名作童話の絵本「火を持ってきたアワンニョ」まだ世の中の人が火を起こすと言うことを知らなかった遠い昔のことでした。 ある洞窟にアワンニョという少女が住んでいました。 冬が差し掛かると、アワンニョは荒れ狂う寒さに母と弟を失いました。 アワンニョは村人たちに祖母の面倒を見てくれるよう頼みました。 そして火を与えるという太陽神を訪ねていくことを決心しました。 祖母がアワンニョの手を取って心配事を言いました。 「まあ、女の身でどうして行くと言うの?」 アワンニョは太陽神を訪ねて、東の方へ歩み続けました。 途上で、素手でトラとイノシシを獲るというノルメという人に会いました。 「助けてください、おじさん!」 二人は蒸し暑い砂漠の砂の道も歩き、深い山奥の猛獣も退けながら太陽神を訪ねて行きました。 どんな苦しみも村人に火種を持って帰ろうとのアワンニョの心をひるがえすことはできませんでした。 そうしたある日、二人は酷くつかれきって倒れている一人の年寄りに会いました。 「わしも太陽神を訪ねて9年間もさまよった。もう、疲れ果てた上に老いぼれの身だから駄目だ、要らぬことだぜ」 年寄りはアワンニョを引き返そうと必死でした。 アワンニョはぽろぽろと涙を流しながら懇切に言いました。 「おじいさん、寒さに震える人たちがかわいそうじゃないですか。なんとしても太陽神を訪ねてみましょうよ」 こうしてアワンニョは再び道を急ぎました。 力があり、勇敢な若者と知恵と経験の豊かな年寄りが彼女を助けて遠い道を歩きましたが、太陽神はなかなか現れません。 やがて息が詰まりそうな夏が過ぎ、紅葉が赤く燃える秋になりました。 すがすがしい秋風に木の葉がはらはら落ちました。 ある日、稲妻が走り、雷が鳴るかと思ったら山火事が起きました。 アワンニョは梢に燃え上がる火種を手にしました。 「もしや、これが太陽神が与える宝物ではないかしら?!」 火種を手にして有頂天になってかけて行ったアワンニョは小川を渡る途中、倒れて水におぼれました。 その弾みに火種は消されてしまいました。 「これはどうしたらいいの?」 アワンニョは余りのことにどうしたらいいか分かりませんでした。 苦労の末に手にした火種をなくしたアワンニョはかなしげに泣きました。 (よーし、行こう、太陽神に会ったそこへ再び行って大事な宝物をもう一回探してみよう) アワンニョは歯を食いしばって立ち上がりました。 アワンニョは火種を探しにまた歩みを移しました。 激しい風が吹きまくり、少しへこたれていたアワンニョの目がぴかりと光りました。 がばと、席を切って*2立ち上がったアワンニョは「やあ、火だ!」と歓声を上げました。 風に吹かれて絡み合った木の枝が激しく擦りあいながら火を起こしたのです。 (そう、つまるところ、火種は木々が激しく揺れる時、すりあわされる中で生まれるものだった、私も一度やってみよう) アワンニョは木の枝を向き合わせて力いっぱい擦り始めました。 腕が切れそうで、汗だくだくになって目が痛くなりましたが、止められませんでした。 (休みなく擦り続けるなら、火種を得られるはず) アワンニョは無我夢中になって木の枝を擦り、また、擦りました。 熱くなった木の枝から煙が立ち始め、突然、火が付きました*3。 「とうとう、探した!おばあさん、ついに火種をさがしたの!」 辛酸を嘗め尽くした末に火種を手にしたアワンニョは喜びの余り、むせび泣きました。 年寄りもノルメも嬉しくてなりませんでした。 アワンニョは心の中に決めました。 (この火種がいつまでも消えないようにしよう) 勢い込んで皆がそれぞれ故郷へとかけて行きました。 彼女らが燃やした火は息絶え絶えの人たちを救い出しました。 どんな苦労もものともせず発奮したアワンニョを皆が誉めそやしました。 アワンニョが燃やした火は本当に暖かいでした。 歳月が経った今も火は大事な宝物とされています。 果たして火がなかったら、私たちの今の世の中があるでしょうか。 (コンテンツ―本) 2025.08.30の記事
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