いころ...
「お前、やれるか」&br;
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「そんならやってみよう。でもなぜ、いままで黙ってたんだ」&...
「おれ、村に帰ることばかり考えてたんだ」&br;
「茂漢とも相談してみよう」
成哲は茂漢と昌植を呼んで、意見を聞いた。2人も同意した。
「かじは成哲が受けもてよ。おれたちでやってみるから」
万洙は倒れている帆柱から、帆をはずした。昔語りのように聞...
万洙は自己流でやってみることにし、帆柱のロープをほどいて...
そばで見ていた少年たちも手伝って、帆をゆわえた。
しかし、それを船首に取りつけるのが問題だった。
船腹ならそのままおろせばいいのだが、船首の下にとりつけな...
船首は狭いうえ、船の上で自由に行動できる者は何人もいなか...
だが、救ってくれる者がいない以上、どこまでも自分たちの力...
徳善だけが、うしろでぐずついていた。
「徳善、なにをしてるんだ。早くそっちの端を持ちあげろ」
茂漢がどなった。
「ちょっと待ってくれ」
口数の少ない徳善は、こう言ってすぐには船首に来ようとしな...
ところが、徳善はロープを腰に結んで、片端を船べりに巻きつ...
「そこは危い。山の者は真ん中に立て」
茂漢が場所をあけた。
「おれの心配はするな」
荒波が全身をなぐりつけたが、かれはびくともしなかった。結...
「さあ、持ちあげよう。1、2、3」
万洙の掛け声で帆柱を持ちあげ、少し押しだした。
「さあ、もう一度。1、2、3」
何度も同じ動作をくりかえして、帆柱を船首の先端まで運んだ。
「さあ、最後だ。帆柱を落とすとき注意するんだぞ。1、2、3」
最後の掛け声につづいて、帆柱がザブンと海面に落ちた。とこ...
「船室から、やすを持って来い」
万洙は俊浩が持って来たやすで、帆を広げようとした。危険な...
「手を放せ」
万洙は2人の手をふり払って、上着を脱ぎ捨てた。
「どうする気なんだ」
驚く茂漢にはかまわず、万洙は逆まく海に飛びこんだ。
「あっ」
息を殺して万洙を見守っていた子どもたちが、同時に叫んだ。...
(芸術)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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