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*短編小説「愛情の海」（6） [#dbdd21e3]
必ず伝えよう、この愛情の話を文に残していついつまでも伝えよう。

興奮を抑えきれず、ソンリョンは金正恩総書記の恩愛を毎日、日記の形で記録するのを違えることのできない日課としていました。

今日もまた総書記の愛情が込められた干し柿とりんご、魚が供給され、今まで倉庫にいっぱい積み上げたソンリョンは夜遅くなって子供たちの寝室を見て回り、日記帳を開きました。

そばに立って何かしゃべっているチニの頭を撫でながらソンリョンは今日、供給された物資の状況を書き入れ、最初のページからめくり始めました。このように一枚、一枚めくりながら次の世代、未来への総書記の熱い思いを改めてかみ締めてみるソンリョンでした。

ソンリョンは毎日の日付と共に愛育院の子供たちへの総書記の恩情を一つも欠かさず書き記していきました。

2014年10月・・・

金正恩総書記は保育室、教育室、寝室、洗面所、遊び場、自然観察室などをつぶさに見て、子供の発育と知能開発に多いに利用できるよう見事につくられた、思う存分遊べる運動室と遊泳場も最高の水準だ、日当たりがよく、明るく新鮮な空気がいっぱい吸えるよう、こじんまりとした中庭を造ったが気に入る、と言いました。

・・・

そして、「このように立派なつくりの育児院と愛育院を見ると、身寄りのない子供のためにいつも気を使っていた金日成主席と金正日総書記が思われてなりません。子供たちが宮殿のような住処で何羨むもののない幸せな生活をしている姿を、主席と総書記に見ていただいたらどんなに喜んだことでしょう。

主席と総書記の一生の願いをまた一つかなえてあげるようになりました。親のいない子供のためのゆりかごが新しく建てられて、朝鮮式の社会主義制度の優越性がまたまた誇り示されたので、本当に満ち足りた気持ちです。

子供のためのこのような立派な住処はこの世にまたとないでしょう。親のいない子供たちにこの世で一番よい家を与えるので、空の星でも取ってきたようにとても嬉しいです」とも言いました。

・・・

突然、電話のベルが鳴りました。澄んだほのかなメロディーが流れました。

日記帳を読みながら深い感動に包まれていたソンリョンは、深夜、誰が電話を掛けて来るのかしら、と思い、すぐハンカチで目を拭き、電話を受けました。意外にそれは金正恩総書記からの電話でした。

「子供たちがどんなに生活しているか気になって電話を掛けました。病気の子供はいませんか」

ソンリョンは熱いものがこみ上げてきて、潤んだ声で答えました。

「いません。子供たちが新しい家に引越しして、とても喜んでいます。今日、人民軍部隊からまた干し柿とりんご、魚をいっぱい載せた車が来ました。昨日は市人民委員会からおもちゃが送られたのですが・・・」&br;
「それはいいことです。ところで院長先生は毎日、愛育院に付きっ切りのようですが・・・家の事はどうしていますか、チニの面倒は誰が見て・・・」&br;
「あの子は週預かりの幼稚園に通っています。土曜日だけ・・・」&br;
「あ、そう、あの子が愛育院に行ったらお婆さんが自分を可愛がらないので、日曜日だけ行くのもいやだと言ったそうですね？」

ソンリョンは気恥ずかしそうに笑いました。いつでしたか愛育院に来たキム・ウクに余談に言ったことを総書記は知っていたのです。

「今はあの子が愛育院に来たいとしきりにせがんでいるので大変です」&br;
「お婆さんが可愛がらなくても行きたいと言っているとのことですか」

総書記が怪訝そうに聞くとソンリョンは自慢げに答えました。

「お婆さんが可愛がらなくても愛育院が好きだと言っています」&br;
「そばで言っているのは誰ですか」

総書記がまた聞きました。

「チニが今ここにいます。愛育院には行かないと我を張っていた子が、今は愛育院を離れないと言っているので大変です」&br;
「そうですか、じゃ、チニと電話を替わってください」&br;
「わかりました」

チニが短い腕で受話器を受け取りました。

「チニ、どうしたんだ？週預かりの幼稚園生なのにずっと愛育院にいたいってのは？」&br;
「元帥様、愛育院はほんとに素晴しいです」&br;
「素晴しいって、何で？」&br;
「遊泳場、スポーツ遊技場、知能遊び場、何でも何でも素晴しいです」&br;
「そう？」&br;
「ほんとです。元帥様、これから私は愛育院に来るつもりです」&br;
「ははは、チニ、それは大変だな、誰も容易にお前を愛育院に入れられないんだから」

次いでまたソンリョンが受話器を取りました。

総書記は大きく笑いながら言いました。

「院長先生、チニの話を聞いて安心しました。チニの評価は愛育院についての最高の評価です。愛育院がすっかり気に入ったからそう言ってるでしょう、チニを立派に育ててください」&br;
「本当にありがとうございます」&br;
「新しい家に引越しして子供たちが喜んでいるというのですから、それ以上嬉しいことはないでしょう。愛育院の子供たちを受け持っている院長先生の責任が重いです。院長先生、前にも言ったことですが、親のいない子供たちには何よりも愛情がなければなりません。母の愛情のように熱く、熱烈なもの、たゆみのないものは多分ないでしょう。その愛情で子供たちを見守るべきです。愛育院を子供たちの愛情の海に作りなさい。これが労働党の意図です」&br;
「あ、愛情の海！」

ソンリョンはおのずと総書記のこの言葉をかみ締めてみました。

胸の火が燃え盛るようでした。

それは一瞬、溶岩のように沸きかえりながら体中を暖めました。

ソンリョンは受話器をしっかり握ったまま、もう何も言えませんでした。しかし、心臓の高鳴りはどんどん激しくなり、こう叫んでいました。

「金正恩総書記の胸はそのまま子供たちの愛情の海です。資本主義社会なら一番不幸な子供たち、親のいない子供たちが総書記の胸に抱かれてこの世で最も幸せな子供になりました」

ソンリョンは感激を抑えきれず、窓をぱっと開け放ちました。

夜空では数え切れないほどの星が、この世で一番幸せな子供たちをねたむように、瞬きながら何か熱心にささやいていました。

（文芸作品―その他）

RIGHT:'''2021.04.03の記事'''
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-[[短編小説「愛情の海」（1）]]
-[[短編小説「愛情の海」（2）]]
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-[[短編小説「愛情の海」（5）]]
-[[短編小説「愛情の海」（6）]]
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//（文芸作品―その他 2021.04.03 ※音声あり）
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