英雄になった娘

英雄になった娘

わが子が国のために功を立てた時、一番喜び、幸せに思うのは母親です。第17回アシアンゲームの女子サッカーで優勝した共和国イレブンのキャプテンであるラ・ウンシムさんのお母さんのチャン・ヨンシルさんのお話を聞いて見ましょう。ラ・ウンシムさんはこの10月、朝鮮民主主義人民共和国労働英雄の称号を授かりました。

「うちのウンシムに英雄称号が授けられるとは、ほんとうに夢を見るようです。サッカーを習うといっていつもボールを持って遊んでいる時は想像だにできなかったことです。ウンシムに労働英雄称号を授けるという政令が発表された日、私は嬉しさの余り感激の涙を流しました。母としてこれに勝る幸せがあるでしょうか」

チャン・ヨンシルさんは3人娘の母です。ラ・ウンシムさんはサッカー選手として国を輝かしており、姉と妹は人民軍将校として軍隊に服務し、除隊しました。もともとチャンさんは3人の娘にアコーディオンを習わせようと思いました。ところが小学校に入学したウンシムさんがサッカークラスに選ばれたと言う話を聞いて考えを直したと言います。

そうしたある日、チャンさんは有名なサッカー選手になって金メダルを手に入れるという誓いがこめられたウンシムさんの日記を見ました。世間知らずの幼い娘の日記でしたが、そのまま見過ごすことができませんでした。母親なら当然、わが子の決心が実践に移されるようにしなければ、と思ったからです。

しかしウンシムさんの体が弱いのが気になりました。それでチャンさんは娘の食欲をそそるために一つでももっと多くおいしいものをつくり、色々と補い薬も服用させました。こうしてサッカー選手として肉体的に準備させるのに勤めました。

いつも疲れている娘が可愛そうに思われる時もありましたが、その日の訓練計画は必ずやり遂げなければならないという自覚を植えつけました。又、時間を割いてサッカーの本も読みあさり、試合のときは必ず観戦して、応援もしました。その過程にウンシムさんは小学校のサッカークラスと区域の青少年スポーツ学校のサッカークラブを経て専門スポーツ団にスカウトされました。

チュチェ94（2005）年から国際競技に出場したラ・ウンシムさんはチュチェ96（2007）年にはアジアユース女子サッカー選手権大会のMVPと最高得点賞、アジアサッカー連盟MVPの年間ユース女子選手賞など三つの賞を受けました。ラ・ウンシムさんは第17回アシアンゲームでも抜群の実力を発揮しました。

立派な子の後ろには立派な母親がいると言います。英雄称号を受けたラ・ウンシムさんも同じで、人々は母のチャン・ヨンシルさんを誉めそやしています。その度にチャン・ヨンシルさんはこう話しています。

「みなが私にえらい娘がいるとうらやんでいますが、しかし、ほんとうのことをいって、私が娘を育てたのではないでしょう。ただ産んだだけです。この母さんも気がつかなかった娘の素質を国が探し出して、系統的に育て、今はまた、英雄称号受賞者にまで押し立てたわけです。ありがたいこの国があってウンシムが有名なサッカー選手になったのです。そして私も母親としての一番大きな幸せを感じているのです。もう、これ以上、望みはありません。ただウンシムが英雄らしく生を輝かすように後押ししようと言う思いだけです」

いつもその思いでチャン・ヨンシルさんは訓練に励んでいる娘を力づけています。