長編小説「15少年物語」(14) をテンプレートにして作成
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*長編小説「15少年物語」(14) [#ffdd7497]
泉を見つけた少年たちは、海べで待っていた俊浩と勇日たちを...
小屋が何者かに荒らされて、目もあてられないありさまなのだ。
出発前に食べ残したはずの魚は見あたらず、釜の中の魚汁まで...
水おけは砂地に転がっており、きちんとたたんでおいた帆も、...
みな驚き恐れ、やがてしょんぼりと草むらに座って、 互いに顔...
成哲は目の前が真っ暗になった。歯をくいしばって空腹に耐え...
数日間の調査で、この島が無人島であることを確かめた。それ...
「ひょっとすると、海賊のしわざじゃないか」
万洙がみなを見まわし、低い声で言った。海賊と聞いて、かれ...
「海賊なら、ひとの食い残したものなんか、食べるはずがない...
しばらくして昌植が答えると、万洙は首を横に振った。
「海賊だって腹がへれば仕方がないさ。山の豪傑だというトラ...
「ひもじければそうするかもしれないけど、でも海賊じゃなさ...
「それなら、この島には確かに人間がいるんだ。きっと人間の...
子どもたちは判断がつかず、成哲の顔を見た。成哲も答えよう...
「おれははじめから、こんなことになるだろうと思ってたよ」&...
「なんだって、はじめから思っていたって」
横にいた基昌が聞きとがめた。
「これはな、万洙が言う海賊のしわざでもなければ、昌植の言...
「じゃ、なんだ」&br;
「山の神さまのしわざさ。考えてみろ。この島の主は山の神さ...
京三がこう言ったので、子どもたちの顔からさっと血の気が引...
「山の神さまなんているもんか。おれはほら穴で1人寝てたけれ...
茂漢は目をむいて京三をなじった。
「大きなこと言うな。いまにどうなるか見てみろよ」
京三は負けん気で言い返した。
このとき草むらを注意深くかき分けて、海べまで行って来た茂...
「ちよっと来てよ。これ、なにかしら」
みなぞろぞろ行ってみると、そこに大きな足跡がついていた。
「どけどけ、おれがはかってみよう」
万洙が子どもたちをおしのけて、足跡に自分のはき物をあわせ...
「こないだ、あの山の向こうの岩の前で見た足跡とそっくりだ」
成哲も足跡を見て首をかしげた。子どもたちはまた恐怖にとら...
「そら見ろ。これでも山の神さまじゃないって言うのか」
と、京三が勝ちほこったように言った。
「やあ、ここにもあるぞ」
誰かがまたほかの足跡を発見した。子どもたちはワアッとそっ...
こんなに大きい足跡の主がこの島にいるなんて・・・。その怪...
「この足跡は、海賊のものでも、島の人間のものでもないよ。...
さっきから考えこんでいた昌植が、受け持ちの先生から聞いた...
「じゃ、なんだ」&br;
「誰か、遠くの離れ島に住んでいるっていう、怪物の話を聞い...
子どもたちは昌植を見つめた。
ある絶海の孤島に恐ろしい怪物がすんでいた。
無類の怪力の持ち主で、背丈が40メートル、体重は2トンもあっ...
村では高台のやぐらに見張りを立て、怪物があらわれると、鐘...
このうわさは遠くにまで広がった。
怪物を退治しにほうぼうから腕ききの狩人がやって来たが、誰1...
ある年の夏、また2人の狩人が島に姿を見せた。
「わたしたちは、あなた方を苦しめている怪物を退治しようと...
狩人は島の人たちに聞いた。
自分たちを助けに来た狩人に感謝しながらも、かれらは口ぐち...
「おこころざしはありがたいが、どうか引き取ってください。...
村人たちは心の底から言った。が、2人の狩人は決心をひるがえ...
「怪物はへビが大好物です。へビをつかまえて火にあぶれば、...
2人は礼を述べて深い谷間に入って行った。ちようどイノシシと...
はたして、あぶり肉のにおいをかいで怪物があらわれ、大蛇を...
怪物はびくともせず、むしゃむしゃと食べつづけた。 銃弾が怪...
またたくまに大蛇をたいらげた怪物は、大きな目玉をぎょろつ...
怪物は空を見あげてすさまじいうなり声をたてていたが、さっ...
全身が汗でびしょぬれになった狩人は、急に恐怖につつまれ、...
このうわさがまた世間に知れ渡って、それ以来怪物退治に来る...
昌植はみなを見まわして言った。
「ひよっとしたら、その怪物がいたという島がここかもしれな...
子どもたちはまっさおになって、口もきけなかった。
「そうかもしれんよ。これまで島でへビを1匹も見かけなかった...
「そいつが島の人たちも、食っちまったんじゃないのか」&br;
「その怪物に出あったらどうするんだ」&br;
「死ぬにきまってるじゃないか」&br;
「早く泉谷に引っ越そうよ」
子どもたちはぶるぶるふるえながら言った。
成哲はすぐ安全な場所に移らなければと思った。散らばってい...
成哲は徳善と並んで、一番うしろを歩いた。かれと話したいこ...
「お前、このあいだ、丸太小屋を建てようって言っただろう」&...
「うん」&br;
「おれたちのカで建てられるかな」&br;
「そりゃ、気の持ちようさ。みながその気にさえなって取り組...
「大工もいないし、道具も斧しかなくてもかい」&br;
「おれの家だって大工なしに建てたんだぜ。父さんが去年の春...
「ほんとうに自信があるのか」&br;
「おれ1人じゃだめだけど、みんなでやればできると思うよ」&br;
「もちろん一緒にやるのさ」&br;
「じゃ自信があるよ。泉のそばに大きな丸太小屋を建てよう。...
「よし、泉谷へ行って、みんなと相談しよう」
徳善の言葉に励まされて、成哲は決心を固めた。一行が泉谷に...
勇日たちは成哲に、昔話をしてくれとせがんだ。
「昔話はあとですることにして今日は大事な問題を相談しよう...
成哲はこうきりだした。
「みんな何日も野宿して、ずい分寒い思いをしたろう。もう少...
あちこちでひそひそ話しあう声がしたが、意見を出す者はなか...
しばらくして茂漢が口を開いた。
「ほら穴がせまいのは確かだ。でもいまのところ仕方がないん...
「15人が入って座る場所もないのに、どうやって寝るんだ」
俊浩が反対した。
「じゃ、もっと大きいのを見つけて来いよ」
茂漢は口をとがらせて言った。
「あのほら穴は泉が遠くて不便だわ。日に何度も水をくまなく...
茂英が明玉とヤムジョンにささやいた。
「心配するな。おれたちがくんでやるよ。それに雪が降ったら...
達柱が名案でも思いついたように、ぐるっと見まわして言った。
「お前らはこの島にどれくらいいるつもりで、ほら穴を探せだ...
徳善が横やりを入れた。
「じゃ、名案があったら出せよ。えらそうなことばかり言いや...
茂漢が食ってかかった。
「おれの考えではな、ここには木もクズのつるもたくさんある...
「それがそう簡単にいくと思ってるのか。カササギの巣じゃあ...
茂漢が鼻であしらった。
「もちろん簡単にはいかないさ。でも、みんなが力をあわせれ...
徳善がまじめな顔をして答えた。
「いい考えだけど、大工がいないじゃないか。木さえあれば家...
「それに道具はあるのかよ。斧だけで、どう家を建てるって言...
と、茂漢が達柱の言葉につけ加えた。
「大工だって普通の人間だ。家を建てれば誰でも大工さ。正直...
徳善も折れようとしなかった。
「どこでなくしたかわからないって言ったじゃないか」
茂漢はカッとなって言った。
「ほかの者も言ってみろよ。ほら穴で住む方がいいか、それと...
と、成哲が言った。
「ほら穴の大きさもわかんないのに、返事ができっこないよ」
俊浩が弱ったように言った。あちこちにざわめきが起こり、結...
「じゃ、今日はこれくらいにして、あしたの朝、 ほら穴へ行っ...
翌日の朝食後、子どもたちはほら穴に向かって峠を越えた。小...
「せますぎるな。15人は無理だよ」&br;
「もう少し広いといいのになあ」&br;
「船室よりせまいみたいだぞ」&br;
「とにかく座ってみよう」
子どもたちはつめあって座った。
「骨がおれても家を建てなくちゃ」
万洙がこう言って、頭を横に振った。
「船室でも1ヶ月暮らしたのに、ここで暮らせないわけがないじ...
茂漢が言い返した。
「いつまでこの島にいるかわからないのに、そうはいかないよ...
昌植の言葉だった。
「あしたにでも、船が近くを通れば助けてもらえるのに、家な...
茂漢はひっこもうとしなかつた。
みな成哲の顔を見た。隊長の意見が聞きたかったのだ。
「ほら穴で暮らそうという案と、家を建てようという案が出た...
成哲は問いただすように言った。
「おれたち言いたいことはみな言ったんだから、いまさら聞く...
茂漢がしぶしぶ同意した。
こうして、泉谷に丸太小屋を建てることになった。
(芸術)
RIGHT:'''2020年の記事'''
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//(芸術 2020.09.05)
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*長編小説「15少年物語」(14) [#ffdd7497]
泉を見つけた少年たちは、海べで待っていた俊浩と勇日たちを...
小屋が何者かに荒らされて、目もあてられないありさまなのだ。
出発前に食べ残したはずの魚は見あたらず、釜の中の魚汁まで...
水おけは砂地に転がっており、きちんとたたんでおいた帆も、...
みな驚き恐れ、やがてしょんぼりと草むらに座って、 互いに顔...
成哲は目の前が真っ暗になった。歯をくいしばって空腹に耐え...
数日間の調査で、この島が無人島であることを確かめた。それ...
「ひょっとすると、海賊のしわざじゃないか」
万洙がみなを見まわし、低い声で言った。海賊と聞いて、かれ...
「海賊なら、ひとの食い残したものなんか、食べるはずがない...
しばらくして昌植が答えると、万洙は首を横に振った。
「海賊だって腹がへれば仕方がないさ。山の豪傑だというトラ...
「ひもじければそうするかもしれないけど、でも海賊じゃなさ...
「それなら、この島には確かに人間がいるんだ。きっと人間の...
子どもたちは判断がつかず、成哲の顔を見た。成哲も答えよう...
「おれははじめから、こんなことになるだろうと思ってたよ」&...
「なんだって、はじめから思っていたって」
横にいた基昌が聞きとがめた。
「これはな、万洙が言う海賊のしわざでもなければ、昌植の言...
「じゃ、なんだ」&br;
「山の神さまのしわざさ。考えてみろ。この島の主は山の神さ...
京三がこう言ったので、子どもたちの顔からさっと血の気が引...
「山の神さまなんているもんか。おれはほら穴で1人寝てたけれ...
茂漢は目をむいて京三をなじった。
「大きなこと言うな。いまにどうなるか見てみろよ」
京三は負けん気で言い返した。
このとき草むらを注意深くかき分けて、海べまで行って来た茂...
「ちよっと来てよ。これ、なにかしら」
みなぞろぞろ行ってみると、そこに大きな足跡がついていた。
「どけどけ、おれがはかってみよう」
万洙が子どもたちをおしのけて、足跡に自分のはき物をあわせ...
「こないだ、あの山の向こうの岩の前で見た足跡とそっくりだ」
成哲も足跡を見て首をかしげた。子どもたちはまた恐怖にとら...
「そら見ろ。これでも山の神さまじゃないって言うのか」
と、京三が勝ちほこったように言った。
「やあ、ここにもあるぞ」
誰かがまたほかの足跡を発見した。子どもたちはワアッとそっ...
こんなに大きい足跡の主がこの島にいるなんて・・・。その怪...
「この足跡は、海賊のものでも、島の人間のものでもないよ。...
さっきから考えこんでいた昌植が、受け持ちの先生から聞いた...
「じゃ、なんだ」&br;
「誰か、遠くの離れ島に住んでいるっていう、怪物の話を聞い...
子どもたちは昌植を見つめた。
ある絶海の孤島に恐ろしい怪物がすんでいた。
無類の怪力の持ち主で、背丈が40メートル、体重は2トンもあっ...
村では高台のやぐらに見張りを立て、怪物があらわれると、鐘...
このうわさは遠くにまで広がった。
怪物を退治しにほうぼうから腕ききの狩人がやって来たが、誰1...
ある年の夏、また2人の狩人が島に姿を見せた。
「わたしたちは、あなた方を苦しめている怪物を退治しようと...
狩人は島の人たちに聞いた。
自分たちを助けに来た狩人に感謝しながらも、かれらは口ぐち...
「おこころざしはありがたいが、どうか引き取ってください。...
村人たちは心の底から言った。が、2人の狩人は決心をひるがえ...
「怪物はへビが大好物です。へビをつかまえて火にあぶれば、...
2人は礼を述べて深い谷間に入って行った。ちようどイノシシと...
はたして、あぶり肉のにおいをかいで怪物があらわれ、大蛇を...
怪物はびくともせず、むしゃむしゃと食べつづけた。 銃弾が怪...
またたくまに大蛇をたいらげた怪物は、大きな目玉をぎょろつ...
怪物は空を見あげてすさまじいうなり声をたてていたが、さっ...
全身が汗でびしょぬれになった狩人は、急に恐怖につつまれ、...
このうわさがまた世間に知れ渡って、それ以来怪物退治に来る...
昌植はみなを見まわして言った。
「ひよっとしたら、その怪物がいたという島がここかもしれな...
子どもたちはまっさおになって、口もきけなかった。
「そうかもしれんよ。これまで島でへビを1匹も見かけなかった...
「そいつが島の人たちも、食っちまったんじゃないのか」&br;
「その怪物に出あったらどうするんだ」&br;
「死ぬにきまってるじゃないか」&br;
「早く泉谷に引っ越そうよ」
子どもたちはぶるぶるふるえながら言った。
成哲はすぐ安全な場所に移らなければと思った。散らばってい...
成哲は徳善と並んで、一番うしろを歩いた。かれと話したいこ...
「お前、このあいだ、丸太小屋を建てようって言っただろう」&...
「うん」&br;
「おれたちのカで建てられるかな」&br;
「そりゃ、気の持ちようさ。みながその気にさえなって取り組...
「大工もいないし、道具も斧しかなくてもかい」&br;
「おれの家だって大工なしに建てたんだぜ。父さんが去年の春...
「ほんとうに自信があるのか」&br;
「おれ1人じゃだめだけど、みんなでやればできると思うよ」&br;
「もちろん一緒にやるのさ」&br;
「じゃ自信があるよ。泉のそばに大きな丸太小屋を建てよう。...
「よし、泉谷へ行って、みんなと相談しよう」
徳善の言葉に励まされて、成哲は決心を固めた。一行が泉谷に...
勇日たちは成哲に、昔話をしてくれとせがんだ。
「昔話はあとですることにして今日は大事な問題を相談しよう...
成哲はこうきりだした。
「みんな何日も野宿して、ずい分寒い思いをしたろう。もう少...
あちこちでひそひそ話しあう声がしたが、意見を出す者はなか...
しばらくして茂漢が口を開いた。
「ほら穴がせまいのは確かだ。でもいまのところ仕方がないん...
「15人が入って座る場所もないのに、どうやって寝るんだ」
俊浩が反対した。
「じゃ、もっと大きいのを見つけて来いよ」
茂漢は口をとがらせて言った。
「あのほら穴は泉が遠くて不便だわ。日に何度も水をくまなく...
茂英が明玉とヤムジョンにささやいた。
「心配するな。おれたちがくんでやるよ。それに雪が降ったら...
達柱が名案でも思いついたように、ぐるっと見まわして言った。
「お前らはこの島にどれくらいいるつもりで、ほら穴を探せだ...
徳善が横やりを入れた。
「じゃ、名案があったら出せよ。えらそうなことばかり言いや...
茂漢が食ってかかった。
「おれの考えではな、ここには木もクズのつるもたくさんある...
「それがそう簡単にいくと思ってるのか。カササギの巣じゃあ...
茂漢が鼻であしらった。
「もちろん簡単にはいかないさ。でも、みんなが力をあわせれ...
徳善がまじめな顔をして答えた。
「いい考えだけど、大工がいないじゃないか。木さえあれば家...
「それに道具はあるのかよ。斧だけで、どう家を建てるって言...
と、茂漢が達柱の言葉につけ加えた。
「大工だって普通の人間だ。家を建てれば誰でも大工さ。正直...
徳善も折れようとしなかった。
「どこでなくしたかわからないって言ったじゃないか」
茂漢はカッとなって言った。
「ほかの者も言ってみろよ。ほら穴で住む方がいいか、それと...
と、成哲が言った。
「ほら穴の大きさもわかんないのに、返事ができっこないよ」
俊浩が弱ったように言った。あちこちにざわめきが起こり、結...
「じゃ、今日はこれくらいにして、あしたの朝、 ほら穴へ行っ...
翌日の朝食後、子どもたちはほら穴に向かって峠を越えた。小...
「せますぎるな。15人は無理だよ」&br;
「もう少し広いといいのになあ」&br;
「船室よりせまいみたいだぞ」&br;
「とにかく座ってみよう」
子どもたちはつめあって座った。
「骨がおれても家を建てなくちゃ」
万洙がこう言って、頭を横に振った。
「船室でも1ヶ月暮らしたのに、ここで暮らせないわけがないじ...
茂漢が言い返した。
「いつまでこの島にいるかわからないのに、そうはいかないよ...
昌植の言葉だった。
「あしたにでも、船が近くを通れば助けてもらえるのに、家な...
茂漢はひっこもうとしなかつた。
みな成哲の顔を見た。隊長の意見が聞きたかったのだ。
「ほら穴で暮らそうという案と、家を建てようという案が出た...
成哲は問いただすように言った。
「おれたち言いたいことはみな言ったんだから、いまさら聞く...
茂漢がしぶしぶ同意した。
こうして、泉谷に丸太小屋を建てることになった。
(芸術)
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//(芸術 2020.09.05)
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