朝鮮東海の特産、ベニズワイガニ
三面を海に囲まれた朝鮮は昔から水産資源が豊かなので、世界的な海洋資源の宝庫と呼ばれてきました。
中でも朝鮮の人々が「生命の奇跡」と呼ぶベニズワイガニが注目されています。ベニズワイガニはその甲まで、天然の物に健康と長寿の秘訣を求める人々に満足感を与える朝鮮東海の特産、海の中の宝です。
こちらはベニズワイガニの捕獲と加工で広く知られた、東海岸の金策大慶水産総合企業所です。『刺網漁船938号』がベニズワイガニの漁に出かけます。ベニズワイガニの甲を薬剤の開発に利用している研究者達も同行しています。朝鮮東海は本当に環境が綺麗で透き通っている海水に溜め息の連発です。遂に船が漁場に着きました。
「ベニズワイガニは朝鮮東海に豊かです」
底刺網の投網が始まります。漁労工達が慣れた手つきで投網の作業をしています。1回に大体300個の底刺網を仕掛けるといいます。底刺網を引き上げます。
「ベニズワイガニは深い海の中に住んでいるためか、他のカニより甲が厚いのが特長です。繁殖も大変早いとのことです」
1個の網に大体20～30匹ずつ、全体として1回の投網で3トン以上が獲られるといいます。網に鈴生りに絡んだベニズワイガニも見物ですが、容器毎にたっぷりと盛られる光景は人々の気持ちを楽しませます。漁労工の話によりますとベニズワイガニが脚を開いた時の長さは大体30～40センチぐらいですが、最高1メートルを超す物も獲った事があるといいます。水深1000～1500メートルの海底に棲むベニズワイガニは、急に水面に浮上するとこのように気がボーっとして身動きが出来なくなるといいます。
研究者達が獲ったばかりのベニズワイガニの甲を調べています。漁場の生態環境と原料源の量的指標等が今日の研究の目的だそうです。大量旗を靡かせて帰港に就いた漁労工達は、甲板の上で簡単な手作りのカニ料理の自慢を披露します。
「捕ったばかりのカニの味が一番美味しいです。陸地と海では味が違います」
「カニはいくら食べても飽きません」
「カニは本当に健康によく、頭痛の時は1匹を食べるだけで、頭が冴えてきます」
ベニズワイガニの尽きない資源と綺麗な生態環境は、研究者達を満足させました。
「甲は動脈硬化や脳血栓、関節炎によい薬剤の原料です」
漁労工も研究者もベニズワイガニの自慢で海に対する愛着心を表します。
出荷されたベニズワイガニは色々な食品に加工されて、日々の食卓を賑わしています。こちらは江原道元山市にあるペクサジャンという名の食堂です。海岸の近くにあるこの食堂から出されるベニズワイガニをはじめカニ類の料理は、地元で定評があります。
食堂の責任者リム・ジョンオクさん。
「東海岸に位置しているペクサジャン食堂は、新鮮なシーフード料理、分けてもカニ料理の独特な風味を味わうために、多くのゲストが訪ねています。分けても3～4月はカニの旬ですから、その時のものは蛋白質が豊かで歩留まりがよいので美味しくて健康に良い料理を楽しめます。カニ料理は蒸し煮と煮付け、そして、カニの肉をスライスして冷やしたものなど色々ですが、中でもカニ汁は子供たちの発育と年寄りの健康にとてもよいです」
ベニズワイガニは食生活だけでなく、天然物質による薬剤の開発にも広く利用されています。
こちらは咸興市のソンチョンガン出荷事業所です。この事業所ではベニズワイガニの加工食品だけでなく、甲を利用して薬剤や健康食品を生産しています。ここの製薬室ではキチン質の抽出物に色々な天然生理活性物質を添えて、ナノテクノロジーの注射薬や飲料水を生産しています。
ポクミョン製薬所所長リム・チュンモクさん。
「最近、カニの甲に含まれている天然アミノ糖が人の生命維持に欠かせない『塩』のような重要な物質であることが明らかにされ、病気の治療や健康維持に利用するための研究が世界のトレンドとなっています。分けても、天然アミノ糖は朝鮮東海に住むベニズワイガニの甲に一番多く含まれています。そのため、以前は廃物とされていたベニズワイガニの甲は今、重要な資源と見なされています」
朝鮮では最近ベニズワイガニの甲から、人の健康と生命維持に切実に必要なアミノ糖のグルコサミンとN-アセチルグルコサミンを抽出して、新しい薬剤の開発に利用しています。既成の物に比べようもなく効果が高い新しいタイプの止血剤、そして高脂血症をはじめ心臓血管系の病気や、糖尿病等の難病の治療が可能な薬剤と健康食品は人々の間でとても人気です。
キムマンユ病院*1副院長、博士、助教授アン・グァンゴンさん。
「私たちは患者たちに、研究者たちが国内にふんだんにあるカニの甲と自分の技術で世界に誇るだけある薬剤を開発したと自慢しています」
自分の資源を大事にし、人々の生活に有用に用いる為の努力によってベニズワイガニは海の中の補薬*2、朝鮮東海の特産として一層有名になったのです。
（今日の朝鮮）
2018年の記事
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