朝鮮を愛します
キプロス朝鮮文化友好協会会長アダモス・カチャントニス
「私は朝鮮をとても、とても愛します」
第31回“4月の春親善芸術祭”が行われる平壌の華やかな劇場のステージでは、私が創作した管弦楽と歌『チュチェの日差し』も披露されました。
「どこでも見える 進むあなたの姿 チュチェが指し示す未来へ進むあなたの姿 小鳥も木におりて さえずる あなたの名を呼ぶ 赤く白いバラは美しく庭園に咲く 広い大地はあなたの行く手を花で飾る 永遠不滅のあなたに金色の花束を贈る」
この作品は朝鮮に対する私の熱烈な愛情の表れでした。
1984年4月、世界各国の芸術家が朝鮮に集まり、偉大な指導者を称える国際的な芸術祭を催すとの知らせに接した私は好奇心に駆られました。故郷のファマグスタの海辺で船の汽笛に節を乗せた幼年時代の夢を抱いて、12年間ギリシャで音楽の世界に浸っていた私はこの芸術祭に参加したい衝動を抑え切れませんでした。こうして不慣れな朝鮮に足を運んだわけです。
初の訪朝の際、私に強いインパクトを与えたのは朝鮮式歌劇でした。朝鮮ではこの歌劇を「不朽の名作『花を売る乙女』を脚色した同盟の革命歌劇」と呼びました。『西側の芸術家の目から見た朝鮮』という本にも書きましたが、この歌劇は働く人民をヒロインにして“自分自身を救う力は、唯自分自身にある”という哲理を教えています。
そして新しいテーマ、歌詞の各節を同じ旋律で繰り返す有節歌謡、また登場人物の行動、歌、対話等で表現しきれない主人公の心の内や劇の進行を説明する為舞台の外で歌う歌パンチャン（傍唱）、踊りの導入と“流れ式立体舞台美術”等全ての要素が、歌劇の国と言われて来たイタリアや欧州の古典歌劇でも見られないものでした。胸の高鳴りは歌劇の美しいメロディーに拍子を合わせていました。
この歌劇がイタリアや欧州諸国はもちろん世界各国で嵐のような反響を呼んだ事に鑑みますと、芸術家の私が強いショックを受けてもおかしくないでしょう。歌劇は時代の反映、人民の思想感情と美観の表れだといいますが、人民愛の理念で人民を最も力ある存在に推し立てたこんなに素晴らしい歌劇の原作は、金日成主席が抗日革命闘争の時に創作し、金正日総書記が1970年代にその再演を細やかに指導したといいます。
主席と総書記は世界的な作家や演出家の誰も比肩出来ない芸術の大家でした。このような偉人達が居て朝鮮人民は、世界が驚嘆して止まない歌劇芸術を創造するという開花した人民になれたのです。芸術家の私の目には、朝鮮が西側の洗練とは異なり独特な芸術を創造し発展させている文化的な国として映りました。
帰国後も私の心は磁石のように平壌へと引かれました。私は『平壌』という歌を作り始めました。1987年4月の第5回“4月の春親善芸術祭”のステージでこの歌を歌った事が今もありありと記憶に残ります。その時、金日成主席は私の歌を聴き一番先に拍手を贈り明るく微笑みました。主席は公演の後私達の手を熱く握り記念写真も撮りました。
「この世の美しく荘厳なメロディーを寄るとしても主席の偉大さを皆表せないだろう」
私の心臓は興奮で高鳴りました。幸せと栄光に満ちたその日の事を私は永遠に忘れる事が出来ません。その日の感情は五線譜にそのまま記されました。
私は主席と共に撮った記念写真を我が家の部屋の壁に丁重に掛けています。そして一部屋丸ごとに“4月の春親善芸術祭”で貰った賞状と朝鮮の美術作品、色々な記念品、切手までも並べて置きました。それでニコシアの人達は私の家を『小さな朝鮮大使館』と呼んでいます。それを私は自慢に、栄誉に思っています。
私が心の指すままに訪朝の道を歩み続けて、もう35年になります。その日々、私は朝鮮美術展を何度も開きました。その度に私の気持ちを一番良く理解してくれる人は、愛しい妻のジョインでした。妻は2人の娘のメローディとハーモニの手を引いて展示場に来ました。
ニコシアの人達は、自分の軌道に沿って尊厳ある生活を変わりなく続ける朝鮮人民を描いた芸術作品に感動を覚えていました。作品は朝鮮に対する帝国主義者の押し潰し策動により国の事情が苦しく自然災害まで重なって、それこそ銃声無き戦争の中で如何に文明が作られたかを生きた絵巻で見せています。
戦争と文明、これ等は掛け離れた言葉です。でもこのような状況下でも朝鮮では文明が退かず進歩しました。私は朝鮮の保健医療部門と教育部門を見てそれを確認しました。平壌の紋繍通りに行くと玉流小児病院、柳京歯科医院、平壌産院マストパチー研究所、紋繍リハビリ院等、近代的な医療機関が並ぶ病院村を見る事が出来ます。
2018年9月、柳京眼科総合病院を訪れた時の事でした。ここは最新眼科治療設備を完備しメガネのサービスも出来る、多機能的で総合的な病院でした。もう60になる私は視力が衰えて検診を求めました。医師の手に引かれて具体的な検診を受けました。もちろん無料でした。この日、私と医師の間にこんな対話がありました。
――朝鮮で人々を無料で治療すればその費用はどう賄うのか？
――全てが国持ちだ。云わば“一升の餅に五升の取り粉”という訳だ。でも人民の為なら投資を惜しまないのが共和国だ。それで共和国の保健医療を『人民保健医療』というのだ。
感動の中医務室を出ると母と一緒に座っている少女が目に映りました。少女の父は平壌326電線工場の労働者で3度目に治療を受けに来院したといいます。もしかと思い少女に治療費について聞くと「知らない」との事でした。尤もな事でしょう。この素晴らしい病院で普通の労働者の娘も無料で治療を受けていました。
私は思いました。物質文明と万民福祉を唱える西側で果たして普通の労働者の娘が無料で治療を受けられるのか。朝鮮では金正恩委員長の直接の関心の中、立派な病院が至る所に設けられ人皆がその恩恵を被っています。正に朝鮮の文明は人民の為の文明、万民平等の文明でした。
「文明について知りたければその国の教育を見ろ」という言葉があります。誰でもそうですが、私も子供達をとても可愛がります。それで訪朝の日々にいつも子供達に目を掛け、子供達に係わる事、子供たちのいる所なら特別関心を持ちました。私は平壌と地方のどこでも、ランドセルを背負って制服を端正に着た精気溌剌とした生徒達の姿を見る事が出来ました。すると知らず知らず心が弾みました。
世の中を見渡しても子供達を知識と道徳・体力を兼ね備えた社会的人間に育てる、教育の全ての問題を明るく示す“教育テーゼ”を持つ国は朝鮮しかありません。教育に国家的な投資を惜しまない国、完全で全般的な無料教育を実施する国が朝鮮です。
いつか平壌教員大学に行ってみました。利口で愛らしいバーチャルリアリティーの小学校の生徒と笑いながら話も交わし、母の教室、多機能化した体育館等、大学の各所を見ました。この大学の教育方法とシステムは世界的なレベルでした。
金正恩委員長が大学に赴き「未来を担当した教育者に空の星をも取ってあげ、金の座布団に座らせたみたいだ」と言って、国の未来を担って立つしっかりした人材をより多く育てる事について詳しく教えたというのですから、本当に未来に対する指導者の偉大な恩愛が胸深く感じられました。規模は然程大きくない大学でしたが、大学の見学を通じて将来の文明を保障する朝鮮の教育が良く分かりました。
人民が営む文化生活からも朝鮮の文明を垣間見る思いでした。私は平壌の大同川の辺にある紋繍遊泳場と綾羅イルカ館に何回も行きました。行っても行っても飽きない所です。
妻と2人の娘を連れてキプロスの観光中心地であるヤンナバン？に行き高い入場料を払って入るともう遅く、水遊びはおろか見物だけして出て来た私としては、各階層の人々が文化生活を思う存分営む紋繍遊泳場が単なる遊泳場だとは思われませんでした。
この遊泳場の建設を発案した金正恩委員長は完成予想案だけでも113件を見たといいます。実に伝説のような話です。金正恩委員長は建設現場も何回となく訪れ、屋根の形式と材質、屋内遊泳場の地熱保障の対策等、遊泳場を世界的レベルに建てる為の事について一つ一つ詳しく教えたといいます。人民愛の歴史がもたらした文明を朝鮮の人皆が思う存分享受しています。
「愛情は全てに勝つ」、私が好きなこの格言が現実になった国が正に朝鮮です。どの国でも見る事が出来ず真似る事が出来ない人民愛の文明が朝鮮で開花しています。この文明を私は『朝鮮式文明』だと呼びたいです。
朝鮮式文明は人民を天の如く見做した金日成主席と金正日総書記がもたらし、今は金正恩委員長が更に美しく築いています。金正恩委員長の指導に従い歴史のあらゆる挑戦を撥ね退け、日増しに新しい文明をつくり出す朝鮮の明るい未来が私の五線譜に止む事なく記されて行きます。
私は世界に向けて叫びたいです。朝鮮式文明、人民愛の文明が、正に真の文明だと。
「私は朝鮮をとても愛しています」
（今日の朝鮮）
2019.06.12 サイト動画の聞き書き、字幕抜書き
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