長編小説「15少年物語」（18） をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」（18） [#ne7e5a4a]
「腕が痛みはしないか」
朝、成哲は、腕に包帯をかけて小屋の片隅に座っている万洙に...
「ゆうべまでずきずきしてたんだけど、今朝からすこし楽にな...
「きょうから、またはじめなきゃ。まず整理作業をして、壁を...
「今度は少し小さく建てないか」&br;
「どうしてだ」&br;
「茂漢らがほら穴へ行ったから、10人ぐらい住めればいいじゃ...
成哲は意外だといったふうに、万洙の顔を見た。
「なに言ってるんだ？ あの子たちをいつまでもほら穴に放っ...
「それもそうだな」
万洙はうなずいた。
「だけど、その腕、えらいことになったなあ」&br;
「大丈夫だってば。おれもきょうから仕事に出るよ。 片腕でも...
「ばか言うな。お前、無理して片輪になりたいのか」&br;
「かまわないよ。こんなときに1日だってのんびりしていられる...
一度決心すれば、あくまで押し通すその性分をよく知っている...
「お前、ほんとうにやれそうか」&br;
「くどいなあ。片手でもたる木は運べるし、材木だって2人でか...
「それなら、狩りをしてくれないか。冬支度も、家を建てるく...
「わかった。じゃ、2人だけつけてくれ。狩りも漁もやるよ。冬...
その日から子どもたちは、くずれた丸太小屋の整理作業にとり...
整理作業はきつい仕事だったが、女の子や小さい子らまで総が...
まず、土に埋まった材木を掘りだした。年かさの男の子は、大...
狩りを引き受けた万洙たちはその日の午後、わなを見に山へ登...
がけの角に来るとわなが倒れているのが見えた。
「しめた。キツネがかかったぞ」
昌植が走って行った。わなにはネコほどの大きさの動物がかか...
体はまだ固くなっていなかった。昼間は穴にこもって、夜えさ...
「なんだろう。毛がふわふわしてとてもいい気持だよ」
勇日は、それをなでたり頬ずりしたりした。
「いくら毛がよくても、小さすぎるよ。こんなものじゃ、大勢...
万株はクロテンを勇日にあずけて、リスをおとりにわなを仕掛...
3人がミヤマハンの木やクヌギがちらほら見かけられる斜面をお...
「あれ、茂英じゃないか」
と、勇日が叫んだ。
「そうだ、茂英だ」
3人は駆けて行った。その足音に驚いて、茂英がふり向いた。
「こんなところで、なにをしてるんだ」&br;
「びっくりしたわ。キノコやギョウジャニンニクを取ってるの...
茂英はなつかしそうに3人を見た。万洙たちも、あえてうれしか...
「ほら穴はこの近くにあるのかい」
万洙の問いに茂英は「ここをおりて行くと、すぐよ」と、ほら...
「これ、なんていう動物なの。兄ちゃんが取ったものより、毛...
茂英は、勇日が手にしたクロテンの毛にさわってみた。
「お前たちも、こんなの取ったのか」&br;
「うん、これ」
茂英は上着のすそをめくってみせた。シロギツネの毛で、つや...
「これよりもっといいじゃないか。たくさんつかまえたのか」&...
「ううん、1匹だけよ。それをあたしの上着の裏につけたの。兄...
「そうかい。おれたちはまだだよ。どうやってつかまえたんだ...
「落し穴を作ったの。トナカイが通る道に掘ったんだけど、2日...
昌植は、自分たちもトナカイをつかまえて飼おうと思った。
「1人でこんなところにいてこわくないのか、もし、怪物かオオ...
「最初は1人歩きできなかったんだけど、もう慣れたわ。それに...
「ああ、元気だよ。しよっちゅうお前のうわさをしているよ。...
茂英はうなだれた。あいたくて毎日泣いていながらも、いざ聞...
「茂漢やほかの子たちは、なにをやってるんだ」&br;
「兄ちゃんたちも忙しいのよ。きょうは魚を取りに行ったわ。...
「うん、行ってみよう」
万洙を先頭にして、3人は茂英と一緒に斜面をおりて行った。
ほら穴の前に囲いがしてあって、その中で大きなトナカイが草...
ほら穴の横手には、半地下壕式の台所があった。中は手入れが...
ほら穴の入口には、木のわくにカラマツの皮を張った戸がつい...
3人は茂英の案内で中に入った。人気がないのをみると、茂漢た...
「暗いなあ」
勇日がバタンと戸をあけ放った。
「外から入って来たからよ。じきに目が慣れるわ。 こっちへ来...
茂英は勇日の手を取って座らせた。
そのうち、だんだん内部のものが見えてきた。木の皮で編んだ...
ひと月もじめじめした草むらや仮小屋で暮らしてきて、あたた...
「あれでなにを作るんだい」
昌植がおけのように中をくりぬいた木を指さした。
「基昌が火鉢を作ってるの。部屋にいつも火をたくわけにはい...
茂英は火ばしで囲炉裏の火をかき起こした。
「木で火鉢を作るの？」&br;
「外側は木でも、内側に薄い石を張ったら焼けないでしょ。こ...
茂英は、目を丸くする勇日にこう答えて、積んである石を示し...
「基昌は器用だから、なんでも作れるんだな。あの戸も基昌の...
「そうよ。基昌は家でこんなのを作る係なの」&br;
「そう言えば、基昌が見えないな。どっかへ行ったのか」
万洙が気がついたようにたずねた。
「火鉢を作ってたんだけど、このごろは狩りに夢中なのよ。そ...
狩りに行くふりをして、無電機にかじりついていることを知ら...
「文基はなんの係？」
勇日がまた聞いた。
「文基は自分のしたい放題よ。きょうは魚取りについて行った...
勇日は文基がうらやましくなった。
やがて茂漢たちが帰って来た。
「お帰り。たくさん取れたかい」と、万洙が出迎えながらたず...
「やあ、久しぶりだな。狩りに出かけて来たのか」
茂漢はにこにこして言った。
「退屈だから、ちょっとぶらついてたんだ」&br;
「ぶらつくなんて、けっこうな身分だな。でも成哲がぶらぶら...
「わなだよ。ここでもいいもの取ってるな。トナカ イまでつか...
「この先、もっといい獲物があるだろうよ。お前たちまだ毛皮...
茂漢は、上着の裏にあてたウサギの毛皮を見せびらかした。
「このほら穴はどうだ。以前来たことがあるからわかるだろう...
茂漢は達柱に、目をぱちぱちしてみせた。達柱は吹きだしたく...
「壁を積んでいるところだ。もう終わりかけてるけど、つぶれ...
「それでお前たちは狩りを受け持ったんだな。家の方は成哲に...
茂漢は上体をそらして、愉快そうに笑った。万洙は不愉快でな...
しばらく気まずい沈黙が流れた。茂漢は2人の気分を損ねたこと...
「家も建て、狩りもしなけりゃならないんだから大変だろうな...
万洙はあきれて、ものが言えなかった。
「迷わないで一緒に暮らそうや。いまにみんなこっちへ抜けだ...
茂漢は、昌植と勇日に顔を向けた。
「なにをぐずぐずしてるんだ。早く返事しろよ。おれたちと一...
達柱がこう口をはさむと茂漢がぐいと横腹を突っついた。無電...
万洙はほかの2人が答える前に、自分の態度をはっきりさせてお...
「よくもそんなことが言えたもんだな。あごのぶつかり放題で...
万洙は声を張りあげて、茂漢をにらみつけた。
「な、なにおっ。じゃ、おれたちが畜生だって言うのか」
達柱がどもりながら、くってかかった。
「畜生でなくてなんだ。子ウシや子イヌでさえ仲間を裏切りや...
「よけいなこと言うな。そんなつもりなら、この近くにも寄り...
茂漢も真っ赤になって怒った。
「いいとも。絶対に来るもんか」
万洙はさっと立ちあがった。
「お前たちはどうする。好きなようにしな。おれは帰るよ」
万洙はこういい残して、そそくさと外へ出て行った。
「汚いやつらだ。おれたちがこんなところで、住むと思ってる...
昌植も勇日の手を取って外へ出た。
文基と茂英がほら穴の外まで追って出たが、3人は後もふりむか...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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#include(boys_navi,notitle)
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//（芸術 2020.09.25）
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*長編小説「15少年物語」（18） [#ne7e5a4a]
「腕が痛みはしないか」
朝、成哲は、腕に包帯をかけて小屋の片隅に座っている万洙に...
「ゆうべまでずきずきしてたんだけど、今朝からすこし楽にな...
「きょうから、またはじめなきゃ。まず整理作業をして、壁を...
「今度は少し小さく建てないか」&br;
「どうしてだ」&br;
「茂漢らがほら穴へ行ったから、10人ぐらい住めればいいじゃ...
成哲は意外だといったふうに、万洙の顔を見た。
「なに言ってるんだ？ あの子たちをいつまでもほら穴に放っ...
「それもそうだな」
万洙はうなずいた。
「だけど、その腕、えらいことになったなあ」&br;
「大丈夫だってば。おれもきょうから仕事に出るよ。 片腕でも...
「ばか言うな。お前、無理して片輪になりたいのか」&br;
「かまわないよ。こんなときに1日だってのんびりしていられる...
一度決心すれば、あくまで押し通すその性分をよく知っている...
「お前、ほんとうにやれそうか」&br;
「くどいなあ。片手でもたる木は運べるし、材木だって2人でか...
「それなら、狩りをしてくれないか。冬支度も、家を建てるく...
「わかった。じゃ、2人だけつけてくれ。狩りも漁もやるよ。冬...
その日から子どもたちは、くずれた丸太小屋の整理作業にとり...
整理作業はきつい仕事だったが、女の子や小さい子らまで総が...
まず、土に埋まった材木を掘りだした。年かさの男の子は、大...
狩りを引き受けた万洙たちはその日の午後、わなを見に山へ登...
がけの角に来るとわなが倒れているのが見えた。
「しめた。キツネがかかったぞ」
昌植が走って行った。わなにはネコほどの大きさの動物がかか...
体はまだ固くなっていなかった。昼間は穴にこもって、夜えさ...
「なんだろう。毛がふわふわしてとてもいい気持だよ」
勇日は、それをなでたり頬ずりしたりした。
「いくら毛がよくても、小さすぎるよ。こんなものじゃ、大勢...
万株はクロテンを勇日にあずけて、リスをおとりにわなを仕掛...
3人がミヤマハンの木やクヌギがちらほら見かけられる斜面をお...
「あれ、茂英じゃないか」
と、勇日が叫んだ。
「そうだ、茂英だ」
3人は駆けて行った。その足音に驚いて、茂英がふり向いた。
「こんなところで、なにをしてるんだ」&br;
「びっくりしたわ。キノコやギョウジャニンニクを取ってるの...
茂英はなつかしそうに3人を見た。万洙たちも、あえてうれしか...
「ほら穴はこの近くにあるのかい」
万洙の問いに茂英は「ここをおりて行くと、すぐよ」と、ほら...
「これ、なんていう動物なの。兄ちゃんが取ったものより、毛...
茂英は、勇日が手にしたクロテンの毛にさわってみた。
「お前たちも、こんなの取ったのか」&br;
「うん、これ」
茂英は上着のすそをめくってみせた。シロギツネの毛で、つや...
「これよりもっといいじゃないか。たくさんつかまえたのか」&...
「ううん、1匹だけよ。それをあたしの上着の裏につけたの。兄...
「そうかい。おれたちはまだだよ。どうやってつかまえたんだ...
「落し穴を作ったの。トナカイが通る道に掘ったんだけど、2日...
昌植は、自分たちもトナカイをつかまえて飼おうと思った。
「1人でこんなところにいてこわくないのか、もし、怪物かオオ...
「最初は1人歩きできなかったんだけど、もう慣れたわ。それに...
「ああ、元気だよ。しよっちゅうお前のうわさをしているよ。...
茂英はうなだれた。あいたくて毎日泣いていながらも、いざ聞...
「茂漢やほかの子たちは、なにをやってるんだ」&br;
「兄ちゃんたちも忙しいのよ。きょうは魚を取りに行ったわ。...
「うん、行ってみよう」
万洙を先頭にして、3人は茂英と一緒に斜面をおりて行った。
ほら穴の前に囲いがしてあって、その中で大きなトナカイが草...
ほら穴の横手には、半地下壕式の台所があった。中は手入れが...
ほら穴の入口には、木のわくにカラマツの皮を張った戸がつい...
3人は茂英の案内で中に入った。人気がないのをみると、茂漢た...
「暗いなあ」
勇日がバタンと戸をあけ放った。
「外から入って来たからよ。じきに目が慣れるわ。 こっちへ来...
茂英は勇日の手を取って座らせた。
そのうち、だんだん内部のものが見えてきた。木の皮で編んだ...
ひと月もじめじめした草むらや仮小屋で暮らしてきて、あたた...
「あれでなにを作るんだい」
昌植がおけのように中をくりぬいた木を指さした。
「基昌が火鉢を作ってるの。部屋にいつも火をたくわけにはい...
茂英は火ばしで囲炉裏の火をかき起こした。
「木で火鉢を作るの？」&br;
「外側は木でも、内側に薄い石を張ったら焼けないでしょ。こ...
茂英は、目を丸くする勇日にこう答えて、積んである石を示し...
「基昌は器用だから、なんでも作れるんだな。あの戸も基昌の...
「そうよ。基昌は家でこんなのを作る係なの」&br;
「そう言えば、基昌が見えないな。どっかへ行ったのか」
万洙が気がついたようにたずねた。
「火鉢を作ってたんだけど、このごろは狩りに夢中なのよ。そ...
狩りに行くふりをして、無電機にかじりついていることを知ら...
「文基はなんの係？」
勇日がまた聞いた。
「文基は自分のしたい放題よ。きょうは魚取りについて行った...
勇日は文基がうらやましくなった。
やがて茂漢たちが帰って来た。
「お帰り。たくさん取れたかい」と、万洙が出迎えながらたず...
「やあ、久しぶりだな。狩りに出かけて来たのか」
茂漢はにこにこして言った。
「退屈だから、ちょっとぶらついてたんだ」&br;
「ぶらつくなんて、けっこうな身分だな。でも成哲がぶらぶら...
「わなだよ。ここでもいいもの取ってるな。トナカ イまでつか...
「この先、もっといい獲物があるだろうよ。お前たちまだ毛皮...
茂漢は、上着の裏にあてたウサギの毛皮を見せびらかした。
「このほら穴はどうだ。以前来たことがあるからわかるだろう...
茂漢は達柱に、目をぱちぱちしてみせた。達柱は吹きだしたく...
「壁を積んでいるところだ。もう終わりかけてるけど、つぶれ...
「それでお前たちは狩りを受け持ったんだな。家の方は成哲に...
茂漢は上体をそらして、愉快そうに笑った。万洙は不愉快でな...
しばらく気まずい沈黙が流れた。茂漢は2人の気分を損ねたこと...
「家も建て、狩りもしなけりゃならないんだから大変だろうな...
万洙はあきれて、ものが言えなかった。
「迷わないで一緒に暮らそうや。いまにみんなこっちへ抜けだ...
茂漢は、昌植と勇日に顔を向けた。
「なにをぐずぐずしてるんだ。早く返事しろよ。おれたちと一...
達柱がこう口をはさむと茂漢がぐいと横腹を突っついた。無電...
万洙はほかの2人が答える前に、自分の態度をはっきりさせてお...
「よくもそんなことが言えたもんだな。あごのぶつかり放題で...
万洙は声を張りあげて、茂漢をにらみつけた。
「な、なにおっ。じゃ、おれたちが畜生だって言うのか」
達柱がどもりながら、くってかかった。
「畜生でなくてなんだ。子ウシや子イヌでさえ仲間を裏切りや...
「よけいなこと言うな。そんなつもりなら、この近くにも寄り...
茂漢も真っ赤になって怒った。
「いいとも。絶対に来るもんか」
万洙はさっと立ちあがった。
「お前たちはどうする。好きなようにしな。おれは帰るよ」
万洙はこういい残して、そそくさと外へ出て行った。
「汚いやつらだ。おれたちがこんなところで、住むと思ってる...
昌植も勇日の手を取って外へ出た。
文基と茂英がほら穴の外まで追って出たが、3人は後もふりむか...
（芸術）
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//（芸術 2020.09.25）
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